劇場公開日 2021年6月4日

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「シリーズの中で一番時代劇っぽくなっている。原作漫画以上に、傑作とア...」るろうに剣心 最終章 The Beginning 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シリーズの中で一番時代劇っぽくなっている。原作漫画以上に、傑作とア...

2021年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シリーズの中で一番時代劇っぽくなっている。原作漫画以上に、傑作とアニメファンの間で名高い『追憶編』アニメ版にテイストが近いし、重要な場面で直接の引用もある。この実写シリーズの魅力は、超人的な飛翔などの生身ではあり得ない飛躍と血なまぐさい殺し合いのリアリティが共存するところだが、この作品については、飛躍はほとんどしないでなるべくリアリズムに徹している。それは評価がわかれるところかもしれないが、本作がシリーズの中で異色の物語であることを強調する必要もある。それにやはりアニメ版も飛躍のない本格時代劇として演出されていたことも考えれば、実写映画がそれ以上の飛躍をするのもおかしい。その代わりに剣心と巴の恋愛描写と雪景色の美しさと別の魅力を足して勝負している。画として美しいカットはシリーズの中で最も多かったのではないかと思う。
一点だけ気になるのは、原作からしてそうなのだけど、このシリーズはヒロインがさらわれて助けにいくという展開に頼りすぎなところだ。話の筋を立てやすいのだけど、シリーズの中で何度も使うとちょっと気になってくる。

杉本穂高