劇場公開日 2021年6月4日

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「過去作を観てきた人なら感じることは多い。抜刀斎の暗躍と葛藤が切なかった。」るろうに剣心 最終章 The Beginning バニラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0過去作を観てきた人なら感じることは多い。抜刀斎の暗躍と葛藤が切なかった。

2021年6月26日
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鑑賞方法:映画館

過去作と比較すると戦闘シーンの白熱さは劣る。
しかし、過去作では味わえないものもあったと思う。
例えば、時代性・それに伴う役者の表現・実在人物の登場によるストーリー性。これらは歴史や当時の姿を想像させてくれ、今作の世界観に惹き込まれていった。
今作で印象的だったのは、剣心の心情や巴や桂さんのセリフ。台詞は一つ一つが深く重く、観ていてジーンっとくる場面も多々あった。特に桂さんの発する言葉は渋く心の琴線に触れ、周囲を動かす不思議な力を感じられ魅了された。

これまでのシリーズの戦闘シーンでは、剣心の剣術に惹かれて激しさ、熱さという印象が強かった。
しかし、今作では序盤から残忍さという冷たさに包み込まれた。逆刃刀ではなく、血しぶきをあげる刀。一心不乱に斬り続ける姿は、まさに「人斬り抜刀斎」だと。

そして、今作は別の観点でも「新鮮さ」があった。それは、斬る目的が過去作のような「復讐相手を止めるため」ではないとういう点だ。
過去作の流れでは、何か事が起こってから動くというパターンで受動的なイメージがあったが、今回は能動的という新しい剣心が観れたと思う。幕府の席巻に立ち向かう勇姿は誇らしい。
平和を守るのか、新たに築くのか。剣心の平和への一貫した信念には感心した。

予告、前作でも登場する、雪山での”巴”のシーン。何度も目にしており、予測していた分、呆気なくそのシーンに辿り着くのだろうと思っていた。
しかし、クライマックスが近づくに連れ、「発覚する真実」、「過酷な戦況」には予想外で、色んな感情が込みあげてきて、観ているのが辛いとも思えた。

そして、剣心が山里の農村から出陣するシーン。るろうに剣心で毎度流れるあのBGM。「本当の最後なんだな」と思い、るろ剣史上、最も鳥肌が立ちました。

ラストシーンでは、一番最初に公開された「るろうに剣心」を想起させられた。タイトルの「The Beginning 」はワンオクの「The Beginning 」を。

今作をリピートしたいというよりは、「The Final」でもなく、「るろうに剣心」を観たい。自然にそういう気分になっていた。「始まりの始まり」を観たからこそ「始まり」をより楽しめるのではないだろうか。
今作を敢えて、最後に公開したのは、もう一度1作目から観て、るろ剣を改めて堪能して欲しい。そんな意図があったのではないだろうか。
もしも、the finalが後に公開されていたら、1作目をまた観たいという特別なモチベーションは生まれなかったと思う。。

バニラ