TENET テネットのレビュー・感想・評価
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珍しくもう一度観たくなった
自分は、同じ映画を何度も観るということをあまりしないのですが(その分観たことのない作品を観よう、と思いがちなため)「もう一回観よう」と思った作品でした。
前評判から「最初から最後まで分からない」「意味不明」といった感想を見かけていたので、観客おいてけぼりのとっちらかった退屈な映画だったらどうしよう、などと思っていたのですが杞憂でした。
開幕からほんのり続く居心地の悪さ。
何かあるだろう、でもよく分からない。
いつのまにかパズルのピースが揃っていて、後半はなるほど!の連続でした。
考察や解説を見て気づいたこともたくさんあり、それを見たからこそもう一度観たくなる、個人的には珍しい映画でした。
思えばシャッターアイランドでも同じような感想を抱きました。
すべて紐解けばきちんと理由があり、調べれば筋が通る。意味のないことはない。こういった形の難しさは大好物でした。
考えるな!感じろ!
クリストファー・ノーランの最新作!
2回観てきましたが、2回目観たときは結構理解出来て良かったです。
コロナ禍の中で久々にハリウッドの大作映画が公開されるということで、彼の作品としては今までで以上にSNS上で話題になっていてお祭り騒ぎです(笑)
さぁ、そんな本作ですが…
またしても凄い映画です!
彼はこれまで、
ダークナイト3部作、インセプション、インターステラーと数々の革新的で素晴らしい名作を作ってきましたが、これだけの作品群を作ってきてまだこんな革新的な映画が作れるのかと思うと本当に凄いです!
今回のあらすじは、第3次世界大戦を阻止するべくジョン・デヴィッド・ワシントン演じる主人公がミッションに挑むSFスパイアクション。
内容的には007の影響が強いインセプションに近いですかね。
ただ、今回は話が世界規模であること、テーマが「時間」であることが大きなポイント。
ノーランの作品はこれまでも時間を自在に操る演出方法や、劇中で時間の流れが変わったりする作品を色々と撮ってきましたが、本作では「時間の逆行」という、遂に時間そのものを主軸とした作品を作ってしまいました!
時間を逆再生させる映画は演出法のみで言うと「メメント」を彷彿とさせますが、今回は登場人物をタイムリープさせて逆行させるというクレイジーかつ野心的な設定がアクション要素を盛り込みながら展開されていました。
タイムリープものの有名な代表作を全て観てるわけではないのですが、自分はハリウッド大作の映画でここまでタイムリープを深く描いた映画は観たことが無いです。
そのタイムリープ(時間の逆行)を、陽電子という量子の理論を用いているので、本作における科学的な考察をするとキリが無いほど出来そうです。
そんな興味深い「時間の逆行」を主軸としながら、かつ迫力あるアクションを盛り込んでいるので、本当に面白い!
中でも、主人公と逆行してる人間が戦うアクションシーン!
時間が正しく進んでる人間と逆行してる人間が戦ってるので正直2回観てもわけが解らなくなりますが、わけが解らないからこそ、非常に奇妙で不思議な動きをするので、非常に興味深くてただただ映像に釘付けです!
また、消防車を使った中盤のミッションシーンも個人的に凄く好きです。
また、この映画において一番興味深いキャラクターは、ロバート・パティンソン演じる主人公の相棒ニールです!
準主人公として素晴らしく援護射撃をしているし、相棒のキャラクターとしてこれ以上無いくらい素晴らしい活躍をしていて頼もしいです。
はっきり言って、主人公はニールがいなければ確実に死んでます(笑)
彼の信条もとても興味深く、本作で一番好きになれたキャラクターでした!
演じたロバート・パティンソンも、良い役者になったなぁ。
また、本作における伏線の回収もお見事!
この映画、前半のあらすじは後半の伏線回収のための内容にほぼなってるので初め観たときは若干退屈に感じる部分もありましたが、伏線が何ヵ所も張っているので、それが後半に一気に回収されるので、本当に圧巻です!
ちなみに、初めて観たときは後半に物凄く熱が 入りましたが、2回目を観ると前半がより面白くなるので、また違った視点で楽しめました。
ただ、今作は設定の興味深さと映像センスに比重を置いたからか、エモーショナルなストーリー展開はインターステラーやダークナイトに比べてそんなに無かったように思えます。
ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる主人公は好きではありますが、主人公が何者かというのもそこまで明かされないからか、映画見終わった後も相棒のニールほど好きになれたわけでは無かったです。
個人的にはそこが物足りなかった所であり、そこに関しては賛否解れてます。
また、クリストファー・ノーランの映画はただでさえ情報量が多い上に設定も複雑なので、単純なストーリーを望んでる方は正直他のノーラン作品以上に苦手かもしれないです。
しかし、自分のように情報量が多くて1回で理解出来なくてもどんどん引き込まれる方には本当に素晴らしい傑作映画です!
