TENET テネットのレビュー・感想・評価
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純粋に興奮した。辻褄合わせはまたいずれ
興奮した。
最初から最後まで、息もつけないほど、時間も忘れて。
クリストファー・ノーラン監督、時間と空間の画き方がいつも面白い。
だから常にこんがらがる。
あれはどういう意味なのか、どう繋がっているのか。
大画面で興奮しながら観ていたら、そういうのよくわからない。
でもそれはそれでいい。
興奮したし、面白かったから。
『逆行』という観点。
秀逸だ。
過去に戻る。タイムトラベルとかタイムリープとか言われるものと違う。
遡る。
そこからあの映像が生まれてくる。
自分が進む横で、巻き戻されてる誰かがいる。
なんとも楽しい画じゃないですか。
こういうものこそ映画館で見るべきものだな。
エリザベス・デビッキ。
美しい。神だな。
それもまた映画の醍醐味。
何度も映画館に足を運ばせる作品!
初回観賞時の感想。
監督過去作の「インセプション」「インターステラー」を観た身としては「ノーラン監督、今回はSF要素の中でも複雑な「時間」というモチーフを用いて更に色んなテーマを発展させてこうきたか…!」という感じでまず感動。ノーラン監督は作家論を書きたくなるクリエイターだ。
しかしこれは色んな点で1回観た感じだと混乱の極みなのでもう一度観に行こうと思う…!
しかしノーラン監督作品だから!と心して観たのにわからない点が多すぎて悔しい…。
名前がない主人公。TENETとは一体何なのか?突き詰めると主人公のこと?
一連の戦いの本当の発端は何なのか?
時間はループしているのか?パラレルワールドなのか?
この映画において起点となるシーンはどこなのか?(時間軸で考えると映画の流れ通りに時間が流れているわけではない?)
異なる時間軸の自分と対峙することのリスクはどうなったのか?
…などなど細かな点を挙げればもっとたくさんの疑問が出てきて考え始めると頭いたくなる…!
それながら扱っているテーマは王道(おそらく)なのがすごく良くて、異なる時間軸からきたニールと主人公の友情は熱くて切ないし、主人公が時間に干渉することで大切なヒロインや世界を救うという結末も良い。
ロケーションも全世界にまたがっていたし、アクションシーンも派手で格好良くて映像も素晴らしかった!
派手すぎる空港爆破。過去に飛ぶと逆向きに流れる世界、熱が逆変換されるという何ともSFなギミック。
物語の解釈が追いつかずとも、これが構成、演出、アクションすべてこだわって考え抜かれた作品なのはわかるし、ラストシーンは熱かった…。主人公とニールの友情。一つの時間軸に留まれないニールの切なさ。
あと今回改めて感じたのが、色んなわからなさがシナリオや演出の荒さじゃなくてこちらの考察が追いついてないんだ、と思える作り手の作品を観る幸せ。
監督も本気で読み取ろうとする観客を信じてくれるし、観客も「ノーラン監督なら意図を持ってこうしている。わからないのは自分の解釈が追いついていないからだ」と信じられる信頼関係ができてるのがすごいことだよなあ…。
何にせよもう1回観に行くぞ。
どんなときもベストを尽くす事が必然の結果を招く
どんなときもベストを尽くす事が必然の結果を招く
そんなことを思ったのが、クリストファーノーラン監督のTENETを観てからだった。
TENETは主人公の「名もなき男」が未来から来た敵と戦い、世界を救うというSFアクション映画だ。
未来人は自分たちの住む地球が滅亡の危機に瀕しており、なす術なく科学者が開発した「アルゴリズム」を使って
右(始まり)から左(地球の終わり)に流れる時間の流れを左から右に逆行させる事で、助かろうと考える。
しかし、科学者は時間を逆行させてしまえば、過去と未来で全ての生命が消滅する事態に陥る事を懸念する。
時間を逆行させるということは歴史を逆順するという事、先に祖先が死んでしまえば子孫の人間は生まれなくなる。
このパラドックス(矛盾)が生じることで、アルゴリズムを発動した瞬間、過去の人類も未来の人類も一瞬にして消滅してしまう事を恐れた科学者は
「アルゴリズム」を9つに分解し、過去の時代に隠してしまう。
しかし未来人はそれがわからず、過去の時代に隠したアルゴリズムを集め発動させる使命をセイターという武器商人に託す。
