「罪とは何か」コリーニ事件 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
罪とは何か
私は作家シーラッハのファンだ。彼の簡潔で抑制の効いた文章、研ぎ澄まされた筆致に痺れる。
フェルディナント・フォン・シーラッハは、ナチ党青少年最高指導者の孫である。本作は、こうした出自を持ち現役の刑事事件弁護士である著者が、祖父の時代の犯罪に真っ向から取り組んだ法廷小説。原作は200ページ弱と決して長くない小説なのに、濃密で衝撃の読了感。
そして映画は映画でまた素晴らしかった。映画らしいアレンジも効いていて面白かったし、主人公が私の頭の中のビジュアルに近くて大満足!
主人公は黙秘する犯人を通して、法の解釈や量刑よりも、問題はまったく別のことだと思い至る。問うべきなのは、虐げられた人のことなのだ。
全ての元凶ドレーアー博士の起草した法律の過ちを認めさせたところでコリーニの復讐は完結。現実では2012年に「ナチの過去再検討委員会」が設置されている。
同時に、祖父は祖父、自分は自分。
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