自分はインセプションで映画を何度か観る楽しさを教わりましたが、久々に何度も観たくなる楽しさを新作映画で味わえました!
ありがとう、ノーラン!
エンタメの快作だが奥深い感動はない
これは面白かった。思っていたよりはるかにエンターテイメントだった。
『第3次世界大戦』とか『人類滅亡』とかいった未来に対する悲観的なワードが今作の作戦に重みなり必然性を与えているものの、あくまでエンタメに軸足を置いた快作でありました。
ただし自分としては『インターステラー』を観たときのような奥深く激しい感動がなかった。ノーラン作品としては中位だと言ったら袋叩きに合うのだろうか。
あー面白かった!久々に劇場でゲラゲラ笑ってしまった、あまりの凄さに...
あー面白かった!久々に劇場でゲラゲラ笑ってしまった、あまりの凄さに。空港もカーチェイスも戦争も、面白くて吐きそう。また見に行こう。
この映画を観てわかったことは、
ノーラン監督ですし、難しいという噂でしたので予習をしてから観賞しましたが、それでも頭の悪い僕にはついていくのは大変でした。
この映画を観てよくわかったことは、時間を逆行できてしまうと大変なことになるということと、僕の頭が悪いということでした(笑)。
それでも時間の順行の世界に逆行が交差する映像はとてもワクワクしましたし、そもそも時間を逆行するという発想は斬新でスゴい!
あまり考えずに楽しめる映画が好きなので評価は☆3.5となっておりますが、難解な映画が好きな人やリピート観賞をしたらもっと評価はあがると思います。
多くのレビューの通り、難解
確かに2回くらい観ないと理解できないという感じの映画でした。
でも、単純に逆行する世界は面白かったと思います。
わかりやすくするとこの世界観は面白みが無くなってしまうのでこれでいいのかもしれません。
シンプルに発想力がすごかった
物語の最初は難しく感じるかもしれないが、中盤から終わりにかけて一気に加速してとても面白かった
とくに、時間の逆行の表現の仕方がよく思いついたなと思えた。
個人的にニール役のロバート・パティンソンと、アイブス役のアーロン・テイラー・ジョンソンは好きな俳優だったので活躍が見れてよかった
何回見ても楽しめる映画だと思う
その深い因果性に、思考のループに陥る中毒性のある作品
※初見、パンフ買えず。考察に見当違いがあるかもしれないが、最初の感覚を忘れたくないので書き記す。
※※※※※
待ちに待ったノーランの新作、お預け食らわずに公開してくれて嬉しい限りだが、うーん、これは確かに難解。難解というか、めくるめく時間の流れに自分が迷子にならないよう、ついて行くのに必死。
だけど予想の範囲だった箇所も多々あるし(マスクの逆行兵士やニールやテネットのボスの正体など)、核となるストーリーの大筋は理解できた。
言い換えれば、既視感のあるSF作品の範疇を超えてはいなかったともいえる。
王道のストーリーだが、時間が戻る様子を可視化したという点で新境地。
手垢にまみれたSFタイムパラドックスものが溢れる中、まったく新しい描き方ができるのかと脱帽。
しかし考えてみれば、今までのタイムトラベル・スリップ・リープの時間の飛び方の方がご都合主義だったのではないか?
