「もはや本格的な幕末時代劇映画。本作を見た後に「The Final」を見ると、全てのピースが埋まり本当のファイナルとなる。」るろうに剣心 最終章 The Beginning 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
もはや本格的な幕末時代劇映画。本作を見た後に「The Final」を見ると、全てのピースが埋まり本当のファイナルとなる。
「るろうに剣心」という作品は、主人公・緋村剣心が、“斬れない刀”である「逆刃刀」を使うなど、「不殺(ころさず)の誓い」をしているという非常に珍しい設定になっている点が最大の特徴であり魅力でもあります。
1作目からずっと緋村剣心は「おろ?」とか「でござる」といった言葉を使って個性を出していましたが、この5作目「The Beginning」では雰囲気から違います。
通常の刀を使い❝人斬り抜刀斎❞として幕末で恐れられた「伝説の剣客」そのものを描いているからです。
そのため、本作は「本格的な幕末時代劇映画」として捉えるのがいいと思います。
さらに、❝人斬り抜刀斎❞(=緋村抜刀斎)から緋村剣心へと変わりゆく過程を描くため、切ない恋愛模様も描かれています。
このように、これまではどちらかと言えばアクションシーンが多かった作品ですが、本作では意外にも「静」のイメージも強くあります。
この「The Beginning」の最後では「1作目」の最初へと戻る象徴的なシーンがありますが、ようやく「1作目」の時点で何があったのかがしっかりと理解できます。
そのため、続けて「1作目」から見直すのも良いかと思いますが、私は「るろうに剣心 最終章」でセットになっている「The Final」の方を見ると、より感慨が深くなると思います。
それは、「The Final」での最後の強敵となる雪代縁(ゆきしろ・えにし)の行動の背景には「The Beginning」があるため、本作を見た後だと分かりやすくなり、感情移入もしやすくなるからです。
その結果、本当の最後である「るろうに剣心 最終章 The Final」が、いかに深く、アクションシーンのクオリティーも高い作品だったのかが分かり、納得のフィナーレとなるはずです。