「「ノーランの奇妙な冒険 ジャンボジェットを砕きたい」」TENET テネット たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
「ノーランの奇妙な冒険 ジャンボジェットを砕きたい」
秘密結社「テネット」へスカウトされたCIAの男が、第三次世界大戦を阻止するためにインポッシブルなミッションに挑む!というスパイアクション映画。
監督/製作/脚本は「ダークナイト・トリロジー」や『インセプション』のクリストファー・ノーラン。
主人公である名もなき男を演じたのは『ブラック・クランズマン』のジョン・デヴィッド・ワシントン。
主人公の相棒ニールを演じたのは『ハリー・ポッター』シリーズや『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソン。
ヒロインである鑑定士キャットを演じるのは『華麗なるギャツビー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のエリザベス・デビッキ。
「テネット」の一員で最終ミッションの指揮官を務めた男、アイヴスを演じたのは『キック・アス』シリーズや『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアーロン・テイラー=ジョンソン。
イギリス情報機関のエージェント、クロズビー卿を演じたのは「ダークナイト・トリロジー」や『インセプション』など、ノーラン監督作品の常連であるレジェンド名優サー・マイケル・ケイン,CBE。
本作のヴィランである武器商人アンドレイ・セイターを演じたのはノーラン監督作品『ダンケルク』にも出演しているイギリスを代表する名優サー・ケネス・ブラナー,CBE。
第93回 アカデミー賞において、視覚効果賞を受賞!
コロナ禍の影響により今年公開予定だった大作映画が次々と延期になるなか、ついに公開された超目玉大作『テネット』!
入場制限が課せられているとはいえ、映画館は満員!本作の期待値の高さが窺えます。
本作ははっきり言ってアイデア一発の作品。
「逆行する時間」の中でスパイアクションを繰り広げるという、映画史上初の試みを実行しています。
「エントロピーが何やらかんやら」「祖父殺しがどうたらこうたら」と、本作におけるタイムコントロールの説明や設定を解説するセリフがだらだら続きますが、はっきり言って無視してオッケー👌
博士っぽい人が「頭で考えるな。感じろ。」と言っている通り、「なんか逆再生ぽいことが出来る世界」と思っておけば良い。
なんか難しい映画だと言われていますが「逆再生パワー」で人類滅亡を図るテンプレ悪役を、こっちも「逆再生パワー」を使ってやっつける、というサイコーに単純でバカっぽい物語です。
そもそもノーランって、ミステリー作家のような「結論から物語を作り上げる」というタイプの作家ではないですよね。
週間連載している少年マンガ家のように、撮りたいシーンをつなぎ合わせて物語を作り上げる作家なんだと思ってます。彼の作品を観るとすごく荒木飛呂彦先生の作品のことを思い出すんですよねー。
「弾丸が銃口に戻ったらカッコ良くね!?🔫」
「ジャンボジェットをぶっ壊したら派手じゃね!?✈️💥」
「消防車でカーチェイスしたらワクワクするダロォ〜!?🚒🚛」
「デッカいお船でセーリングしたらカッチョいいダルォ〜!?🌊🚢」
「逆再生の世界に主人公が入り込むとか、すげぇアイデアじゃね!?⏳↩️」
「炎が氷になる…?これってすげぇかっこいいんですけど!!🔥🥶」
「やっぱり悪役の目的は人類滅亡だな。だってなぜなら悪い奴だから。🌎💀」
みたいな、馬鹿っぽいノリこそがノーラン節!
小難しいことやってケムに巻いているけど、妄想好きな中2がそのまま大人になった男、それがノーランでしょ。
本来なら金塊で目眩しするとか、顔がむかつくという理由で計画無視してラスボス撃ち殺しちゃうとか、ギャグシーンとして描くようなものなんだけど、そこを真面目なシーンとして撮ってしまうんだよなぁ…😓
クソ真面目な作風がノーランの持ち味ではあるんだけど、もっと肩の力を抜いたアクション映画を撮ればいいのに、とノーラン作品を観るたびに思ってしまう。
まぁ、本作も普通に面白かったし、どんなジャンルの映画を撮っても60点は確実に超えてくれる超優秀なクリエイターなんだけどさ。
グダグダ言いましたが、映画館で観るべき作品なのは間違いない!
「逆行する世界」というアイデアはすげぇ面白い!
本当にどうやって撮影したのかわからない、摩訶不思議な映画の世界に案内してくれます!
そしてヒロインのエリザベス・デビッキのビジュアル!