新作ごとに作品を超えてくるノーラン。難解すぎると批判する前に、こんな世界を幾人が可視化できるのか考えてみて!と言いたい。
また、物理の法則ばかりに囚われると映画の主題が見えなくなってしまう。
不思議なもので、思い返せば思い返すほど人物の関係性に因果の業を感じるし、〈名無し〉が〈主役〉に転じたラストのメッセージ性も深みを増す。
ちょいと乗り切れないのは、ジョン演じる名無しが、あまりノーランの描く世界観にマッチしてないところ。劇中で着こなせない高級スーツを見透かされた名無しのように、演じるジョンが「硬質でスタイリッシュすぎる」ノーランの世界にどうもしっくりこない。そこも計算してのキャスティングなら舌を巻くが、あくまで私の主観なので違うだろう。
ま、とにかくノーラン作品には哀愁漂う雰囲気を醸す俳優が似合う気がする。
また、名無しがキャットに一目惚れしたような色気を演出していない割には、彼女に固執しているのがひっかかる。そのバランスは難しいところだったのだろう。
●複雑な逆行世界
閑話休題。
さて本題の逆行だが、これは今までのタイムリープ系と違って、大いに複雑。なぜなら前出の場合は、現在から過去に瞬間移動するようなもので、戻った時点から時間は順行する。
タイムリープはファミコン時代のスーパーマリオブラザーズ(初期)で例えると、「何度か同じ面を繰り返し失敗したらリセットして、また一からステージをクリアすればいい」ので、リセットをして再びスイッチを入れるまでの時間は、マリオにとって消失してるのと同じだ。
しかし今回は「〈スタートから進むマリオの結果を知る〉マリオ」が、ゴール近くの土管から左スクロールで進んでくるのである。しかもそのマリオは「戻ってくる」わけではない。スタートから進む右・スクロールマリオの動きをトレースしてるわけではなく、自由意志で「進んで」くる。左スクロール・マリオは、何が起きるかわかっているから、右スクロール・マリオのために背後からクッパをフルボッコできるし、現れた瞬時クリボーを踏みつけることもできる。
「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良並のチートさかよと思うが、以外と厄介である。スタンドと違い自分の意志で左スクロールに動く流れは止められないし、タイミングを間違うと振り向いたクッパに反撃される危険性もある。しかもエントロピーの法則でエネルギーは反対側に向かうから、クッパの炎は氷に変わる。吸おうとしても酸素は逃げていくから酸素マスクが必要だ。
そしてマリオ同士がぶつかると2体ともジ・エンドになるんだよ、と物理の法則とやらが決めてるし、永遠に逆方向へ進んでも仕方ないので、左スクロール・マリオはどこかの土管に入り右スクロール世界へ戻るか、ひっそりと崖から飛び降りるしかない。
要するに横スクロールが〈時間〉なら、ステージは〈空間〉。同じ空間に違う流れで進むマリオが2体いるのである。
なんかややこしくなってきたし、この例え、的外れな気もしてきた。
鑑賞を進めると忘れてしまいそうになるが、逆行するのは人だけではなく物質も。
バーバラが序章で説明したように、使い手が「撃つ」「持つ」という意思を持ってから対象に及ぼす一連運動が終わるまで。
なので、観客はその画(え)が「順行世界で〈逆行している物質〉を見ている」のか、それとも「逆行世界で〈順行世界を見ている〉人間の視点」なのか、よくよく気を引き締めなければならない。
監督も最初から理解してもらうことを放棄してなのか、バーバラに「理解しないで、感じて」と言わしめてるのが少し情けない。
正解はノーランの頭の中だけだが、疑問に対しての考察を進める。
●アルゴリズムとは。未来はいつなのか
テネットの戦う相手は姿が見えない未来人。
未来のある科学者は、環境破壊による滅亡から人類を救うため地球丸ごと時間が逆行する装置を作ったが、全てが逆行すると先祖たちが滅亡してしまう=未来の自分たちも死ぬ(祖父殺しのパラドックス)理論に絶望して、そのアルゴリズムを9つに分解して過去に隠し、自殺する。
しかし今そこにある危機に瀕している未来人たちは、結果はどうであれ、アルゴリズムを起動させたいと考える。
そこでセイターを利用しアルゴリズムを集めさせてるわけだが、未来から逆行武器や報酬の金を届けてることを考えると、逆行中の時も等しく流れている故に経年劣化してしまうので、それほど遠くない未来だと思われる。
テネット側も未来からエントロピーが反対の物質を利用しており、先祖に味方する未来人もいることが明かされる。プリヤやニールは、〈記録〉があるからだというが、ではその記録の起点はどこか。
