TENET テネットのレビュー・感想・評価
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その深い因果性に、思考のループに陥る中毒性のある作品
※初見、パンフ買えず。考察に見当違いがあるかもしれないが、最初の感覚を忘れたくないので書き記す。
※※※※※
待ちに待ったノーランの新作、お預け食らわずに公開してくれて嬉しい限りだが、うーん、これは確かに難解。難解というか、めくるめく時間の流れに自分が迷子にならないよう、ついて行くのに必死。
だけど予想の範囲だった箇所も多々あるし(マスクの逆行兵士やニールやテネットのボスの正体など)、核となるストーリーの大筋は理解できた。
言い換えれば、既視感のあるSF作品の範疇を超えてはいなかったともいえる。
王道のストーリーだが、時間が戻る様子を可視化したという点で新境地。
手垢にまみれたSFタイムパラドックスものが溢れる中、まったく新しい描き方ができるのかと脱帽。
しかし考えてみれば、今までのタイムトラベル・スリップ・リープの時間の飛び方の方がご都合主義だったのではないか?
新作ごとに作品を超えてくるノーラン。難解すぎると批判する前に、こんな世界を幾人が可視化できるのか考えてみて!と言いたい。
また、物理の法則ばかりに囚われると映画の主題が見えなくなってしまう。
不思議なもので、思い返せば思い返すほど人物の関係性に因果の業を感じるし、〈名無し〉が〈主役〉に転じたラストのメッセージ性も深みを増す。
ちょいと乗り切れないのは、ジョン演じる名無しが、あまりノーランの描く世界観にマッチしてないところ。劇中で着こなせない高級スーツを見透かされた名無しのように、演じるジョンが「硬質でスタイリッシュすぎる」ノーランの世界にどうもしっくりこない。そこも計算してのキャスティングなら舌を巻くが、あくまで私の主観なので違うだろう。
ま、とにかくノーラン作品には哀愁漂う雰囲気を醸す俳優が似合う気がする。
また、名無しがキャットに一目惚れしたような色気を演出していない割には、彼女に固執しているのがひっかかる。そのバランスは難しいところだったのだろう。
●複雑な逆行世界
閑話休題。
さて本題の逆行だが、これは今までのタイムリープ系と違って、大いに複雑。なぜなら前出の場合は、現在から過去に瞬間移動するようなもので、戻った時点から時間は順行する。
タイムリープはファミコン時代のスーパーマリオブラザーズ(初期)で例えると、「何度か同じ面を繰り返し失敗したらリセットして、また一からステージをクリアすればいい」ので、リセットをして再びスイッチを入れるまでの時間は、マリオにとって消失してるのと同じだ。
しかし今回は「〈スタートから進むマリオの結果を知る〉マリオ」が、ゴール近くの土管から左スクロールで進んでくるのである。しかもそのマリオは「戻ってくる」わけではない。スタートから進む右・スクロールマリオの動きをトレースしてるわけではなく、自由意志で「進んで」くる。左スクロール・マリオは、何が起きるかわかっているから、右スクロール・マリオのために背後からクッパをフルボッコできるし、現れた瞬時クリボーを踏みつけることもできる。
「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良並のチートさかよと思うが、以外と厄介である。スタンドと違い自分の意志で左スクロールに動く流れは止められないし、タイミングを間違うと振り向いたクッパに反撃される危険性もある。しかもエントロピーの法則でエネルギーは反対側に向かうから、クッパの炎は氷に変わる。吸おうとしても酸素は逃げていくから酸素マスクが必要だ。
そしてマリオ同士がぶつかると2体ともジ・エンドになるんだよ、と物理の法則とやらが決めてるし、永遠に逆方向へ進んでも仕方ないので、左スクロール・マリオはどこかの土管に入り右スクロール世界へ戻るか、ひっそりと崖から飛び降りるしかない。
要するに横スクロールが〈時間〉なら、ステージは〈空間〉。同じ空間に違う流れで進むマリオが2体いるのである。
なんかややこしくなってきたし、この例え、的外れな気もしてきた。
鑑賞を進めると忘れてしまいそうになるが、逆行するのは人だけではなく物質も。
バーバラが序章で説明したように、使い手が「撃つ」「持つ」という意思を持ってから対象に及ぼす一連運動が終わるまで。