(武器商人になったのも未来人の援助あってのことなのだが)
TENETではそのアルゴリズムの起動を防ぐ為に「名もなき男」が謎の組織にスカウトされ奔走するストーリーだ。
名もなき男はCIAの特殊工作員であり、テストという形でウクライナのオペラハウスで起きるテロ事件の果てに謎の集団にスカウトされる。
そしてセイターの思惑を察知した名もなき男は時間を遡りながらアルゴリズムの争奪戦を行う。
この映画の肝は、時間移動にあるが、驚くのが時間移動の方法と、時間に対する「考え方」だ。
TENETでは未来の敵が時間を「逆行」して進んでくる。
逆行とは読んで字のごとく、時間を逆に進んでくる、単純なワープではない。
例えば10年前に戻りたいと思えば、10年分の時を過去の方向に歩いていかなければならない。
2020年の現在、20歳の少年が2010年に戻りたいと「逆行」したとしても、10年分歳を重ねることになるので、2010年に戻れた時には30歳になっているということだ。
そして「逆行」はあくまでも起きた出来事の「結果」に対してのものであって、どうあっても「結果」を変えることは出来ないように描かれている。
というのもこの映画の始まりは時間を右から左に進む「巡行」で話が進んでいく。
オペラハウスでのテロ事件(テスト)→スカウト→同胞との邂逅→セイターとの接触→ハイウェイでのアルゴリズム争奪戦、と目の前で起きる出来事は全て我々が感じることのできる時間の流れで進んでいくのだが、ハイウェイでの争奪戦の際、我々は信じられない光景を目の当たりにする。
セイターが時間を「逆行」してアルゴリズムを奪いに来るのだ。それが巡行目線で描かれる。
車が逆再生のように動き、主人公達を追い詰める。
これは「挟撃作戦」と言って、巡行の流れにいるセイターの仲間達がセイターに主人公達の動きを逐一教え(始まり)、
アルゴリズムを奪われた瞬間(終わり)にセイターが「逆行」し、起こる出来事を全て知った上での強襲をかけてくるのだ。
始まりと終わりが連携することで強奪の瞬間という時間を挟み撃ちする作戦なのだ。
アルゴリズムを奪ったセイターはそのまま逆行し、とある時間に戻りアルゴリズムを発動させようとする。
その場所がスタルスク12と言うセイターが生まれたロシアで核爆発により投棄された地図にない都市だ。
セイターはこの場所で核爆発をスイッチにアルゴリズムを発動させようと画策する。(ここにはもう一つスイッチがあるのだけど割愛)
名もなき男はそれを阻止する為に「逆行」し、スタルスク12で最終決戦に挑む。
実はこのスタルスク12は物語の序盤、主人公達の同胞、プリヤとの邂逅時にキーワード(話題)に上がる。
プリヤとのちょっとした与太話の中で、名も無き男がオペラハスに居た同じ時、スタルスク12で謎の爆発が起きたことが告げられる。
この謎の爆発がスイッチになる爆発のことであり、すでに起きた出来事である事が判明する。
アルゴリズムが発動した瞬間、全ての人類が消滅する。
しかし、ハイウエイでのアルゴリズム争奪戦まで、名もなき男達は「消滅」していない。
これはつまり、「アルゴリズムは発動しなかった」=「名もなき男の勝利」は確定している「結果」である事が判明するのだ。
中盤で名も無き男はこの事に気づき、相方で謎の組織から出向してきた相棒ニールに告げる。
「今ここに俺たちが居るってことは、未来は救われたって事じゃないのか?」と。
対して、ニールはこう返す、
「結果がわかったとしても僕らが何もしない理由にはならない」と。
このあたりでこの映画は「与えられた結果に対して事を全うする男達のドキュメンタリー」である事がわかる。
主人公がスカウトされたのも、セイターがアルゴリズムを奪ったのも、全ては「結果」にとっては織り込み済みの内容であり、
名もなき男はその「結果」を全うするための「主役」でしかないのである。
それを理解した上で如何にして結果に導いていくのか、スタルスク12に降り立つ名もなき男は、
エンディングまでどんな事があってもこのプロセスを重視するTENET(主義)を貫き通すのだ。
そして相棒ニールから告げられる「告白」、彼もまた主義を貫く男である。
そして最終的には大団円の良い結果をもたらすのだ。
未来を知ろうが、知りまいが、今目の前で起こる出来事に対してのTENET(主義)を持ち行動する事。
彼らに比べて僕らはなんと贅沢であろうか?
