TENET テネットのレビュー・感想・評価
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瞬間移動出来ない時空組織・名もなき男の序章
ノーラン作品だとメメントよりかは観易い。
別作品「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(以下ぼく明日)の様に、ある2つの世界を繋ぐ扉があり、そこを行き来して繰り広げられる物語。
私には
ぼく明日は空間2つ、時間も2つ(ベクトルは真逆)。
扉以外は干渉はしない。
テネットは空間2つ(1つは時間に逆らう)、時間は1つ。
扉も空間も干渉する。
と言った所。
干渉する空間。時間に対する順行と逆行。
いやはや、複雑な映像設定世界だと思います。
1回目で概要を理解し、その概要にて自分なりの疑問を再確認する為、リピートまたはビデオテープ的巻き戻し逆行鑑賞したくなります。
ですので、「映画館上映向きか?」と問われれば不親切と答えざる得ない。
また、相棒ニール側の視点映画も観たくなる。
(コレ重要)
ストーリーは起承転結の起承で伏線を貼り、転でネタあかし、伏線回収見事です。
しかし、主人公が人から人へ繋がる動機が大雑把。
評価分かれてますね。
評価低くなる理由の一つは、名もなき男の視点が中心で映画を観てしまったからもある思います。
彼のこの映画での行動は、この描かれた世界を構築する上で序章に過ぎませんし。
また、奇抜なアイデアは万民に面白いとは限らない。
映画館で上映する前提を裏切ってくれる内容。
ノーランがお金を掛けた分の映画を観せてくれるのは確かです。
2回目9月24日鑑賞。
物語を理解してからの再鑑賞なら面白い。星4。
逆にこの時空を理解するヒントの様な台詞が多過ぎに思えて来た。
しかし、劇場3回目は無いかな。
時間という軸を取り入れた『詰め将棋』
観る人を選ぶとは思うが、僕は楽しめた。
というかめちゃくちゃワクワクとした気持ちで見れた。
映画に大切なのは、
ストーリーや登場人物たちの行動理由や目的〈WHY〉と、
その物語の世界観やアクションそのもの〈HOWやWHAT〉の配分率だと思っている。
一般に売れる映画、評判の良い映画というのはこの配分が絶妙なのだ。
だから、
アクションに傾きすぎて〈WHY〉が抜けると、「ストーリーが薄い」とか「キャラが薄い」だなんて言われたりする。
逆に〈HOW〉や〈WHAT〉がない、つまり世界観や物語の背景が薄いと「自分語りかよ」とか「監督のオナニー映画」なんて言われたりする。
本作『TENET』は、どちらかというと
”時間逆行””第三次世界大戦の阻止”を背景とした〈HOW、WHAT〉が目立つ映画だと思う。
時間が逆行する世界の中で行われるアクションや飛行機を爆発させたりとか、理論とか理由はよく分からないのだが、
うおー!
おぉ?!
すごぇー!!?
という見ている私たちのリアクションを生む。
時間逆行という要素を取り入れながらも、
ファンタジーとして終わらせるのでなく、
多少無理やりにでも物理に落とし込めているのは、ノーラン監督らしいと感じた。
このように『時間逆行アクション』が楽しい本作なワケだが、〈WHY〉がないわけではない。
逆に〈WHY〉の比率が高すぎるのだ。
もはや、ストーリーは一度見ただけでは理解不能。
なんで逆行するの?
なんで逆行の世界と順行の世界が並行するの?
結局、黒幕って?
そもそもなんで世界を守ることになってんの?
今日って、何日?
…etc
とまあ、映画観賞後はこんな疑問がわんさか出てくる。
こういった「?」いっぱいの映画は大体、賛否をわけ、好き嫌いもわける。
だけど、わざと観客を置いてけぼりにする、それこそノーラン監督の狙いだろう、だなんて思うとニヤリとする。
この映画を一言で言えば
『時間という軸を取り入れた詰め将棋』
未来のある起点において、
一度、出来上がってしまった盤面の形を変えるために、
あらゆる人物を前後左右に動かすだけでなく、
時間をも順行、逆行させて王将を取りに行く。
そんなお話。
映画鑑賞中、ハテナがたくさん浮かぶと思う。
分からなすぎてもしかして、怒りまで沸いてくるかもしれない。
でも、まずはこの世界観に勇気をもって飛び込んで、「なんじゃこりゃあ〜!」となるのを楽しんで欲しい。
そして、「なんであそこで、ああなったの⁈」という詰め将棋〈WHY〉を皆で解き明かそう。
映画『TENET』は、
噛めば噛むほど味が出る、
もしかして一生噛み切れない、
そんなスルメ映画です。
理解が...