なので、観客はその画(え)が「順行世界で〈逆行している物質〉を見ている」のか、それとも「逆行世界で〈順行世界を見ている〉人間の視点」なのか、よくよく気を引き締めなければならない。
監督も最初から理解してもらうことを放棄してなのか、バーバラに「理解しないで、感じて」と言わしめてるのが少し情けない。
正解はノーランの頭の中だけだが、疑問に対しての考察を進める。
●アルゴリズムとは。未来はいつなのか
テネットの戦う相手は姿が見えない未来人。
未来のある科学者は、環境破壊による滅亡から人類を救うため地球丸ごと時間が逆行する装置を作ったが、全てが逆行すると先祖たちが滅亡してしまう=未来の自分たちも死ぬ(祖父殺しのパラドックス)理論に絶望して、そのアルゴリズムを9つに分解して過去に隠し、自殺する。
しかし今そこにある危機に瀕している未来人たちは、結果はどうであれ、アルゴリズムを起動させたいと考える。
そこでセイターを利用しアルゴリズムを集めさせてるわけだが、未来から逆行武器や報酬の金を届けてることを考えると、逆行中の時も等しく流れている故に経年劣化してしまうので、それほど遠くない未来だと思われる。
テネット側も未来からエントロピーが反対の物質を利用しており、先祖に味方する未来人もいることが明かされる。プリヤやニールは、〈記録〉があるからだというが、ではその記録の起点はどこか。
起こったことを知っている名無しが記録し、テネットを形成したのは間違いない。テネット部隊は順行時間で結成されたのか、未来で結成され未来から逆行してきたのかは今思うと謎だ。しかし、あんなに大勢が逆行してくるのは無理があるので、やはり届いた〈記録〉を元に現代で結成されたと思われる。
その〈記録〉はニールが持って逆行し、現代でテネットを結成した可能性もある。また、未来人がセイターを操ったように、現代へ色々届けていたのは名無しと逆行→順行に転じたキャットなのかもしれない。
話は変わるが、アルゴリズムというと『虐殺器官』をつい思い出してしまう。
アルゴリズムが物質そのものとも、式そのものとも判別できないところがまた、興味を掻き立てる。
●未来人が逆行してアルゴリズムを探さないわけ
科学者が逆行の状態でアルゴリズムを隠したのか、順行に転じてから隠したのかを忘れてしまった。
前者だとすれば〈そもそも起動したら逆行のエネルギーを世界に与えるアルゴリズム〉に、〈更に逆行のエネルギー〉が付加されたことになる。となれば、逆行の逆行は順行になるので、未来でもアルゴリズムは完成して手元にある可能性もある。
エントロピーの法則ではエネルギーがAからBに平均化するまで止まらない。未来と過去で同時にアルゴリズムを起動させてぶつかり合う時の地点で、未来の逆行は順行に転換するのかもしれない。それこそ未来人の勝利で、順行世界は逆行になり我々は窒息して死ぬのだ。
セイターの忠実な僕は未来人であり、お目付け役兼補佐なのかもしれない。名無しを助けるニールがいるように。
●果たして彼らはタイムループから抜け出せたのか?「俺が主役だ」のセリフの意味とは
ラスト、ニールは「過去を作りにいく」と言う。名無しを助けるために死ににいくわけであるが(胸熱)、順行世界ではまだ幼いニール=マキシム坊ちゃんが成長して、〈テネットのボス〉になった名無しに命じられ、逆行するという行程を踏まないといけない。
ということは結果が先にあってそれを元に動くという〈卵か先か、鶏が先か〉問題が解決していないように思える。
ニールはまた、「起きたことは取り消せない」とも言った。
この時間軸ではテネットが成功し順行世界は無事だから、成功するように動かなければならない。そうなると、やはり結果ありきのループに思える。
しかし起きたことが取り消せないのであれば、セイターの死は確実だし、アルゴリズムも分解できたので、後で名無しが操るはずの武器商人プリヤを殺すことによってループを壊し、そこから先は新しい未来=パラレルワールドに突入したともいえる。
となれば、〈主役〉には「フィクサーは俺だった」という意味と、「これから予測不可能な未来を自分の意志で生きる決意」の意味の二通りを感じることができる。まさに時に翻弄されるだけの「名無し」から〈人生の主役〉に転じた瞬間だ。
ニールが言ったように、未来は誰にもわからないのだから。
●ニールの正体、逆行キャットのその後は
動機を考えると、ニールはキャットの息子マキシムで間違いないだろう。
