オフィシャル・シークレットのレビュー・感想・評価
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映画作品としてのカタルシスと人物描写のバランス
まず前提として、イラク侵攻にあたりアメリカが主張した「大量破壊兵器」の存在が結果的に確認されなかったことは非常に重い事実だ。不確かな根拠をもとに強引に開戦へ進んでいくアメリカ政府の姿を白日の下に晒したキャサリン・ガンの行動には大きな意義があると認識している。
純粋に作品の出来についての感想を以下に書きたい。
情報秘匿がどこより重んじられるであろう政府通信本部にいながら敢えて通信内容を漏洩するのだから、主人公は相当な覚悟とゆるぎない信念をもってリークしたのだろうと思っていた。
しかし劇中のキャサリンの姿は、リークが及ぼす身辺への影響について何も想定していなかったように見えた。義侠心に駆られて機密メールの写しを知人に託すものの、なかなか新聞に掲載されないとそわそわして再度その知人に会いに行ったり(仲介した知人に圧力が及びかねない)、掲載されるとメール原文が記載されたことに不満を抱いたり、通信本部内で漏洩者特定の面接が始まっても最初はやっていないと嘘をついたり(隠し通せる訳がない)といった描写でちょっと気持ちが萎えてしまった。リークした情報の重さと、本人の覚悟の重さが釣り合っていないように思えた。
気持ちが付いていかなかったので、入社時に誓約書まで書いた禁じ手を使うのは職業人としてどうなのかとか、この映画のテーマからすると些末であろうことを考えてもやもやとした。
それと、事前に見た予告映像のイメージで、物語後半で重厚な法廷劇が繰り広げられ「驚愕の結末」(作品サイトより)が示されることを楽しみにしていたのだが、かなりあっさり終わって拍子抜けした。驚愕といえば確かに驚愕なのだが…。
もちろんこれは事実に沿った展開だろうし、キャサリンの人物描写は生身の人間らしくてリアリティがあるとも言える。ただ個人的には、主人公の気持ちのリアルなブレを描写することに力点が傾いたことで、映画作品としてのカタルシスが減じられたように感じた。
むしろこの事件のドキュメンタリー作品を見てみたい。
世界が見えているつもりの身の程知らずには参る
映画「オフィシャル・シークレット」(ギャビン・フッド監督)から。
内部告発から端を発して大事件に至る作品は多いが、
今回はなんとなくスッキリしない。
結果的には、彼女の発したリークが大きなウネリとなるのだが・・・
どこまで影響するかも考えず、ただ若い女性の正義感が優先して、
リークした感じが強く残ったからかもしれない。
それは、いとも簡単に友達にリークを依頼するシーンが印象的。
「メールのコピーをあなたに託そうかと。
それを記者に渡してもらえない? 戦争反対の人に。
記者が無視してもいい、私はすっきりする」と主人公。
「すっきりする?私に公務秘密法違反を持ちかけておいて?
いわば反逆罪よ」と困惑する友達。
「政府を転覆させる気はない。マスコミの人に見てもらいたいだけ。
米国の横暴ぶりを追求して欲しい」
これが、内部告発の原点だとしたら、私は首を傾げる。
自分がスッキリすればそれでいい・・なんて動機で、
国を揺るがすような「最高機密」をリークされたら、
同じ職場の人間は、溜まったものではない。
ラスト近くに、関係者のこんな呟きがある。
「世界が見えているつもりの身の程知らずには参る」
本来なら、悪役のセリフなんだが、妙に納得してしまった。
もう少し、悩んで欲しかったなぁ、リークするにしても。
誰に仕える?
イギリス政府が国民に嘘をつき、アメリカと組んで戦争を起こそうとしている、この事実を許せず、記者ならまだしも、国家に仕える身であり、違法であることを知りながらもリークした、勇気が素晴らしい。。政府にではなく、国民に仕えている、こんな公務員いるだろうか…?本当にその通りだと思う。様々な不安に怯えながらも、毅然と立ち向かう姿をキーラ・ナイトレイが好演している。最後は検察は訴追せず、拍子抜けしたが、事実できなかったのだろう。あっちで釣りしろ、のラストの終わり方が良かった。
巨大な圧力
英国の諜報機関( GCHQ )内でのやり取りが興味深く、直ぐに引き込まれました。
告発の当事者となるキャサリンを演じたキーラ・ナイトレイが、悩み抜き揺れる女性の心情を熱演。
オブザーバー紙記者を演じたマット・スミスが魅力的でした。
このような圧力が、どこの世界にも存在しているのでしょうか、恐ろしい事ですが。。
そう感じさせるラストでした。
映画館での鑑賞
国家秘密ってなんだ?