途中で理解しようとするのをやめました。
けど、面白かった。
しかし、よくこれを実写で作ろうと思ったな。っと感心しました。
アニメとかで作った方がきっと楽に作れるのでは?と思いながら鑑賞してました。
この映画の命題である時間に関するあれこれを理解するの私の頭では不可能でしたが、
映像、演出などの作り込みがよく、特に音楽がとても良かったからか、
よく分からないので面白くない、という気持ちにはなりませんでした。
一度、物理学の詳しい人に教えてもらってからもう一度見たいと思いました。
教えてもらってなくてももう一回観たいなとは思っています。
遊び心と思えば
121本目。
テレビでタレントの方々のコメントが気になってしまう。
でもそれを気にしてしまうと作品について行けなくなる。
仕事とは言え、かなり迷惑。
劇中のセリフでもあるけど、頭で考えるから分からなくなるし、作品のテンポに追い付かない。
あれは監督の遊び心位で観た方がいいと思う。
残り30分位に女2人が入って来たけど、明らかにアニメ好き。
スクリーンを間違えてる。
しかも俺の周りで携帯の明かりをたより席を探してる。
スンゲー迷惑だった。
スクリーンの画を観て気付かないもんか?
冷静に考えても理解不能。
『テネット』鑑賞。
*主演*
ジョン・デビッド・ワシントン
*感想*
ノーランの作品は「インターステラー」と「インセプション」を観ました。どちらの作品も難解でしたが、インセプションは面白かったです。最新作もかなり難解らしいので、覚悟してましたけど、冷静に考えても、ワケわかんなかったなぁー(^^;
無理に理解しようとせず、見てましたが、ストーリーがとにかく難解だった。タイムスリップして、過去と未来の演出が凄かったけど、全体的に何がどうなってんのかさっぱりわからなかった。←特に終盤。
音楽と迫力は神レベルだったが、肝心のストーリーが非常に解りにくい。
回転ドアの中に入って、数分前に戻った所とか、人が巻き戻ってる描写とか、爆破や銃弾、時間の流れや逆行とか一応説明はありましまが、解りにくい!
最後の方とかも「?」だし、展開が早すぎて最後まで置いてきぼりになってしまったw
総じて、評価がつけにくいのですが、現在と過去と未来が行ったり来たりして、ストーリーはよくわからなかったけど、一応アクションシーンがかなりあって興奮はしたので、星4つ!
脚本がある意味凄かった。。
さすがノーラン。
こんがらがる愉悦
21世期のキューブリック、クリストファー・ノーラン話題の作品。映像の美しさ、不可思議さは、期待を裏切らない。
内容は「インセプション」のモチーフと、「インターステラー」のパラドックス、「ダンケルク」の迫力を足して円周率?で割った感じ。初見では全てを把握するのは困難。この辺りがノーランの面倒くささなのだけど、この映像は映画館の大画面で観たいし、内容の深掘りは家でシーンを手動で移動して確認しながら観たいし。いっそのことスクリーン貸し切りで、自在に巻き戻ししながら観れたらいいのに。
最初は何がなんだかよくわからないまま、スパイアクションが展開され、その後すぐにややこしい時間の逆行アイテムが披露される。撃った弾丸は拳銃に戻るわけだ。こちらの時間軸では時間は一定方向に進むのだが、あちらから来た物体は"逆行"している。これが本作の基本設定だ。そうしたアイテムが研究所で保管されていたけど、これらは時間が経てば加工前の金属や火薬などに分解されて、原材料になっちゃうんじゃないのだろうか。
なんて余計な心配はさておき、しっかり観てないと(しっかり観てても?)何がどちらの時間軸かわからなくなり、大混乱となる。普通の物語のように、伏線の因果関係があるという前提が微妙にズラされるので、頭の中が混線するのだ。そこがまた楽しいのだけど。
ノーランの狙いもこの辺だろうと思うが、悔しいかなどっぷりと罠にハマってしまった。始まりから終わりに向かう時間と、終わりから始まりに戻る時間を噛み砕きたいけど、現実の映画はエンディングへ一直線。後戻りはしない。ストーリーを追うだけなら、基本的に主人公は常に同じ方向の時間軸なので、そこを足場として見れば、追いつき易いのではなかろうか。