僕らはどれだけ頑張っても未来のことはわからない。
ただ目の前で起こる出来事をこなすだけだ。
少ししんどければサボる事もできるし、やめる事だってできる。
そこにはなんのプレッシャーもない。
TENETの登場人物は、未来を知りながらも安堵はしていられない。
自分たち一人一人が役割を果たさなければ結果がもたらされないことを知っているのだから。
与えられた状況が自分にとって不満であったとしても、「自分に決してブレない大切な事」=「主義」を貫いて全力で生きていく事、
この時代において全ての人々が大切にしなくてはいけない事がこの映画の強いメッセージ性である。
何が何やら…
途中から過去の人なのか未来の人なのか、マスクをしているともう誰なのかも笑、わからなくなってしまった。
考察とか伏線とかもっと深く見れば楽しめるのかもしれないけれど、もう一度観るのはちょっと…。
最後のニールはあのときはもう死んでるの?未来の人?
解説サイトを見てみよう。
ボーイングを燃やせる監督とは
TENETとはクリストファー・ノーランによる作品である。
見る者はそれを反芻する。
反芻し始めると、それが異物であったとしても、吐き出さない限り異物のまま反芻し続ける。
パラドックスを異物のとするかしないかは、知性ではなく身体であるのではないか?
少なくとも私の体は異物のまま反芻することを選んだ。
どちらかというと異物とするのは私の頭だ。
このアンビバレントな状態が楽しい。
ボーイングを燃やしたことをパンフレットを買ってから知ったが、この鑑賞料でこの作品を見られるのはノーランさまさまだというのは正直なところ。
次、どんだけの低予算で見応えがある作品を見せてくれたら、「トンデモナイ監督だ!」と称号を与えたい!
どう、この発想。凄いでしょ?的な
単に過去に戻るのではなく、時間を逆行するってのがこの映画のミソ。
でその時間逆行の定義やルールや表現に自分のアタマは理解し切れず置いてきぼり。
人類の命運を握ってる敵が、自分に従わない美人妻に未練たらたらの大物ぶったシミったれたおっさん(演じてるのはケネスブラナーですが‥)ってところも気分が下がります。
結局未来の方々は現在の人類をアルゴリズム?で一掃して、時間を逆行してきて現在の時間軸で生き延びようとしてたの?
祖父殺しするとホントのところどうなるの?
パラレルワールド?
うーん、よく分からん。
それでいてストーリーは単純で、単なる退屈なスパイアクションをみせられ感じ。
オープニングの掴みはオッケーだったのになぁ‥。
まー自分が理解出来なかっただけですけどね!
まさに究極の映画体験
「時間が逆行する」という情報のみで劇場に放り出された我々を待っていたのは、今までにない驚異的な映画体験だった。IMAXは音質、映像を以て没入感を引き出して映画と観客を一体化させる。しかしこの映画は純粋に…脚本、演出、演技、そして登場人物が作中で積む経験が(つまり映画そのものが!)観客を映画に引きずり込む。
鑑賞中も鑑賞後も、ただひたすらすごいすごいヤバイと呟き続けていた。思わず言語化に詰まるほどの映画体験だった。
始めの1時間ほどは設定の開示に費やされる。時間の逆行の紹介、主人公が追っているものの正体、TENETと呼ばれるものの存在。
そしてひとたび「逆行」が始まってからは、今まで観てきた映像の答え合わせが始まる。観客が主人公と共に経験した「あれはどういうことだったの?」を次々に回収してくれる。そういうことだったのか、やっと逆行を理解した!と思うのもつかの間。主人公たちが逆行から戻って、今度は特別任務のために再び逆行を使いだしてからは、脳みそが悲鳴を上げるだろう。
鑑賞した内容をそのまま反転させて観客に見せる。それゆえに前半は理解しやすかった。しかし特別任務は、鑑賞の時系列的にいえば逆行と順行が同時に展開される。逆行は任務終了時点から、順行は任務開始時点からそれぞれ展開が始まり、任務時間のちょうど半分でそれぞれが交差する。
それだけだったらまだよかった。ひどいことに順行と逆行に慣れ始めた辺りで一人だけ時間を反転させるのだからもうパニック。一体何が何だかわからない…
特別任務は世界の破壊を防ぐことが目的だった。であれば、任務への逆行が可能な時点で世界は滅びていないことはわかっていたはず。であるのに任務へ逆行を導入したのは「任務に成功した過去を作るために未来から逆行する」いうことを意味し、序盤で主人公が言った「因果が逆転している」ことそのものであり、さすがノーランはSF的な物理への造詣が深いと感心した。
あと、エリザベス・デビッキがとても美しかったです。
集中して観るべし
ノーラン監督がどーゆう監督かわかってる人は、それを踏まえて観れると思います。
他の作品同様、時間をテーマにしているので、構えて観ないと気づいたら置いてかれます。
最後の作戦もなぜ逆行が必要だったのか。。流れはなんとなくついてけましたが、んー、久しぶりに難しかった!