名無しが回転扉をくぐったあとに外へでようとすると無茶だと止められるシーンがあるので、いかに逆行世界が危険なのかをわかっているニールは、回転扉を通った後はひたすらモグラのように籠もっていたのかもしれない。
逆行中も遡った分だけ歳はとるので、30代に見える彼は、その青年期を逆行のために捧げたと言える。
こんな過酷なことを名無し男が命じるとは思えず、セイターから逃れたキャット母さんが名無しへ感謝する姿を見て育ったマキシム坊ちゃんが、自分から志願したのではないだろうか。
ここで疑問、作戦が成功した後の逆行→順行キャットはどうなったのだろうか。作戦が成功した以上、元々の順行キャットはセイターに脅かされないわけだし、ラスト登場するキャットは全てを知っている逆行キャットではなく、順行キャットだった(と私は思う)。
ループするのであれば、順行キャットが順行セイターに撃たれて…という時間がくるまで自分に会わないよう慎重に行動して、その後の人生を謳歌すればいいが、ループが壊れたと仮定すると同じ人間2人が存在し続けることになる。
これは名無しにも言えることで、一つの疑問である。
こうして考えてみると自説に反証する自分もいて、思考の∞ループにはまってしまう。まさに中毒性のある作品だ。
ループしない希望のある話だと思いたい自分もいるし、ループしてアルゴリズムを阻止し続ける悲劇を想像してしまう自分もいる。
難解という負のエネルギーを転換すると、登場人物の視点を変えて何回鑑賞しても楽しめる超娯楽作品と言い換えられる。
青のロゴマークを見たら最後、観客は劇場に逆行したくなるに違いない。
※どうでもいいけど、更新する度にネタバレが外れる映画コムのアプリの仕様、どうにかなんないかな。
おお、いいね。難解だ。
時間の逆行
もの凄く変わった概念にトライした意欲作
時間を逆行させて世界の破滅を未然に防ぐとゆうストーリー
逆行のアクションシーンなど、なんだこりゃ?と思わず思ってしまったが
コンセプトとして面白い
大義の為に命を投げ出したニールに胸が熱くなった
映像も迫力のあるシーンが撮れているが
音楽も素晴らしく映画に迫力を与えている
キャストも良かったし文句ないので高評価にしました
2回鑑賞したらより深く理解した感じなのでオススメします
ネタバレ出来る人を尊敬する
2回連続その日に鑑賞。
「2回観ないと解らない」と言う感想をチラホラ見たけど、正しくは「2回目が楽しい映画」と言うのが個人的な感想。
1回で理解して楽しみたいと思う人は素直にネタバレを読んでから行くのをオススメ。
ちなみに私はネタバレしたいけど、出来る語彙力が無い。
この例えが適当か解らないけど、グルメ番組で食レポするでしょ。
照りがあって、香りはどうか、口に入れたときの味の広がり、咀嚼したときの歯触り。
どんなに語彙力を駆使して何時間も説明しても口に入れて飲み込む10秒には敵わない。
『TENET』はそういう映画。
どんなに説明してネタバレしても視覚からの情報や感覚の説明は出来ない。
物語の起承転結はあるものの、物語内の時間の流れは起(承・結)(転・承)(承・承・転)結・起と時間が絡まり、それは感覚でしか理解できない。
そう思うとタイトルの『TENET』も意味が変わる。
普通に意味を調べれば信条・主義・教義だけど、左右どちらから読んでも『TENET』とは……。
タイムスリップの革新的な定義の発明❗
難解である。
と言っても、007やミッションインポッシブルが分かりやすいわけではなく、アクションで押しきられて、冷静になってみると一体何だったのか説明できない部分は間違いなくあった。ただ、大抵そこはどうでもよかったりするのだ。しかし、本作はいかにも謎かけですよ…という映像が挿入されているので、簡単ではない。
大筋は、核爆発の危機(陰謀)から世界を救うべく、敵の中枢に潜り込んでその計画を阻止せんとするエージェントの活躍を描いたサスペンスアクションだ。そこに時間を往き来するSFテイストが加わり、謎かけが散りばめられている。
クリストファー・ノーランは、クエンティン・タランティーノと並ぶ現役世代のアイドル監督だろう。
本作は、ただ難解なだけではなく、驚きの映像とアクションでちゃんとエンターテイメントに仕上げているところが、人気監督の実力と言えよう。
逆行と順行が交錯するというアイディアには驚いたが、それを見事に映像化させたイマジネーションと技術力の高さにも驚嘆する。
これは、ノーランが追求した映画における時間操作の一つの到達点ではないだろうか。
この斬新な映画を20代で観ていたら、きっとノーラン監督に心酔しただろうと思う。