一体何頭身なんだよあの人…。
191cmあるらしく、主人公であるジョン・デヴィッド・ワシントンも小柄ではないはずなのだが、正直かわいそうなくらいちっちゃく見える。
キャットというキャラクターは出来損ないのボンドガールみたいで好きにはなれなかったが、エリザベス・デビッキは本当に素晴らしかった。
彼女が映るだけで映像がスペシャルなものになります。
『GotG2』で金ピカのエイリアンやってた人とは思えない🤣
「逆行の世界」というアイデアは最高に面白い!😆
…なんだけど、この「逆行の世界」に入り込むのは80分過ぎたあたり。
それまでは普通のスパイ映画を観させられる。
…ノーラン、『007』が好きなのはわかった。
でも、本作は「逆行」という最高のアイデアがあるんだから、映画前半からどんどん見せてくれよっーー!😭
この前半が退屈で退屈で…。
この映画の構造上、2回観る必要が絶対にあるんだけど、前半の退屈さを考えるとそのまま2回目に突入するのは無理でした…。
キャラクターの描き方も難あり。
主人公のキャラクター像が薄ぼんやりしているのは、物語の展開上意図的なものだろうし、それは全然オッケー。
問題はポッと出てくる登場人物たち。
「飛行機係」のマヒアとか、司令官のデイビスとか、もうちょっとキャラ立ちさせても良かったでしょう。これじゃあただの便利アイテムだよ。
ニールも初登場のインパクトが薄すぎて、途中までただのモブキャラかと思ってた。
悪役のセイターもなぁ〜。存在を消された村出身の、世界滅亡を企む自殺願望のある武器商人かつ時間操作能力者かつ尻の穴の小さいDV男というなんか凄い盛り沢山なキャラクター。
これだけ属性を盛ればキャラ立ちしそうなものなんだけど、つまらないキャラクターなんだよなぁ。
こんなに面白くなりそうなキャラクターをつまらないテンプレ悪役にしちゃうのは逆に凄い。
アイデアや映像表現に注力している反面、ドラマやキャラクターはかなり疎かにしている、という印象を受けた。
一番の問題はクライマックスの挟み撃ち作戦。
「順行する世界」と「逆行する世界」の挟撃作戦というのは確かに面白い!
…なんだけど、いかんせんアクションが全然面白くなかった。
建物をRPGみたいなのでぶっ飛ばすところ以外、見所となるアクションシーンがなかったんですよね。
スパイ映画なんだから、やっぱり最後は「順行」の世界に主人公、「逆行」の世界ではニールが単騎潜入してアルゴリズムの破壊を目指す。ラストは2人がかりで敵の超強いやつと戦うみたいな、ベタベタの王道展開が観たかったなぁ。
あと、本作で物足りなかったもの。それは「音楽」!
『クリード』『フルートベール駅で』のファンなのでルドウィグ・ゴランソンがフィルムスコアを手掛けると知った時は嬉しかったのですが、ウーン…😥
「逆行する世界」では音楽が逆回しっぽくなってるとか、アイデアは良かったんですけど全体的に地味というか印象に残らない。
『007』の「パラッパラ〜、パ〜ラ〜」とか『スパイ大作戦』の「チャッチャッ、チャッチャ、パラパ〜パラッ」とか、耳に残るテーマソングがあればこの映画の個人的評価は爆上がりしてましたね。
ジョン・バリーとかラロ・シフリンみたいな天才がいればねぇ〜…。
いやぁ、しかし「時間の逆行」という複雑なテーマを扱い、それをここまで視覚的に面白いものに仕上げるとは、さすがクリストファー・ノーラン。
ノーランさん、次の仕事は『ジョジョの奇妙な冒険』の実写映画化は如何ですか?
ノーランの撮る「キンクリ」とか「D4C」が見たい(笑)
たなかなかなかさんのTENETのレビュー 実に面白いですね!思い切りがいいというか ノーラン監督を中ニ病?だの バカっぽい物語だの、説明など無視してよい!だの、撮りたい物を繋ぎ合わせるだの 凄い洞察力?で バッサリ ノーラン監督を斬っていらっしゃる(笑)!ですが、それは ノーラン監督作品を実によくご覧になっていらっしゃる、からであって、愛を感じます!
他のレビューも興味深くてフォローさせていただきました!よろしくお願いします。
たなかなかなかさん 本来は こちらにてご挨拶させていただくべきでしたが、TENETに行き着く前に気になるレビューに共感して、遠回りしてこちらに来ました。
私のレビューに共感を ありがとうございました😊!