何も考えないで観ると、たぶん意味わからないまま終わります。
もう一回みてから、評価する。
多分本当のおもしろさが、理解出来ていない感じ。
疑問点が、多過ぎて、お手上げ!
ハリウッドだから、必ずツジツマあうストーリーあるはず。
パンフレット買うか?
鍵は男の子
映像は独創的で、さすがと思わせる。
ストーリーは途中からだれてくる様に感じる。
見応えのある画像とアクションなのに違和感はタイトルのせいかと思う。
皆様の高評価とはならないのはこの点です
半分ぐらいわかった
家人が見に行きたいけど、難解ものだから観賞後誰かと語り合いたい、だから一緒に行かないかと誘われ見に行った
観賞後、家人が早速ネットを駆使して答え合わせをしていたが…、家人は1/3ぐらい、自分はなんとか半分ぐらい理解できていたらしい^^;
ニールの眉毛が印象的で、この眉毛のおかげで彼はこの役を抜擢されたのではないか?と思ったぐらい
彼はハリーポッターでハンサムとされたセドリックディゴリー役の子で、トワイライトでアイドル的な人気を得たのだとか…
金髪に染めてたいたのがイマイチだったのか、そんな風には全然思えなかった^^;
でも彼、、185センチも身長があるんですねぇ
キャットが191センチで、しかも高ーいヒールを履いてるものだから170センチそこそこしかないように見えてた(^^;;
このニールが登場してきた時から、「あっ!死にキャラ」と思ってしまって、彼がピンチに陥りそうになるといつ死ぬか、いつ死ぬか…、とハラハラドキドキ
フランダースの犬後遺症で、ハイジのおじいさんがいつ死ぬかいつ死ぬかとハラハラドキドキして見ていた幼少期を思い出してしまった
そんな彼が最後まで生き残って、ホッとしたのも束の間、あぁっ、やっぱり死にキャラだったのね…、と(涙)
ネットの解説では、マックス君がニールだったとか
しかもニール君は10年ぐらい逆行ボックス(?)におこもりだったとか…
ニール君がお気の毒で、お気の毒で(涙)
そう考えると、やたらキャットに執着していた主人公の名無し男って…、うん、好きになれない
ユージュアルサスペクツのように、きっとまた見直すこと必須なこの映画
難解だけど、一気に駆け抜けていく、ひと時も目が離せない、2時間半飽きさせないこの映画
メメントはどんな筋だったか思い出せないけど、この映画は記憶に残る
そんな映画でした
追記
主人公が途中で、確かコーヒーを持ったまま移動する時、片手でソーサーごと持っていたのを見て、文化が違うなぁと思った
日本人ならちょい肩をすくめながら、両手でカップとソーサーを持ってしまうだろうに
同じパターンが過ぎる。
映画あまり見ない、ノーラン監督なんてよく知らない、という人向け。勿論、知的情報ベースのは無理という人は、アクションだけ楽しめばいいんだけど。
世界救済物語は、正直ウンザリしてるので、またそれかと入りから多少へこみつつ鑑賞。期待していたので、反動もあるかな。のっぽ女があまりに見た目だけのフツーなので、守ろう精神にもイマイチ身が入らず、途中から飽き気味でした。
ターミネーター以降の?使い古された第三次世界大戦とか、プルトニウムとか、アルゴリズムとか……。そして、時間を制するものが世界を制する的エントロピー。未来との挟み撃ちですか。マーベルでまたなんかやれば良かったのに。既視感が多くて、伏線回収も、これといって驚く様な展開もなし。極めつけが未来の自分からのプレゼントという。同じパターンが過ぎます。
逆行というか巻き戻し同時進行の映像は見応えがあるものの、カメラが奥行がなくて退屈さを助長した感じ。ミッション・インポッシブルをしたいのかなんなのか、大したテーマも無く、難解な娯楽作品という二番煎じはいただけなかった。何しろ相手がただのクズマフィアなので、こちらも全く魅力が無く、自分の命と道連れに世界を消すってかなり小さい話。未来と取引してるなら、治療でもして来いよ、機械人間でもいいしとシラケる話。