「映画館で観るべき映画」に仕立てあげて、コロナ禍の今、世界同時公開させた挑戦にも敬服する。
冒頭のオペラハウス襲撃シークエンスで、迫力に圧倒されつつもさっそく謎の映像を目にする。そして解りにくい物語へと突入するが、バラエティーに富んだアクションと謎かけのシーンが連続して目が離せない。
空港で火災を起こすダイナミックな撹乱作戦、ハイウェイでの緊迫のプルトニウム奪取作戦など、時間操作のないシーンでも充分に面白い。
主人公が「回転ドア」の秘密を知った後、前半で描かれたアクションシーンを逆の視点からなぞる趣向になっている。
ハイウェイのカーチェイスは、逆行と順行が真っ向からぶつかり合う驚異の演出だ。トニー・スコット監督が『デジャブ』で、異次元とのカーチェイスを描いてみせたが、それに勝るとも劣らない。
そして、クライマックスの戦闘シーンこそ、それまでみせてきた逆行と順行交錯の集大成だ。過去と現在(あるいは現在と未来か)の戦闘員が圧倒的な物量で錯綜するスペクタクル。倒壊した建物が逆回しで復元しながら爆破されるという、未体験映像。
最後まで謎かけと謎解きが繰り返し、遂に名無しの主人公の秘密が明かされる構成も見事だ。
タイムパラドックスの矛盾を解消すべく考え出された斬新な独自定義。
過去に戻った者は時間を逆走するという秀逸のアイディア。
しかし、この法則が徹底されていないように見えたし、異なる時間にいるはずの者同士がタイミングを計って行動するのもおかしな感じだ。
つまり、タイムスリップ物語で辻褄を合わせるという難題は、ノーランをもってしても打破できなかったと…ということで☆半分マイナス。
大迫力のトリハダもの!
理屈じゃない
インセプションが縦方向、TENETが横方向、おもしろいと思うかは嗜好の違いか?
そもそも何回か観させるようにできてると思う
”逆行”の考え方はノーベル級
この映画の素晴らしさは”逆行”という信条を考えたこと。
これは万人では想像出来ない考え方。これを考えたクリストファー・ノーラン監督はすごいと思う。
そのすごさは考え方だけではない。
”順行”と”逆行”が同時進行する映像を誰が想像できただろうか?
だからこそ、この映画はとても難解になってしまう。
”逆行”をベースにするとなるほどと思うのだが、ラストの同時進行の部分は理解することが難しかった。
これはキャストもそうだということで、少しホッとしている。
ただこの考え方がないと、ストーリーとしてつまらないものになっただろう。
ともかくこの違和感を味わってほしい。この感覚は他では味わえない。
観るべき映画だと思う、それも数回。
私はまだ1回なので、まだ味わえていないので”4”止まりとさせて頂く。
数回観ると、この評価は上がるような気がしている。
よくわからなくなる
1回目では理解不能
ノーランのセカイは逆回転
コロナ後初のハリウッド超大作がクリストファー・ノーラン最新作というのが映画ファンとしては胸躍る。
絶対に作品を劇場で観たい監督の一人。
コロナで公開延期が相次ぎ、『ムーラン』に至っては配信に。
そんな中、再び観客を劇場に呼び戻すミッションを課せられていた本作だが、残念ながら全米では期待を下回る結果に…。
しかしそれでも、劇場公開に踏み切ってくれた事が嬉しい。
話はなかなかに難しく、賛否分かれているようだが、スケールも映像もビジュアルも迫力も音楽も、さすがノーラン!…とでも言うべき劇場で観る醍醐味に満ちていた。
テロ事件阻止で負傷し、目覚めた名も無き男。あるミッションに選ばれる。核戦争より恐ろしい未来の第三次大戦の阻止…。
謎に包まれた作品なので、ネタバレや詳細に触れる事は控えておこう。(と言うか、複雑な本作の説明を避けようとする言い逃れかもしれないけど…(^^;)
ノーランのこれまでの作品に例えたら、『メメント』×『インセプション』と言った所か。
両作共なかなかに小難しいが、本作はノーラン作品の中でも最難解と言えよう。
大まかなあらすじだけ追うと、スパイ映画。
僅かな手掛かりを頼りに、謎に近付いていく。味方や協力者となる美女。立ちはだかる敵。そして、衝撃の秘密…。
それこそ、今再見している007シリーズのようだ。
そこに、特異であり、最大の特色として描かれるのが、“時間の逆行”。
突然目の前で、銃弾が手に戻る。
敵兵との戦いが巻き戻っていく。
横転した車が元に戻ったり、爆破したビルが爆破前になる。
一体、この現象は何なのか…!?