主演はジョンDワシントン(デンゼル・ワシントンの息子)。「ブラッククランズマン」のチャラい感じとうって変って、スーパー諜報員。落ち着いた感じが良いですね。ケネス・プラナーは「ダンケルク」に続いて重要な役所で、画面を引き締めます。昨年の「イエスタディ」に主演したヒメーシュ・パテルも少し出てます。人種も国籍もさまざまで、ここも今のハリウッドの世相を象徴していて好感持てますね。
まとめると「インセプション」同様、やってくれたなというのが率直な感想。もう一度映画館で鑑賞した上で、配信やブルーレイの発売を待ち、細かいところを補完したくなる。ノーラン教への洗脳要素が満載の作品だ。ノーランはきっと、映像で脳内のどこかを刺激して、常習性のある麻薬物質を出させる秘密を握ってるに違いない。
すべてが「TENET」というタイトルに集約されているのが、また心憎い。邦題でカタカナ表記されると台無しだけど。
時間の逆行という奇妙なネタにチャレンジ
うん、確かに不可解。。
最後のシーンを見て。う…ん、このストーリーはどっかでみたような感覚になった。ターミネーターかな。
ターミネーターのストーリーに、時間の逆行という奇妙な武器?を加えて、逆再生と再生が入り混じった不思議な映像で作られた作品という印象を受けました。
後半の戦闘シーンは、敵の姿がはっきり描かれていないので、砲弾は飛んでくるのに相手は誰?ん?ん?っていう疑問が最後まで残り、しっくり来なかった。
第三次世界大戦から世界を守るため!という大義も未来の画がないからか、なんとなく説得力に欠ける印象…
でも、逆再生と再生が交錯した映像や、後半で前半とのつながりが、見えてくるところは面白い!さすがです。
ノーランワールド全開です!!
さぁー久々のノーラン監督のSF映画!!しかも予告編からノーラン色満載でした笑( ̄▽ ̄)
クリストファーノーラン監督の代表作といえば「インセプション」
夢がテーマでしたよね(≧∇≦)
独特の世界観と、少し複雑なルールを設けてそれを具現化した映像が、SFらしさと幻想世界的な描写を可能にしています。
そして僕らはそれを読み取ろうと映像のあらゆるところにその伏線がないかを無意識に探してしまう、、、、、
それくらい作り込まれているから、世間的に"難解"と呼ばれている所以ですね( ̄▽ ̄)
そして今回は「時間の逆行」がテーマです。
まさに上記のとおり、しっかりルール作りと映像化、そして今回もそれを僕らは読みとこうと必死に見入ってしまっておりました(ーー゛)
最後にしっかり伏線回収してくれますが、謎を知った上でもう一度観てみたい映画でした。(≧∇≦)
わかんない。
流石にこれはやりすぎでしょう。ノーランさんいつも謎を出してくれてるんだが、今回はそう言うわかるようなわからないような感覚があまりなく、挫折感だけが残ってる。
後ちょっと気にかかる問題だが、高速道路シーンのあの白い車は正時間の視点でどう見ればいいのか、壊れた車が超自然の力で立ち直ってバックて追ってくる?そもそもあの壊れた白い車は正時間の視点下いつからそこに存在したのか?しかも凍りついた状態で。
映画の中で「don’t think about it,feel it」と言うセリフがあるから、深く考えちゃダメってこと示唆しているのかな。
理屈を考えなくてもストーリーの分け方が雑、明らかにメメント以下。
設定と映像のゴリ押し(良い意味で)
随分昔にみた予告で気になっていたノーラン監督の映画がついに公開されたので鑑賞。
期待していた通りの凄い映画でした。
序盤、若干の退屈さはありますが、中盤辺りでストーリーの全容について
ぼんやり理解出来るようになってからは、目まぐるしく進む展開や
トンデモ設定から繰り出されるド迫力なトンデモ映像の数々から目が離せません。
一体どんな頭をしていたらこんな設定を思いつき、こんな映像が撮れるのか。
確かに正直何が起こっているか分からない部分も多くありましたが、
個人的にはあまり細かい部分を気にせず感覚で観ている部分があるため、そこまで気にはなりませんでした。