インターステラーの矮小版にして、骨無しぜい肉だけの作品という印象。アクションは、マッチョですが。主人公が外に出るとなった時は結構期待したんだけどな。w 鳥が戻ってる。気にするな。的な、のっけからタイムリープを受け入れ過ぎ。リアリティが消失し過ぎてつまらない典型になった。未来との取引なんて、みんなやってる事よ、だってさ。富豪達の脱税は、マイケル・ムーアに頑張ってほしい。ww
ただ、またもう1つのサイエンス・フィクションを金かけて作ってくれた事に感謝しての3。もう一回見て、理解度が深まったところで、という作品。エンタメとして、料金分楽しみました。
シンプルに発想力がすごかった
物語の最初は難しく感じるかもしれないが、中盤から終わりにかけて一気に加速してとても面白かった
とくに、時間の逆行の表現の仕方がよく思いついたなと思えた。
個人的にニール役のロバート・パティンソンと、アイブス役のアーロン・テイラー・ジョンソンは好きな俳優だったので活躍が見れてよかった
何回見ても楽しめる映画だと思う
その深い因果性に、思考のループに陥る中毒性のある作品
※初見、パンフ買えず。考察に見当違いがあるかもしれないが、最初の感覚を忘れたくないので書き記す。
※※※※※
待ちに待ったノーランの新作、お預け食らわずに公開してくれて嬉しい限りだが、うーん、これは確かに難解。難解というか、めくるめく時間の流れに自分が迷子にならないよう、ついて行くのに必死。
だけど予想の範囲だった箇所も多々あるし(マスクの逆行兵士やニールやテネットのボスの正体など)、核となるストーリーの大筋は理解できた。
言い換えれば、既視感のあるSF作品の範疇を超えてはいなかったともいえる。
王道のストーリーだが、時間が戻る様子を可視化したという点で新境地。
手垢にまみれたSFタイムパラドックスものが溢れる中、まったく新しい描き方ができるのかと脱帽。
しかし考えてみれば、今までのタイムトラベル・スリップ・リープの時間の飛び方の方がご都合主義だったのではないか?
新作ごとに作品を超えてくるノーラン。難解すぎると批判する前に、こんな世界を幾人が可視化できるのか考えてみて!と言いたい。
また、物理の法則ばかりに囚われると映画の主題が見えなくなってしまう。
不思議なもので、思い返せば思い返すほど人物の関係性に因果の業を感じるし、〈名無し〉が〈主役〉に転じたラストのメッセージ性も深みを増す。
ちょいと乗り切れないのは、ジョン演じる名無しが、あまりノーランの描く世界観にマッチしてないところ。劇中で着こなせない高級スーツを見透かされた名無しのように、演じるジョンが「硬質でスタイリッシュすぎる」ノーランの世界にどうもしっくりこない。そこも計算してのキャスティングなら舌を巻くが、あくまで私の主観なので違うだろう。
ま、とにかくノーラン作品には哀愁漂う雰囲気を醸す俳優が似合う気がする。
また、名無しがキャットに一目惚れしたような色気を演出していない割には、彼女に固執しているのがひっかかる。そのバランスは難しいところだったのだろう。
●複雑な逆行世界
閑話休題。
さて本題の逆行だが、これは今までのタイムリープ系と違って、大いに複雑。なぜなら前出の場合は、現在から過去に瞬間移動するようなもので、戻った時点から時間は順行する。
タイムリープはファミコン時代のスーパーマリオブラザーズ(初期)で例えると、「何度か同じ面を繰り返し失敗したらリセットして、また一からステージをクリアすればいい」ので、リセットをして再びスイッチを入れるまでの時間は、マリオにとって消失してるのと同じだ。
しかし今回は「〈スタートから進むマリオの結果を知る〉マリオ」が、ゴール近くの土管から左スクロールで進んでくるのである。しかもそのマリオは「戻ってくる」わけではない。スタートから進む右・スクロールマリオの動きをトレースしてるわけではなく、自由意志で「進んで」くる。左スクロール・マリオは、何が起きるかわかっているから、右スクロール・マリオのために背後からクッパをフルボッコできるし、現れた瞬時クリボーを踏みつけることもできる。
