「骨太。」コリーニ事件 kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
骨太。
一般的に、歴史は風化するという。視覚的なイメージで言えば、75年前に75センチあったY軸の高さが、年月とともに右肩下がりのロングテールな放物線を描きゼロに限りなく近づくように。しかしそれは主観の問題だ。本作品の被疑者の場合、真反対である。おそらくその怨念は時の流れと共にじわじわボコボコと発酵し、真っ当な訴えが悪法に阻まれることでマグマのように煮えたぎり、止める肉親を失うと原発事故のように臨界点を超えた。
歴史を風化させないためには、否、意図的に風化させられつつある歴史を再プリントしてアルバムに貼り直すためには、類い稀なモチベーションと正義感を持ち合わせたプロフェッショナルの力が不可欠だ。そういう意味では本作品内の弁護士がドイツ社会においてトルコ移民の血を引くマイノリティーであることは象徴的だ。もちろん、わが国もハイブリッド社会であってほしいと思う。
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