ただ、設定について深く考えてしまうなど、気になる人には気になるかもしれません。
テレビや小さいモニターで観ると面白さが半減する映画は色々ありますが、
これこそ映画館で、そして出来ればimaxで観て欲しいと思います。
高名な現代芸術作品をみるのと同じか
高名な現代作品を見たことがありますか?大半の人は何が何だかわからないでしょう。
でも、専門家という人があれこれ説明して素晴らしいと誉めそやし、大半の人々は「よくわからないけど専門家が素晴らしいというからには素晴らしいんだろう」、「理解できないのは自分の知識不足のせいだろう」と無理やり納得する。
まあ、この作品も同じようなもんでしょ。
はっきり言って、何が何だかわからない。わかったのは主人公の活躍によって世界が救われたということ。
時間の順行、逆行、タイムパラドックス等、エントロピー増大なんて自分にはよくわからんし、「時間の矢」なんてそもそも現代物理学でもわかっていないでしょう。
訳のわからないものを観客に理解できるようもっともらしく物語を作るのが監督の才能というなら、残念ながらこの監督には才能がない。
あと一つ言えるのは、ハリウッド映画にありがちな女性を大切にする姿勢は、世界を救おうとする主人公の目的にはそぐわないので強い違和感があった。
1回見て物語のあらすじが理解できないような作品は、決して良い作品ではないと思う。
作品の評価はとても低いのだけど、コロナ禍で劇場が閉鎖されている中、意を決して公開したことを踏まえて評価は甘目です。
「THE・ノーラン監督作品」という感じ
とうとうこのギミックにたどりついたか……!というギミック。
ノーラン監督ならいつかはやるだろうな、と思ったけど、実際に出来上がったものを見たら想像以上に素晴らしくて満点!って感じでした。
ノーラン監督作品は「今何が起きているのかわからない」という人もいますが、基本的には物語のスタートとゴールは簡単になっていて、中盤何が起きるかはわからなくても、終盤どうなるかはわかりやすいといえます。
「何がどうなってゴールするのか」をわかりにくくするために四次元的存在とか記憶とか夢とかそういうギミックをおいているんでしょう。
今回の仕掛けは、そういう意味では「スタートとゴール」がこれ以上なくわかりやすくなる仕掛け。
一方で、その中間はめちゃくちゃ解らなくなる仕掛けです。
とはいえ、スタートとゴールがわかりやすく、またわかりやすくなるための舞台装置も数あるため、意外に「話を全く追えない!」って人はいないと思います。
また、その舞台装置のおかげで「こんなの初めて見た!」という映像が次々に出てくるし、
ギミックにたいする科学的な考証も確りやったうえでエンタメ的に面白くしているんですよね。
ノーラン監督ってメメントやダークナイト辺りで苦手意識があったんですが、ここ最近のエンタメに振り切っている作品は好きです。
オーシャンズっぽかったり007っぽかったりと、ジャンルごとのツボもしっかり押さえているし、「このギミック使うなら当然あるよね?」と期待したアレコレもしっかり回収していってくれたので満足です。
ただ、ノーラン監督って「よくよくストーリーを追ってみると、ご都合だったり、バカがいたりする」というのがあるんですけど、今回は比較的スタートゴールの関係性がわかりやすかったせいか、初見でもそれが見えてしまっていた部分があります。
ノーラン監督作品の楽しみ方ってその辺気にせず監督に身を委ねて「なんかわかんないけどすげぇ!」ってなることだと思うんですが、わかってしまったので☆をひとつ減らし。
今後考察いっぱい出てくると思うので、「さすがに深読みしすぎでは汗」というような考察含め楽しむことができるのもノーラン監督作品の面白さですね。
言葉に表現がなかなかできない自分が悔しい
2回鑑賞したい自分と1回でその余韻に十分浸りたい自分がいます。
正直前半は物語についていくのが大変でした。
けど後半にはいってから前半の様々なことに意味があってそのパワーに圧倒されっぱなしでした。
確かに難解と感じる部分もありますがそれをひっくるめて哲学なんじゃないかと思う、そんな気分です。