起こったことを知っている名無しが記録し、テネットを形成したのは間違いない。テネット部隊は順行時間で結成されたのか、未来で結成され未来から逆行してきたのかは今思うと謎だ。しかし、あんなに大勢が逆行してくるのは無理があるので、やはり届いた〈記録〉を元に現代で結成されたと思われる。
その〈記録〉はニールが持って逆行し、現代でテネットを結成した可能性もある。また、未来人がセイターを操ったように、現代へ色々届けていたのは名無しと逆行→順行に転じたキャットなのかもしれない。
話は変わるが、アルゴリズムというと『虐殺器官』をつい思い出してしまう。
アルゴリズムが物質そのものとも、式そのものとも判別できないところがまた、興味を掻き立てる。
●未来人が逆行してアルゴリズムを探さないわけ
科学者が逆行の状態でアルゴリズムを隠したのか、順行に転じてから隠したのかを忘れてしまった。
前者だとすれば〈そもそも起動したら逆行のエネルギーを世界に与えるアルゴリズム〉に、〈更に逆行のエネルギー〉が付加されたことになる。となれば、逆行の逆行は順行になるので、未来でもアルゴリズムは完成して手元にある可能性もある。
エントロピーの法則ではエネルギーがAからBに平均化するまで止まらない。未来と過去で同時にアルゴリズムを起動させてぶつかり合う時の地点で、未来の逆行は順行に転換するのかもしれない。それこそ未来人の勝利で、順行世界は逆行になり我々は窒息して死ぬのだ。
セイターの忠実な僕は未来人であり、お目付け役兼補佐なのかもしれない。名無しを助けるニールがいるように。
●果たして彼らはタイムループから抜け出せたのか?「俺が主役だ」のセリフの意味とは
ラスト、ニールは「過去を作りにいく」と言う。名無しを助けるために死ににいくわけであるが(胸熱)、順行世界ではまだ幼いニール=マキシム坊ちゃんが成長して、〈テネットのボス〉になった名無しに命じられ、逆行するという行程を踏まないといけない。
ということは結果が先にあってそれを元に動くという〈卵か先か、鶏が先か〉問題が解決していないように思える。
ニールはまた、「起きたことは取り消せない」とも言った。
この時間軸ではテネットが成功し順行世界は無事だから、成功するように動かなければならない。そうなると、やはり結果ありきのループに思える。
しかし起きたことが取り消せないのであれば、セイターの死は確実だし、アルゴリズムも分解できたので、後で名無しが操るはずの武器商人プリヤを殺すことによってループを壊し、そこから先は新しい未来=パラレルワールドに突入したともいえる。
となれば、〈主役〉には「フィクサーは俺だった」という意味と、「これから予測不可能な未来を自分の意志で生きる決意」の意味の二通りを感じることができる。まさに時に翻弄されるだけの「名無し」から〈人生の主役〉に転じた瞬間だ。
ニールが言ったように、未来は誰にもわからないのだから。
●ニールの正体、逆行キャットのその後は
動機を考えると、ニールはキャットの息子マキシムで間違いないだろう。
名無しが回転扉をくぐったあとに外へでようとすると無茶だと止められるシーンがあるので、いかに逆行世界が危険なのかをわかっているニールは、回転扉を通った後はひたすらモグラのように籠もっていたのかもしれない。
逆行中も遡った分だけ歳はとるので、30代に見える彼は、その青年期を逆行のために捧げたと言える。
こんな過酷なことを名無し男が命じるとは思えず、セイターから逃れたキャット母さんが名無しへ感謝する姿を見て育ったマキシム坊ちゃんが、自分から志願したのではないだろうか。
ここで疑問、作戦が成功した後の逆行→順行キャットはどうなったのだろうか。作戦が成功した以上、元々の順行キャットはセイターに脅かされないわけだし、ラスト登場するキャットは全てを知っている逆行キャットではなく、順行キャットだった(と私は思う)。
ループするのであれば、順行キャットが順行セイターに撃たれて…という時間がくるまで自分に会わないよう慎重に行動して、その後の人生を謳歌すればいいが、ループが壊れたと仮定すると同じ人間2人が存在し続けることになる。
これは名無しにも言えることで、一つの疑問である。
こうして考えてみると自説に反証する自分もいて、思考の∞ループにはまってしまう。まさに中毒性のある作品だ。
ループしない希望のある話だと思いたい自分もいるし、ループしてアルゴリズムを阻止し続ける悲劇を想像してしまう自分もいる。
難解という負のエネルギーを転換すると、登場人物の視点を変えて何回鑑賞しても楽しめる超娯楽作品と言い換えられる。
青のロゴマークを見たら最後、観客は劇場に逆行したくなるに違いない。
※どうでもいいけど、更新する度にネタバレが外れる映画コムのアプリの仕様、どうにかなんないかな。
おお、いいね。難解だ。
映画見るとき理解しながら見るのでしょう。理解が追いつかなくなり、あるいは理解が違っていて修正して、を繰り返す。