2003年3月にアメリカ他連合国がイラク戦争を始めたが、それを止めようと職務上知り得た国の秘密をリークしたイギリス女性と支援したジャーナリストや弁護士達の話。
イギリスでの公益とは時の政府に都合の良い事が公益らしい。サッチャーが国家秘密法を変えたそうだが、なんか日本でもあるよなぁ、って観てた。
日本じゃ公文書が黒塗りされて出てきたりしてウンザリするけど、さすがイギリスは裁判しても負けると解って、検察が起訴を取り下げた。
国家秘密ってなんなんだろう?誰のための法律なんだろう?
日本にも公務員の守秘義務に罰則が出来たよなぁ、それって誰のための法律なんだ?
なんて考えさせられた。
普通の女性の勇気ある行動
キャサリン・ガン事件といわれる実話。英政府通信本部で中国語通訳として働く主人公が、業務で受信した極秘メールが、アメリカがイラク侵攻を正当化し実行するための国連安保理メンバーへの盗聴の要請という内容であることに気づく。どうしても見過ごせないと考え、悩んだ末にマスコミに人脈を持つ活動家の友達にメールを託す。数か月後、2人の記者を経て「オブザーバー」紙に記事が掲載された。すると当然、職場で情報漏洩をした犯人探しが始まり、主人公の同僚が疑われる。いてもたってもいられなくなって、自分がやったと名乗り出て、連行される。国選弁護士から、人権組織の弁護士を紹介され、相談に行くが、相談すること自体が公務機密法違反であると言われてしまう。また、移民である夫が母国に強制送還され、飛行機に乗せられる直前で救出に間に合った。一方、記事を掲載した記者は、メール文がアメリカ英語ではない点(事務職員が校正してしまった)などから真偽を疑われ、バッシングを受ける。主人公は裁判所で初めて記者と対面し、裁判では予想外に検察官が起訴の取り下げを告げた。
キーラ・ナイトレイ演じるキャサリン・ガンさんは当時30歳で、子ども時代の中国在住経験を生かして公的機関で働く、少し正義感の強い、普通の女性だったのではないか。広島での英語指導助手の経験もあり、原爆の被害も頭をよぎったという。面白かった。
国民に奉仕すると言い切れるか
キャサリン・ガン事件。
キーラ・ナイトレイを通じて知らなかった歴史の裏を知る。
そもそもはちょっとした公憤から。
確かに軽率。
でも、往々にして歴史の一事件は個人の軽率から発生することは多い。
キャサリンの行動は勇敢だけど、軽率だとの台詞があったように。
この人のバックボーンも面白い。
台湾で育って、広島で教師をし、旦那さんは亡命申請中のクルド系トルコ人。
そこに意味をみたくもなるよね。
実際はわからないけれど。
さて話は、全体に抑えた雰囲気で、シリアスに話は進む。
そこがまたこの映画に合っている。
一年近い生殺しの状態が、不安感を掻き立てる。
後から見れば呆気ない裁判シーンだけれど、そこに至るまでの国を相手にした個人の焦燥、よく描けてると思う。
常に国は嘘をつく。これは間違いのないことで、その時の自分の立ち位置を間違えないようにしなければ。
なので公権力には近づかないでおこうと思う。
充実の傑作
911後、世界はイラク戦争に向かいつつあった。
主人公キャサリンはイギリスの諜報機関GCHQで働いている。ある日、彼女は上司から、国連の非常任理事国の理事たちを監視する指示のメールを受け取る。それは、イラクへの軍事制裁を正当化する国連安保理決議に際して、彼らの弱みを握って脅迫するためであり、その依頼元はアメリカの諜報機関NSAだった。
戦争を始めるために、国連での票を操作する。そのために違法な捜査をする。
それが許せなかったキャサリンは、このことをリークし、結果、彼女は政府から告訴されてしまう。
ストーリーの軸は、やはり主人公キャサリン。