正当な評価ができるのは理解したもののみ
前々から期待していた本作がどのような展開になるのか、どんな世界を見せてくれるのか、間違いなく今年一番楽しみにしていました。
さっそく公開日に鑑賞してきましたが、ついにノーラン監督の変態っぷりが最大限発揮されたなといった印象です。これまでの作品でも壮大な物語で観る人をその世界観に酔わせてきたノーラン監督ですが、この映画はこれまでの次元を超えた世界観でした。
事前情報から話が難解であることは理解していたものの、やはり途中から振り落とされたように展開についていけなくなりました。もう観ているというより、観させられるくらいスピーディに展開される話なので、内容をかみ砕いていくような余裕はなく、今を常に見ていないと到底追いつけない話になっています。例えるならジェットコースターに乗りながらその瞬間瞬間の展開を理解していくような感じです。
現在から未来へ進む時間軸と現在から過去に進む時間軸が交わるカオスな展開は、観る映画というより感じる映画なのかなと思いました。それくらい難解な映画でした。
評価は3.5としましたが、映画としては非常にリアルでありスペクタクルであり、物語の理解度によっては4.0、それ以上が出てもおかしくはないですが、僕は理解が追い付かなかったので今回はこのような評価としました。
おそらく評価が分かれる本作かと思いますが、正当な評価を下せるのは物語を理解できてからでしょう。そして理解できた時にこの映画の真髄が見えてくるのだと思います。
レンタルが始まったらもう一度挑戦してみたいと思います。
初めて観る方はYouTube観て内容頭に入れてから行った方がいいかと思います。それでも内容が分からないかもしれませんが、初見殺しの作品なので観てもネタバレにもならないと思います。
【時間の順行/逆行のループ、TENET】
作品のキャプチャーや、予告編でも明らかなように、この作品では、時間の逆行が重要な仕掛けになっている。
そして、もう一つ、映画のタイトル「TENET」が重要な示唆を含んでいるようにも感じる。
TENETは、作品の字幕では「主義」とされていたが、-ismとは区別して「信条」と訳されることが多い。
そう、この作品には、クリストファー・ノーランの独特な何か逆説的なテーマが隠されてるようにも感じるのだ。
(以下は僕の勝手な思い込みも含んだレビューで、一部ネタバレもありますのでご留意下さいな)
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映画のなかで、様々な意味で僕達を悩ます時間の逆行は、問題解決のツールとして扱われる。
ほんの一瞬から、スタルクス12の爆破事故までの長い日数を遡ることもある。
時間が順行する中で、過去の自身の作戦行動と交錯し、同一人物同士が鉢合わせするパラドックスの危機が起こり、プルトニウムをめぐるカーアクションにも目が離せない。
エンディングの前、スタルクス12の順行部隊と逆行部隊の作戦行動では、時間の逆行を一瞬、順行部隊に先に見せることによって、作戦を成功に導こうとするのだが、ここが一番、ツールとしての時間の逆行が理解しやすいところだと思った。
あと、個人的には、キャットがダイヴする場面で、もしかしたら、自分が未来から来た自分を知らずに眺めていることもあるのかと、ベタなSF感もあって良かったと思う。
前段で、時間の逆行は、問題解決のツールだと書いたが、同時に世界を滅ぼす可能性も秘めていた。
科学者の探究心が致命的な結果をもたらすのは、核兵器の父と呼ばれるオッペンハイマーのエピソードからも明らかだ。
この世界の破滅を食い止めるのが、「名もなき男」の使命だ。
ただ、こうした壮大なSFの仕掛けやアクションが展開するなか、映画が、旧ソ連の核実験施設を巡る話に触れることで、実は別のテーマが込められているのでと意識させられるようになる。
それは、主義や信条、つまり、TENETが、僕達の現実の世界の中で、いとも簡単に時間を遡るように元に戻ってしまう危うさを秘めていることだ。