未来の第三次大戦と何か関係あるのか…!?
主人公とは何の関わりとあるのか…!?
時折出てくる未来を指し示す言葉の意味は…!?
それこそ謎のワード“TENET”とは…!?
全てが、謎に満ちている。
『インセプション』ではビルが歪み舞台が回転する夢の世界、『インターステラー』では誰も見た事の無い未知の宇宙を創造。
本作の映像世界も脅威的で目を見張る。
まず、並行時間。
実物を使った旅客機が建物に突っ込むシーン、カーチェイスだけでも圧倒。
突如として、時間が逆行。
カーチェイス・シーンで前述の通り横転した車が元に戻り、肉弾戦でもバトルや割れたガラスや銃弾が元に戻ったり…。
一体、どうやって撮影したんだ…!?
極め付けは、並行部隊と逆行部隊が入り乱れて作戦を決行する大迫力のクライマックス・アクション。
一体全体、本当にどうやって撮影したんだ…!?
恥ずかしながら、本作を完璧に把握していないだろう。リピーターが多いのも頷ける。
が、有無を言わせぬ迫力にただただ圧倒された。
エントロピーとかアルゴリズムとか、普段聞き慣れない言葉もちらほら。(エントロピーなんて、『まどマギ』以来久々に聞いた)
本当にノーランの頭の中はどうなっているんだろう。お願いだから、我々を置いて先に未来に行かないで~!
そのノーラン世界に応えたスタッフ/キャストも称賛モノ。
キャストは皆、熱演と身体を張ったアクションを披露。
まだ僅かなキャリアながら、ジョン・デヴィッド・ワシントンが堂々たる超大作主演。偉大な父への第二歩。(一歩目は『ブラック・クランズマン』での快演)
ロバート・パティンソンもナイス相棒。ほぼ完全にヴァンパイアの血は抜けたね。
ケネス・ブラナーも秘密を握る敵役で凄みたっぷり。監督業も多いが、やはり名優。
特筆は、エリザベス・デビッキ。その華のある美貌もさることながら、彼女演じる役から見ると、もう一人の主人公とも言える。
臨場感たっぷりのホイテ・ヴァン・ホイテマの撮影。
編集と音楽はノーラン組初参加。特に、『ブラックパンサー』でオスカーを受賞したルドウィグ・ゴランソンによる不穏な音楽が時間が逆行する世界を際立たせている。
お粗末ながら、これだけしか語れない。
本当に結末やこの脅威の映像世界は劇場で体感して欲しい。
“残念ながら、『TENET/テネット』について語る事は出来ない。自分の目で確かめろ”…ってやつ。
敢えて言えるなら、
今を生きている我々は、時間の中間地点に居る。過去があって、未来があって。
起きてしまった事は仕方ない。
どう向き合うべきか。
話は難解だが、訴えるメッセージは案外普遍的だったのかもしれない。
期待以上のノーラン映画
自分はSFは好きだし、映画や漫画などいろんな作品をこれまでに見てきてる方だと思ってるけど、それでも追いつけないレベルで話が進んでいく。
まず説明している内容が難しいししかもすごい早さ。
もう字幕を読むだけで必死であるが、しかし主人公はさっさと飲み込んでしまうので、問題はより複雑になっていく。
もちろん、これを求めていたので最高だ。難しすぎるとか言うくらいならBTTFでも見たほうがいい。
と思っていたが終盤は全然ついていけなかった。
今までのSFにある現象を使ってるなら、そこの説明を省略していくのはわかる。だが、時間の逆行というこれまでにない発想の世界で、そこの説明も必要最小限のまま戦闘に巻き込まれたりしていくので、追いつくことを諦めると一気にどうでもよくなっていく。仲間と次の作戦を考えるシーンとか、仕組みがよくわかってない自分みたいな観客の頭には入ってこない。知らない会議に参加してるみたいな感覚でさすがに眠くなってくる。
そんなときはただ不思議な世界を楽しむしかできない。
ジョジョの新しいスタンドが出てきたくらいに思った方がいいのかもしれない。あらゆる現象が逆に進むのは新しくて面白かった。
逆行の仕組みは一回じゃ絶対に理解できない。けど、説明を受けたのにまったく理解できない状態で逆行世界に行くときの緊張感を味わえたのが楽しかった。
