「美しき最後のピース」るろうに剣心 最終章 The Beginning Kikiさんの映画レビュー(感想・評価)
美しき最後のピース
俊敏なアクションの素晴らしさは言うまでもないけれど、今作では佐藤健さんと有村架純さんの2人のシーンが、静かにしっとりと進む。けれど決して飽きることはなく、内面で起こる静かな変化を、確かに感じとることができる。
音響や色味、構図や背景の細かな工夫などの演出もさることながら、役者たちの目やしぐさ、声の演技がそうさせるんだろう。丁寧な一つひとつの所作が物語っていた。なんというか、役者たちの個性はそのままに、役の方を引き寄せたような、役者の力。
そしてどの場面も絵になる美しさ。寒さまでも伝わってきた。
期待を裏切ることなく、また過去作を観たくなる「総合芸術」。あらゆる意味での細部まで神が宿る、最高のエンタメだった。第一作目の始まりと、今作のラストが完全に連結しているのを見て、役者自身も完結編を世に出す現在まで変わらずにいる、凄まじい努力と、にも関わらず一作ごとの心情の変化は大変丁寧に表現されていることに感服。
「人斬り」と呼ばれながらも迷い、剣と才能をどう活かすか悩み抜いた彼に今作で寄り添わせてもらったからこそ、「The Final」のラストシーンを振り返り、つなぐ手と手を心から祝福できる。
「どうありたいか」と「技の熟練」が重なってこそ、人を守れるんだ。
見終えた後に、獣から人になった剣心の「おろ?」「ござる」が聞きたくなります笑
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