「イスラム原理主義」パピチャ 未来へのランウェイ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
イスラム原理主義
女子大の中は不自由さは感じられなかったが、いざ外出してみると恐怖がいっぱい。バスの中ではかつての人種差別のように扱われてたし、冒頭の白タク検問も怖かった。行きつけの洋裁材料店でも「女性は・・・」と自立女性を蔑視するかのようだった。
パピチャという言葉は初めて知ったけど、アルジェリアのスラングで「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」ということらしい。主人公ネジュマの家庭は男がいないため、女性は自立しなければならないということもあって、大学で勉強しながらファッションデザイナーを夢見ていた。そしてある事件をきっかけに寮内で「ハイク」だけのファッションショーを開く決意をするのだった。
テロの怖さも伝わってくる中、それが原理主義の男尊女卑の思想によるものだけじゃないことが辛辣だった。伝統的なヒジャブを纏った女性たちによる乱入なんかがあったり、門番ポパイによるセクハラがあったりで、もう頼る者がいない。極めつけは恋人になりそうだった男に「嫁にしてやる」みたいな高圧的なプロポーズ。そしてファッションショーがこじんまりと成功するかと思っていたら・・・
イスラム国の、しかも過去の話だからといって、他人事のように思ってはいけない。今の日本、特にオリンピックに関しては女性蔑視やジェンダー差別の問題が浮き彫りになってしまった。根強く残っている日本の家父長制度と差別。どこに「多様性と調和」があったのだろう?復興五輪ってどこにあったのだろう?利権がらみのオリンピックを強行したためコロナまで蔓延してしまった。アルジェリアの宗教による分断に近いものがあったのではなかろうか・・・と、いつの時代にも息苦しさがあるものなんだと妙に共感してしまった。