そして終わってからもその原因と結果が逆という考えに取り憑かれていると、自分の考え方、生き方も変わるような気がした。
アクション有り!濡れ場はなし!笑
タイトル通りです
そして「もう一回観たくなる映画」っていうのも分かる脚本でした
冒頭からかっこいいアクションシーン満載なので「刺激がほしい人」や「濡れ場があると気まずい思いをしちゃう初々しいカップル」にオススメです。
黒幕は…、予想がつく人にはついちゃうので面白みがないかもしれません。
私は面白かったですが。
登場人物はみんな持ち味があり素敵ですが、特段、キャット役のエリザベス・デビッキは素晴らしいですね。
同性から見ても憧れるくらいかっこいいです。
ややこしすぎる
時間遡行よりわかりにくい登場人物の心理
時間モノということで時系列が入り組んでいているのだが、それ以上に絵的なわかりにくさと登場人物の心理的なわかりにくさが物語をわかりにくくしており、そこは何とかならなかったのかと思った。
特に絵的なわかりにくさを感じたのが終盤のアルゴリズム奪取作戦で、セイターの部下が地下で何をしてるのかがよくわからないし、地上の戦闘も時間遡行表現にばかり目が行ってどう戦いが進んでるのかがわからなかった。
なぜ単なる鉄柵を突破できないのかも疑問だった。(見落としただけで装備を失う的な描写があったのだろうか)
セイターの精神状態が物語上重要な意味を持つにもかかわらず、意味深なことを言わせるだけでその人格について深められてないのは欠点だと思う。キャットは彼女自身の考えはわかるのだが、境遇に同情できず、なぜ主人公が彼女に執着しているのかがわからない。
特に空港の作戦の後の船上の場面では、登場人物それぞれがそれぞれをどう考えているのかがつかめず困惑した。そのわからなさを抱えたまま、ただでさえ複雑なカーチェイスシーンになるのでさらにわかりにくくなっている。
そもそもこれだけ壮大な物語においてセイターとキャットの愛憎劇自体が場違いに感じる。
時間SFとしての構造がわかってからは比較的わかりやすかった。
ラスト含め時間遡行というアイデアはうまく活用されていた。
ただ時間遡行状態で燃えると低体温になるというのは他の描写と矛盾しているし(その理屈ならただ外にいるだけで熱中症になるのでは……)、序盤での研究室みたいなところでの説明がその後の時間遡行のあり方と噛み合ってなかったり、SF的な描写が深く考えられているとは言い難い。
また、祖父殺しのパラドクスとして作中でも触れられてはいたが、主人公たちが過去に戻って阻止しなかったとしたらアルゴリズムは「いつ」発動していたのか、といった時間モノにありがちなもやもやはやはり残る。
アクションシーンは派手で見ごたえがあるし、体に響くBGMもよかった。
そういう意味では映画館で観てよかった。
傑作になりえた作品だと思うし、なんか惜しい感じ。
冒頭、圧巻のアクションだったが。。。
冒頭、満員のホールでのコンサートシーン。
静寂の中で始まるこの映画、
わくわくしながら見ていくと、その後、少しずつ
「?」が増えてくる。
・なぜか、貨物列車の行き交う駅での露天拷問(笑)
・なぜか、インドの武器商は妻が実権把握
・なぜか、ロシアの黒幕は妻と家庭内別居
(一応、理由はあるが大物感は減衰される)
・なぜか、金塊山盛りの貨物機は警備が手薄
・なぜか、高価な絵画が保管されている部屋は見学可能
暗躍する組織や人物たちが、大物なのか、
それほどでもない奴らなのか、スケール感や背景が
わかりづらすぎる。
映画の構成は凝っているが、なぞなぞを散りばめるのに
集中しすぎて、映画全体の世界観が見えないため、
感情移入できなかった。
真の黒幕は主役だった、というラストの種明かしも
「そうだったんだねー」でしかなかった。
そういうことは気にしない人は、高い評価をつけるかもしれない。
全972件中、561~580件目を表示