脳がお腹いっぱいになれる映画です。そんな映画滅多にないです。面白かったけど2度目は見ないです。疲れた〜。
時間の逆行
もの凄く変わった概念にトライした意欲作
時間を逆行させて世界の破滅を未然に防ぐとゆうストーリー
逆行のアクションシーンなど、なんだこりゃ?と思わず思ってしまったが
コンセプトとして面白い
大義の為に命を投げ出したニールに胸が熱くなった
映像も迫力のあるシーンが撮れているが
音楽も素晴らしく映画に迫力を与えている
キャストも良かったし文句ないので高評価にしました
2回鑑賞したらより深く理解した感じなのでオススメします
ネタバレ出来る人を尊敬する
2回連続その日に鑑賞。
「2回観ないと解らない」と言う感想をチラホラ見たけど、正しくは「2回目が楽しい映画」と言うのが個人的な感想。
1回で理解して楽しみたいと思う人は素直にネタバレを読んでから行くのをオススメ。
ちなみに私はネタバレしたいけど、出来る語彙力が無い。
この例えが適当か解らないけど、グルメ番組で食レポするでしょ。
照りがあって、香りはどうか、口に入れたときの味の広がり、咀嚼したときの歯触り。
どんなに語彙力を駆使して何時間も説明しても口に入れて飲み込む10秒には敵わない。
『TENET』はそういう映画。
どんなに説明してネタバレしても視覚からの情報や感覚の説明は出来ない。
物語の起承転結はあるものの、物語内の時間の流れは起(承・結)(転・承)(承・承・転)結・起と時間が絡まり、それは感覚でしか理解できない。
そう思うとタイトルの『TENET』も意味が変わる。
普通に意味を調べれば信条・主義・教義だけど、左右どちらから読んでも『TENET』とは……。
タイムスリップの革新的な定義の発明❗
難解である。
と言っても、007やミッションインポッシブルが分かりやすいわけではなく、アクションで押しきられて、冷静になってみると一体何だったのか説明できない部分は間違いなくあった。ただ、大抵そこはどうでもよかったりするのだ。しかし、本作はいかにも謎かけですよ…という映像が挿入されているので、簡単ではない。
大筋は、核爆発の危機(陰謀)から世界を救うべく、敵の中枢に潜り込んでその計画を阻止せんとするエージェントの活躍を描いたサスペンスアクションだ。そこに時間を往き来するSFテイストが加わり、謎かけが散りばめられている。
クリストファー・ノーランは、クエンティン・タランティーノと並ぶ現役世代のアイドル監督だろう。
本作は、ただ難解なだけではなく、驚きの映像とアクションでちゃんとエンターテイメントに仕上げているところが、人気監督の実力と言えよう。
逆行と順行が交錯するというアイディアには驚いたが、それを見事に映像化させたイマジネーションと技術力の高さにも驚嘆する。
これは、ノーランが追求した映画における時間操作の一つの到達点ではないだろうか。
この斬新な映画を20代で観ていたら、きっとノーラン監督に心酔しただろうと思う。
「映画館で観るべき映画」に仕立てあげて、コロナ禍の今、世界同時公開させた挑戦にも敬服する。
冒頭のオペラハウス襲撃シークエンスで、迫力に圧倒されつつもさっそく謎の映像を目にする。そして解りにくい物語へと突入するが、バラエティーに富んだアクションと謎かけのシーンが連続して目が離せない。
空港で火災を起こすダイナミックな撹乱作戦、ハイウェイでの緊迫のプルトニウム奪取作戦など、時間操作のないシーンでも充分に面白い。
主人公が「回転ドア」の秘密を知った後、前半で描かれたアクションシーンを逆の視点からなぞる趣向になっている。
ハイウェイのカーチェイスは、逆行と順行が真っ向からぶつかり合う驚異の演出だ。トニー・スコット監督が『デジャブ』で、異次元とのカーチェイスを描いてみせたが、それに勝るとも劣らない。
そして、クライマックスの戦闘シーンこそ、それまでみせてきた逆行と順行交錯の集大成だ。過去と現在(あるいは現在と未来か)の戦闘員が圧倒的な物量で錯綜するスペクタクル。倒壊した建物が逆回しで復元しながら爆破されるという、未体験映像。
最後まで謎かけと謎解きが繰り返し、遂に名無しの主人公の秘密が明かされる構成も見事だ。
タイムパラドックスの矛盾を解消すべく考え出された斬新な独自定義。
過去に戻った者は時間を逆走するという秀逸のアイディア。
しかし、この法則が徹底されていないように見えたし、異なる時間にいるはずの者同士がタイミングを計って行動するのもおかしな感じだ。
つまり、タイムスリップ物語で辻褄を合わせるという難題は、ノーランをもってしても打破できなかったと…ということで☆半分マイナス。
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