「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良並のチートさかよと思うが、以外と厄介である。スタンドと違い自分の意志で左スクロールに動く流れは止められないし、タイミングを間違うと振り向いたクッパに反撃される危険性もある。しかもエントロピーの法則でエネルギーは反対側に向かうから、クッパの炎は氷に変わる。吸おうとしても酸素は逃げていくから酸素マスクが必要だ。
そしてマリオ同士がぶつかると2体ともジ・エンドになるんだよ、と物理の法則とやらが決めてるし、永遠に逆方向へ進んでも仕方ないので、左スクロール・マリオはどこかの土管に入り右スクロール世界へ戻るか、ひっそりと崖から飛び降りるしかない。
要するに横スクロールが〈時間〉なら、ステージは〈空間〉。同じ空間に違う流れで進むマリオが2体いるのである。
なんかややこしくなってきたし、この例え、的外れな気もしてきた。
鑑賞を進めると忘れてしまいそうになるが、逆行するのは人だけではなく物質も。
バーバラが序章で説明したように、使い手が「撃つ」「持つ」という意思を持ってから対象に及ぼす一連運動が終わるまで。
なので、観客はその画(え)が「順行世界で〈逆行している物質〉を見ている」のか、それとも「逆行世界で〈順行世界を見ている〉人間の視点」なのか、よくよく気を引き締めなければならない。
監督も最初から理解してもらうことを放棄してなのか、バーバラに「理解しないで、感じて」と言わしめてるのが少し情けない。
正解はノーランの頭の中だけだが、疑問に対しての考察を進める。
●アルゴリズムとは。未来はいつなのか
テネットの戦う相手は姿が見えない未来人。
未来のある科学者は、環境破壊による滅亡から人類を救うため地球丸ごと時間が逆行する装置を作ったが、全てが逆行すると先祖たちが滅亡してしまう=未来の自分たちも死ぬ(祖父殺しのパラドックス)理論に絶望して、そのアルゴリズムを9つに分解して過去に隠し、自殺する。
しかし今そこにある危機に瀕している未来人たちは、結果はどうであれ、アルゴリズムを起動させたいと考える。
そこでセイターを利用しアルゴリズムを集めさせてるわけだが、未来から逆行武器や報酬の金を届けてることを考えると、逆行中の時も等しく流れている故に経年劣化してしまうので、それほど遠くない未来だと思われる。
テネット側も未来からエントロピーが反対の物質を利用しており、先祖に味方する未来人もいることが明かされる。プリヤやニールは、〈記録〉があるからだというが、ではその記録の起点はどこか。
起こったことを知っている名無しが記録し、テネットを形成したのは間違いない。テネット部隊は順行時間で結成されたのか、未来で結成され未来から逆行してきたのかは今思うと謎だ。しかし、あんなに大勢が逆行してくるのは無理があるので、やはり届いた〈記録〉を元に現代で結成されたと思われる。
その〈記録〉はニールが持って逆行し、現代でテネットを結成した可能性もある。また、未来人がセイターを操ったように、現代へ色々届けていたのは名無しと逆行→順行に転じたキャットなのかもしれない。
話は変わるが、アルゴリズムというと『虐殺器官』をつい思い出してしまう。
アルゴリズムが物質そのものとも、式そのものとも判別できないところがまた、興味を掻き立てる。
●未来人が逆行してアルゴリズムを探さないわけ
科学者が逆行の状態でアルゴリズムを隠したのか、順行に転じてから隠したのかを忘れてしまった。
前者だとすれば〈そもそも起動したら逆行のエネルギーを世界に与えるアルゴリズム〉に、〈更に逆行のエネルギー〉が付加されたことになる。となれば、逆行の逆行は順行になるので、未来でもアルゴリズムは完成して手元にある可能性もある。
エントロピーの法則ではエネルギーがAからBに平均化するまで止まらない。未来と過去で同時にアルゴリズムを起動させてぶつかり合う時の地点で、未来の逆行は順行に転換するのかもしれない。それこそ未来人の勝利で、順行世界は逆行になり我々は窒息して死ぬのだ。
セイターの忠実な僕は未来人であり、お目付け役兼補佐なのかもしれない。名無しを助けるニールがいるように。