ソ連は崩壊したが、そのあとを継いだロシアは、ロシア人の保護を盾に、クリミアに侵攻したり、ウクライナ国境での軍事行動を展開したりしている。
第一次世界大戦の反省の上に「民族自決」が唱えられた結果、ナチスドイツは、ドイツ民族の保護を名目に東欧やオーストリアを併合し、第二次世界大戦を引き起こした。
同じだ。
歴史は繰り返すと言うが、類似した出来事が発生しても、過去の学んだ知恵で、人間はこれを克服するという意味で使われていると思っていた。
しかし、世界の現状を見ると、決してそんなことはないことに気が付く。
イラク戦争を見る限り、アメリカも過去に学んでいたとは決して思えない。
オバマとプーチンの間で合意され、オバマのノーベル平和賞の受賞理由となった核兵器削減は、既に反故にされたも同然で、米露はお互いの主張を譲ろうとせず、核兵器再拡大のリスクも高まっている。
人権を蔑ろにし、差別を助長しようとする行為が散見されるようになったことは、人間が長らく培った民主主義や平等、人権などの価値観を大きく揺さぶってもいる。
時間の逆行が、映画のなかで問題解決のツールになり得ても、僕達の現実の世界では、様々なTENETが自ら過去の価値観に回帰しようとすることで、問題解決は遠のく一方なのだ。
「こんな世界にしてしまったのは人間なのだから、この世界を終わりにさせる」というセイターの言葉は、アベンジャーズ のサノスにも通じる破滅的主張で、何の解決策も提示していない。
エンディング、ニールの雇い主が、未来の名もなき男だったことが明らかになる。
名もなき男とニールは、世界を救うために、永遠に同じ時間のなかをループし続けるのだろうか。
逆説的だが、まるで、僕達の現在の世界で、様々なTENETが現在と過去の価値観のなかで行ったり来たり揺れ動いているかのようでもある。
実は、僕達がするべきことは、時間を逆行させるのではなく、過去の価値観に逆行しようとするTENETを元に戻すことなのではないのか。
そして、一度引き戻せたとしても、また、TENETは逆行しようとするに違いない。
セイターやシンがいない世界では、セアターやシンを過去で救おうとする者が必ずいるだろう。
こうした、綱引きのような、何度も引き戻そうとする行為は、名もなき男とニールが同じ時間のなかでループするようなものかもしれない。
しかし、去って行くニールに悲壮感はなかった。
名もなき男と共にいずれ世界を救えると確信しているかのようだ。
実は、映画のなかの「名もなき男」とは、僕達自身のことではないのか。
解決策は簡単ではないだろう。
しかし、世界を救えるのは僕達自身なのだと言っているのではないのか。
だから、「運命なのか?」という問いに「現実だ」という回答だったのではないのか。
「運命」として受け入れるのか。
「現実」として対処するのか。
どちらも決めるのは僕達なのだろう。
そんなことを考えながらの鑑賞だった。
黄昏に生きる
第3次世界大戦を防ぐ為に時間を遡るスキルを使って暗躍する男の話。
プルトニウムを巡って時間を遡りながら戦って行くけれども、パラレルワールドってことは、結局主人公自身がいる時間軸だけってことだし、戻った時間軸の中で時間経過を戻すけど、一瞬でもタイミングが違ったら、一緒に戻った人物と会話出来なくないですか?
全て先読みしていないと成り立たない行動とか、辻褄があっていない様に感じたのも自分が理解出来ていないだけ?
SFだから突っ込むなってこと?
その時々起きていることは面白いのだけど、設定が色々噛み砕けていないからか、納得出来ないからか、釈然とせず。
冷めたことを言うと、そんなタイミングじゃなくてもっと楽勝なところ狙って遡れば…と思うし、物語的にはあーそーですかという感じしかしなかった。
俺たちのノーラン
クリストファーノーランという監督は、毎回映画ファンにとっては最高のおもちゃを提供してくれる。
一時の映画体験に止まらず、いつまでもこねくり回して遊んでいられる。
何とありがたいことだろう。
観ない手は無いですよね。
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