劇場公開日 2021年5月7日

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「邦題サブタイトルが秀逸、パラレルワールドに迷い込んだ男の起死回生を辛辣に見つめるフレンチ版『イエスタデイ』」ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0邦題サブタイトルが秀逸、パラレルワールドに迷い込んだ男の起死回生を辛辣に見つめるフレンチ版『イエスタデイ』

2021年5月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ノートに自作の小説を書き溜めている内気な高校生ラファエルは放課後独り残ってピアノを弾いていたオリヴィアと出会い恋に落ち大恋愛の末結婚する。10年後、人気SF作家として成功したラファエルはピアノ講師となったオリヴィアとふとしたことから激しく言い争いをしてしまう。翌朝独りベッドで目覚めたラファエルはいつもとは少し様子の違う朝に違和感を感じるが、オリヴィアが有名なピアニストとなっていることを知り驚愕する。自分とオリヴィアが出会っていないパラレルワールドに迷い込んでしまったことに気づいたラファエルは親友フェリックスの力を借りて元の世界に戻ろうと奔走するが・・・。

というストーリーですが、それとは全然トーンの異なる意外な風景からスタート。ラファエルとオリヴィアが恋に落ちてからすれ違うまでの10年間を手早く纏めながら登場人物の人間関係をざっと俯瞰しているので、ラファエルにしか解らない焦燥感に違和感なく共感出来るように丁寧に演出されています。その後並行世界でも何とかオリヴィアに近づくことが出来たラファエルの試行錯誤があくまでコミカルに繰り返されますがそこでじわりと炙り出されるのはラファエルにだけ解らない違和感。そこにスポットライトが当たるクライマックスでラファエルが下す決断はぐっと胸に迫ります。キーワードは原題の”Mon Inconnue”・・・私の見知らぬ人です。

作品テイストとしては同じくパラレルワールドでの悲喜交々を描いた『イエスタデイ』によく似ていますが、作品に漂うアンニュイな残り香は随所に散りばめられているスリリングな特殊効果の影響もあって『ミッション:8ミニッツ』にも似ています。オリヴィアを演じるジョセフィーヌ・ジャピの美しさが格別で、冒頭赤い縁の眼鏡にオーヴァーオールで登場した瞬間からハートがブチ抜かれること請け合いです。

よね