「すべてが前作以下」クワイエット・プレイス 破られた沈黙 N Tさんの映画レビュー(感想・評価)
すべてが前作以下
前作はそれなりに楽しめた記憶があり、モンスターパニック好きとしては外せないだろうと鑑賞しましたが、がっかりです。すべての面において前作を下回っています。まず、登場人物がバカばっか。
まず、母親ですが、食料もなく、会話程度の音も立てられない状況で赤ちゃんを育てようとしていることがまず無理ゲー。もともと妊娠してたのなら仕方ないですが、モンスターに襲われた後の避難生活中に子作りしてますからねこの人(これは第1作の話)。また、泣き声対策に手作りの完全密閉防音ボックスを用意するのはいいですが、窒息を防ぐために酸素ボンベが必須ときた。酸素ボンベなんて都合よく調達できるわけないじゃん。無計画すぎ。
息子は、何を思って地下シェルターから外に出て工場内の探検に出たの?そのせいでシェルターは破壊され母親は大ケガをし、自分も死にかけてんじゃん。死にたかったのかな?
娘は、自分勝手な単独行動で唯一の武器であるショットガンとスピーカーを勝手に持ち出すし。また、聴覚障害を持っているため、普段から音のない世界が得意みたいな描かれ方をしていますが、普通逆でしょ。音が聞こえないからこそ何をどうしたらどれくらいの音が出るのかが理解できずに真っ先に殺されるはずです。
島からラジオ放送してたやつらも音楽なんか流す暇があったらもっと有意義な情報放送しろよ。音楽のタイトルが安息の地の場所のメッセージになってるってバカか。普通に「奴らは泳げないので島に避難しましょう。生存者もたくさんいます」って言えばいいじゃん。
ラジオ放送で敵の弱点である「音」を放送することになるけど、それでどうやって敵を倒すの?あのエイリアンってラジオリスナーでしたっけ?
また、主人公達が裸足で歩いている姿が何度も強調されますが、靴はけばいいのに。靴だと音が出るってことなのかもしれませんが、靴をはいている他の登場人物は問題なく生活しています。裸足で歩き回るメリットがわらない。
そもそも主人公立たちって何のために旅してるんでしたっけ?前作で家は破壊されましたが、食料も生活道具も畑も水も残ってます。近所には音を立てても安全な場所(滝)もあるし、敵に対抗できる武器も持ってる。わざわざ危険を冒す理由がよくわからない。
前作でも、会話すらまともにできないような環境にありながら、わざわざ子作りして出産に挑戦するというバカさ加減でしたが、それ以外はモンスターパニックとして観られたと思います。モンスターパニックには、「どんな敵が現れるのかというドキドキ感」「敵に襲われるハラハラ感」「どうやって敵を倒すのかというワクワク感」が必要だと思うんですが、前作にあったそれらが、本作にはありません。敵の正体は前作で明らかになっているのでドキドキ感はない。音をたてると襲われるというワンパターンでハラハラ感もなし。また、前作で敵の倒し方が確立されているのでワクワク感も無し。続編をやるのなら、新種の敵が現れるとか、新たな生態が明らかになるとか新しいアイデアが欲しかったところです。一作目より明らかに敵が弱体化しています。
この映画を観るのであるなら、これ単体を一つの作品とするのではなく、前作とつなげて一本の映画として観ることをお勧めします。