●果たして彼らはタイムループから抜け出せたのか?「俺が主役だ」のセリフの意味とは
ラスト、ニールは「過去を作りにいく」と言う。名無しを助けるために死ににいくわけであるが(胸熱)、順行世界ではまだ幼いニール=マキシム坊ちゃんが成長して、〈テネットのボス〉になった名無しに命じられ、逆行するという行程を踏まないといけない。
ということは結果が先にあってそれを元に動くという〈卵か先か、鶏が先か〉問題が解決していないように思える。
ニールはまた、「起きたことは取り消せない」とも言った。
この時間軸ではテネットが成功し順行世界は無事だから、成功するように動かなければならない。そうなると、やはり結果ありきのループに思える。
しかし起きたことが取り消せないのであれば、セイターの死は確実だし、アルゴリズムも分解できたので、後で名無しが操るはずの武器商人プリヤを殺すことによってループを壊し、そこから先は新しい未来=パラレルワールドに突入したともいえる。
となれば、〈主役〉には「フィクサーは俺だった」という意味と、「これから予測不可能な未来を自分の意志で生きる決意」の意味の二通りを感じることができる。まさに時に翻弄されるだけの「名無し」から〈人生の主役〉に転じた瞬間だ。
ニールが言ったように、未来は誰にもわからないのだから。
●ニールの正体、逆行キャットのその後は
動機を考えると、ニールはキャットの息子マキシムで間違いないだろう。
名無しが回転扉をくぐったあとに外へでようとすると無茶だと止められるシーンがあるので、いかに逆行世界が危険なのかをわかっているニールは、回転扉を通った後はひたすらモグラのように籠もっていたのかもしれない。
逆行中も遡った分だけ歳はとるので、30代に見える彼は、その青年期を逆行のために捧げたと言える。
こんな過酷なことを名無し男が命じるとは思えず、セイターから逃れたキャット母さんが名無しへ感謝する姿を見て育ったマキシム坊ちゃんが、自分から志願したのではないだろうか。
ここで疑問、作戦が成功した後の逆行→順行キャットはどうなったのだろうか。作戦が成功した以上、元々の順行キャットはセイターに脅かされないわけだし、ラスト登場するキャットは全てを知っている逆行キャットではなく、順行キャットだった(と私は思う)。
ループするのであれば、順行キャットが順行セイターに撃たれて…という時間がくるまで自分に会わないよう慎重に行動して、その後の人生を謳歌すればいいが、ループが壊れたと仮定すると同じ人間2人が存在し続けることになる。
これは名無しにも言えることで、一つの疑問である。
こうして考えてみると自説に反証する自分もいて、思考の∞ループにはまってしまう。まさに中毒性のある作品だ。
ループしない希望のある話だと思いたい自分もいるし、ループしてアルゴリズムを阻止し続ける悲劇を想像してしまう自分もいる。
難解という負のエネルギーを転換すると、登場人物の視点を変えて何回鑑賞しても楽しめる超娯楽作品と言い換えられる。
青のロゴマークを見たら最後、観客は劇場に逆行したくなるに違いない。
※どうでもいいけど、更新する度にネタバレが外れる映画コムのアプリの仕様、どうにかなんないかな。
時間の逆行
もの凄く変わった概念にトライした意欲作
時間を逆行させて世界の破滅を未然に防ぐとゆうストーリー
逆行のアクションシーンなど、なんだこりゃ?と思わず思ってしまったが
コンセプトとして面白い
大義の為に命を投げ出したニールに胸が熱くなった
映像も迫力のあるシーンが撮れているが
音楽も素晴らしく映画に迫力を与えている
キャストも良かったし文句ないので高評価にしました
2回鑑賞したらより深く理解した感じなのでオススメします
アクション有り!濡れ場はなし!笑
タイトル通りです
そして「もう一回観たくなる映画」っていうのも分かる脚本でした
冒頭からかっこいいアクションシーン満載なので「刺激がほしい人」や「濡れ場があると気まずい思いをしちゃう初々しいカップル」にオススメです。