だが、彼女からのリークを記事にしようとする新聞記者たち、彼女を支援する弁護士チームなど、意外とキャサリンが登場しないシーンが多い。
記者や弁護士などの登場人物も魅力的で、彼らのサイドストーリーも見せる(ラストシーンは主人公ではなく弁護士であることに注意)。
このことが、この作品を充実したものにしている。
キャサリンの夫ヤシャルとの夫婦の関係もしっかり描かれていて、見どころのひとつ。
ヤシャルはサダム・フセインに迫害されているトルコ系クルド人の移民。彼の亡命申請は受理されておらず、彼は不安定な立場でイギリスに滞在している。
移民と結婚していることが、キャサリンの行いに対する周囲の偏見を生むし、キャサリンの行いが、移民である彼の立場を危うくもする(彼の強制送還を巡るエピソードは切れ味もよく、優れたサスペンスだ)。
夫婦の絆に加えて、こうした複雑な事情があることもまた、本作に厚みを与えている。
つまり本作は、夫婦の愛を描き、ジャーナリストものであり、法廷劇もある。そして、どの要素にも、国家権力と闘う恐怖や不正に負けない人たちの尊厳が描かれていて胸を打つのだ。
印象に残っているシーンがある。
キャサリンの同僚が、自首した後の彼女を訪ねてきたシーン。
同僚はキャサリンに詫びるが、キャサリンはこう言う。
「謝らないで。悪いことは何もしてないでしょう」
同僚はこう言う。
「でも、私たちは正しいこともしなかった」
本作の題材は、決して多くの人にとって身近なものではないだろう。だが、不正や過ちに対して、「正しいこと」をせず、黙って見ていてしまうことは誰にでもあるはずだ。
声を上げることは難しいし、勇気がいる。そのことが分かっているなら、本作のメッセージは心に届くはずだ。
ストーリー運びのテンポもよく、まったく飽きさせない。
キャサリン演じるキーラ・ナイトレイも素晴らしい。スーパーウーマンではない、「普通の人」が、自分の良心を信じて行動する強さと弱さの振れ幅を見事に演じている。
傑作です。
色々と勉強になりました
イギリスにこんなスパイ機構があるのも知らなかったし、あのデッチあげ戦争に、裏ではズルして加担してたとは、、、
キーラナイトレイ演じる主人公、最初は食欲もないほどびびっていたけど、腹を据えて最後まで屈せず良かった!
旦那さん役も良かったです、辛い境遇なのに、夫婦愛もさらに深まって、部屋の雰囲気もすごく素敵♫
『シンドラーのリスト』では冷淡な役だったレイフ、ファインズも、今回は味方で良き弁護士役。
意地悪な国の脅かしの内訳を話す知人に、「あっちで釣ってくれ」←軽いジャブでこれまたグッド。
もみ消しって、どこの国にもあるんだろうけど、日本にもこんなスパイ機構はあるのなぁ。
英国では、情報公開と、司法が上手く機能した。だが我が国で同じコトが起きたらどうなるか?
本作を見ながら思ったのは、これが日本ならどうなるか?
1 主人公が逮捕され、その後、保釈される。
日本の観客はコレを見てどう思うのかな?
米英映画を見慣れてる人間から見れば当たり前だが、日本ではまずあり得ない。
裁判が終わるまで拘留されたままだろう。
そもそも、警察官が公選弁護士を呼んでくれることもないし、取り調べに弁護士が同席することもない。
2 裁判での勝利の決め手は「情報公開」。政府側は、情報公開により、戦争の大義名分がないことがバレるより、本件裁判での不戦敗を選んだ。
だが日本ならどうなるか?
まず、政策の意思決定に関する書類が公開されることは無いだろう。恐らく「のり弁」か「口頭のため書類は無い」と言われるのがオチ。近年の政府対応を見れば明白。
主人公は「裏切り者」呼ばわりされるし、日本でも同様に批判されるのだろう。
だが、国民を騙し、裏切ったのは、彼女か、それとも政府か?
