「【動き出した時間(1)】」Our Friend アワー・フレンド ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【動き出した時間(1)】
この物語は、一義的には友情のストーリーなのだと思う。
特に、なんか取り柄がないデインの見返りを求めない友情。
ただ、僕は、エンディングでデインがマットの家族に別れを告げ地元に旅立つ姿と、そして、皆の今を記したエンドロールを見て、時間がまた動き始めたのだと思って、実は、そこで目頭が熱くなった。
僕の知り合いの女性が乳がんになった。
彼女は、小学生の息子と娘に隠さずにハッキリ打ち明けていた。
息子は、もうお母さんのおっぱい触るの止めるから大丈夫だよと言っていたらしい。
彼女は抗がん剤治療を乗り越え、今この息子は高校生になった。あんなトークをしていたことを覚えてるのだろうか。
ある時、食事を約束していた友人の女性から電話があった。
健康診断で肺に癌が見つかったと。それで、食事には行けなくなったと。
早期発見だったが、彼女はしばらく入院した。
ちょうど僕が精神的に辛い時期で、ちょいちょい連絡してくる僕を入院先からよく励ましてくれた。
その後、彼女は退院したが、再発した。
それでも、彼女は僕をいろいろ励ましてくれた。
あまり先のことは考えず、目の前のことに集中しなさいと。
実は、彼女自身が、そうしていたのだ。
それから、彼女は逝った。なんで彼女がと思った。
早く死んじゃえば良いようなやつが、他にいっぱいいるだろうとも思った。
そんなこと言っても彼女は喜ばないのは知ってるけれど、そう思いたかった。
でも、本当は、何もしてあげられないどころか、励ましてあげることも出来なかった自分に失望していたのだ。
同じがんでも、人によって、して欲しいこと、してあげたいこと、出来ることが違うと思う。
でも、その境目がきっと難しいのだ。
だから、やりながらでも考えられれば良いと思う。
病気は待ってくれないことも多い。でも、気持ちを持ち続けることは大切なように思う。
そして、区切りがついたら、動き始めることが大切だと思う。
逝ってしまった人のことは忘れられない。
ただ、動き出しなさいと、きっと言っているように、時間はかかったが思えるようになる時が来るように思う。