黒幕は…、予想がつく人にはついちゃうので面白みがないかもしれません。
私は面白かったですが。
登場人物はみんな持ち味があり素敵ですが、特段、キャット役のエリザベス・デビッキは素晴らしいですね。
同性から見ても憧れるくらいかっこいいです。
時間遡行よりわかりにくい登場人物の心理
時間モノということで時系列が入り組んでいているのだが、それ以上に絵的なわかりにくさと登場人物の心理的なわかりにくさが物語をわかりにくくしており、そこは何とかならなかったのかと思った。
特に絵的なわかりにくさを感じたのが終盤のアルゴリズム奪取作戦で、セイターの部下が地下で何をしてるのかがよくわからないし、地上の戦闘も時間遡行表現にばかり目が行ってどう戦いが進んでるのかがわからなかった。
なぜ単なる鉄柵を突破できないのかも疑問だった。(見落としただけで装備を失う的な描写があったのだろうか)
セイターの精神状態が物語上重要な意味を持つにもかかわらず、意味深なことを言わせるだけでその人格について深められてないのは欠点だと思う。キャットは彼女自身の考えはわかるのだが、境遇に同情できず、なぜ主人公が彼女に執着しているのかがわからない。
特に空港の作戦の後の船上の場面では、登場人物それぞれがそれぞれをどう考えているのかがつかめず困惑した。そのわからなさを抱えたまま、ただでさえ複雑なカーチェイスシーンになるのでさらにわかりにくくなっている。
そもそもこれだけ壮大な物語においてセイターとキャットの愛憎劇自体が場違いに感じる。
時間SFとしての構造がわかってからは比較的わかりやすかった。
ラスト含め時間遡行というアイデアはうまく活用されていた。
ただ時間遡行状態で燃えると低体温になるというのは他の描写と矛盾しているし(その理屈ならただ外にいるだけで熱中症になるのでは……)、序盤での研究室みたいなところでの説明がその後の時間遡行のあり方と噛み合ってなかったり、SF的な描写が深く考えられているとは言い難い。
また、祖父殺しのパラドクスとして作中でも触れられてはいたが、主人公たちが過去に戻って阻止しなかったとしたらアルゴリズムは「いつ」発動していたのか、といった時間モノにありがちなもやもやはやはり残る。
アクションシーンは派手で見ごたえがあるし、体に響くBGMもよかった。
そういう意味では映画館で観てよかった。
傑作になりえた作品だと思うし、なんか惜しい感じ。
冒頭、圧巻のアクションだったが。。。
冒頭、満員のホールでのコンサートシーン。
静寂の中で始まるこの映画、
わくわくしながら見ていくと、その後、少しずつ
「?」が増えてくる。
・なぜか、貨物列車の行き交う駅での露天拷問(笑)
・なぜか、インドの武器商は妻が実権把握
・なぜか、ロシアの黒幕は妻と家庭内別居
(一応、理由はあるが大物感は減衰される)
・なぜか、金塊山盛りの貨物機は警備が手薄
・なぜか、高価な絵画が保管されている部屋は見学可能
暗躍する組織や人物たちが、大物なのか、
それほどでもない奴らなのか、スケール感や背景が
わかりづらすぎる。
映画の構成は凝っているが、なぞなぞを散りばめるのに
集中しすぎて、映画全体の世界観が見えないため、
感情移入できなかった。
真の黒幕は主役だった、というラストの種明かしも
「そうだったんだねー」でしかなかった。
そういうことは気にしない人は、高い評価をつけるかもしれない。
分かりにくい
アクションシーンや音響は迫力がありました。売りの逆再生シーンは映像的には面白いのですが長く続くと飽きます。
逆順と正順が一画面にうつると何が起きているのかよくわからないので、集中しにくかった。
肝心の逆行するトリガーがわからないのも???僕が頭悪いんでしょうかね。
考えるな感じろってことなんでしょうけど(笑)
スパイ物としては面白いと思うのですが、世界を終わらす動機も、そんな理由?とあっけにとられてしまう。
なにやら消化不良な感じです。
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