本作では結論が出たが、日本で同じコトが起きた時、同じ結論が出るとは思えない。
保護すべき国家機密とは
キャサリン・ガン事件の映画化。
そもそも。イラク戦争に関する米英政府の公式な開戦理由は以下。
1:サダム・フセインは大量破壊兵器の所持を公言しており国際社会の脅威たり得る事。
2:クルド人への弾圧をはじめとした圧政は人権への罪である。
3:度重なる国連査察の妨害(国連議決違反に該当する事案を含む)
4:3は第一次湾岸戦争の停戦条件破棄の要件となる事。
5:アルカイーダとの協力関係が強く疑われる事。
で、ブッシュjrとチェイニーによる証拠・証言のでっち上げ、意図的な情報操作大会が始まります。周知の通り、1と5には何らの証拠も見つかっていません。最終的には、非常事態下における大統領権限により、先制的自衛権の発動としてイラクへの侵攻が始まります。
この頃、ニジェールからのウラン入手情報の捏造、国連盗聴事件、プライム事件、そしてこの「キャサリン・ガン事件」などが起きます。イラクで各国の利害が交錯していた事は、見方を変えればサダム・フセインが如何に戦略的に外交を展開していたかを表しているとも言えますが、その狡猾さ故に、より狡猾なブッシュと言う悪魔に殺害されたのがフセイン。
戦争の結果。4万近い戦死者を出し、10万人を軽く超える民間人を犠牲にして(正確な人口動態不明につき数は調査機関により大きくバラついています)しまう。サダム・フセインは死刑となり、イラクの石油利権はアメリカとイスラエルに収奪される(外資に陥ちた事を穿った見方をすればです)。
何にしても、国連安保理常任理事国の議決は見込みが無かった訳ですから、キャサリン・ガンの告発はショッキングではあったけど大勢には影響せずに終わります。イラク壊滅で困る国もあった訳ですから。
国家の機密法案である「公務秘密法」は機密保持対象を政府が指定する、とされており、一見して恐怖を感じるものですが、個別には、その妥当性を裁判で争う自由はあるものと考えられます。日本でも「特定機密法案」で野党が騒ぎました。小池新党前の事でしたから、民主党時代。「暴力や恐喝等、違法な手段で情報を入手してはならない」と言う条項に、何故か強硬に反対する不審をメディアに指摘された野党は、以降、ことある毎に審議拒否を繰り返す様になりますが、我が国の国会が崩壊したのは「スパイ防止法」の入り口を入った頃だと言うのが可笑しい。身バレしてますやんw
キャサリン・ガンは、誰かに頼まれたのでも無く、脅されたからでも無く、国民に仕える身としての義務感から、非常任理事国の盗聴を指示するメールをリークする。政府による起訴は有耶無耶のうちに取り下げられます。
「メールは保護すべき国家機密にあたらない。何故ならば、捏造されたものであるからだ」
もうね。開戦理由がでっち上げだもんね。何でまアリかよ。色々と、トランプの方が分かりやすいし、まだ可愛い。石油より産業と金融。少なくとも、戦争のリスクは低いでしょ。
無駄を感じさせる演出も、偏った政治的主張も無くて、安心して見ていられる映画でした。左翼な記者は変人扱いだしw ただ、彼は無茶苦茶有能だったし、アクティブでカッコ良かったです!
良かった。凄く。
全ての「国民」に見て欲しい
私は日本で生まれ育ち、思春期以降の11年を米国で過ごした。
人生の殆どをこの両国で育ったので、もしも同じことが日本や米国で起こればどうなるか、そんな想像をしながらこの映画を鑑賞した。
日本の場合、そもそも米国がこのようなトップシークレットを持ちかけることはないだろう。
米国はイギリスという兄弟分だからこのような国家機密を共有したのだ。
文字通り「血を分けた」兄弟で、それは米国独立から何世紀と経ったいまでもアメリカ人とイギリス人のDNAには刻まれている。
残念ながら日本がこのポジションにのし上がることは永遠にないだろう。
しょせん日本は米国の「便利なポチ」でしかない。
日本人であるがゆえに、そんな悲しい壁も感じた。
逆にいえば、英国の歴史的ポジションと政治力は、やはりいまでも強大であることを実感できる。
この映画を観て気づくこと、その2
イギリスは民主国家だということ。
確かに日本もアメリカもそうなのだが、似たようなアメリカ映画とこの映画を見比べると随所に微妙な違いが見られると思う。
GHCQというイギリスの諜報機関においても、主人公のキャサリンはじめそこで働く人々の姿勢は、アメリカのそれと比べると一種の「リラックス感」すら漂う。
軍事力や予算規模の違いだといえばそれまでだけど、ヨーロッパとアメリカの中間的な、イギリス人が置かれている微妙な立ち位置。
アホなブッシュ政権に対する、冷めた目線。
ヨーロッパ的な観点も残しつつ、しかし兄弟国ゆえに付き従わざるをえない矛盾。
そんな空気が伝わってくる。
国家の機密を漏らしてからの、キャサリンと夫への扱いは確かにひどいものではあったけれど、これがアメリカだったら、もっとずっと悲惨なことになっていたことは想像に難くない。
キャサリンのの行動を支持し助ける人々がイギリスにはたくさんいる。
それに救われたし、スカッとした。
メディア(オブザーバー紙)の活躍も素晴らしかった。
日本のメディアにこれができるだろうか?
はなはだ疑問である。
3番目(これが最後です)
正義を貫いても良いのだということ、最後には報われるのだということ。
日本人には、「お上の命令は絶対」のようなところがある。
自分の信条を殺してでも従わなければいけない、というような。
私がいたアメリカでも、特にこのような「お役所」ではそういう思考の人間がたくさんいる。いや、そんな人間ばかりだ。
しかし、民主主義国家に生きる我々は、国民を救うことに繋がるならば、国家(=その時にたまたま政権を握ってるだけの人間たち)をも裏切っても良いのだ。
本来の民主主義とはそういうものであるべきと思う。
しかし人生を棒に振る覚悟をもってしてそれを実行するのは、やはりものすごい勇気のいることだ。
久しぶりに胸の熱くなる映画を観た。
最後に、映画を観終えてから私は、チャップリンの「独裁者」のスピーチを思い出した。
「諸君は機械ではない、人間だ」
国家機密を暴露する決断をした主人公キャサリン、
社運を賭して公表したオブザーバー紙と弁護士たち。
そしてこれを映画化した関係者たちに拍手を送りたい。
ドキュメントにもエンタメにもどっちつかず
英国の諜報機関で盗聴通話の翻訳・レポート作成をする公務員である主人公が、「私は政府・政権に仕えているのではない。国民に仕えている」と毅然として答えるところは、しびれました。
今の日本において、国家公務員・官僚・政治家が、組織のため、上司のため、自らの保身と出世のために働くことはあっても、果たして国民のために働いているのだろうか、と。
ただ、非常に手堅い作りとでもいおうか。
ドキュメントにもエンタメにもどっちつかずといおうか。
『大統領の陰謀』『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』『ザ・シークレットマン』『金環食』などの政治関連作品群に比べて、作品に観客を引き込む力が薄いと感じました。
よかった
情報機関の職員が内部告発して大変なストレスを抱える様子をリアルに描かれていた。特に気の毒だったのがご主人が移民で在留資格を奪われそうになることだ。権力の横暴がひどい。途中から法廷ドラマが展開する。最近途中でウトウトすることが多かったのだけど最後まで眠くならなかった。
政府と国と国民と
ファーストデーに観賞
コロナですっかり洋画も貴重ですね…
2003年のイラク戦争開戦にまつわる
米英政府の陰謀を偶然見つけた諜報情報部のキャサリンの
葛藤と何が正しいのかを問いかける実話ベースの作品
感想としては
面白かったんですが
映画内でハッピーエンドで片づけるには
ちょっと複雑な気持ちになりました
日本で同様の事件というと
2010年の中国漁船体当たり事件でしょうか
領海侵犯した中国漁船が追跡する海保巡視艇に体当たり
船長は逮捕されるも当時の民主党政権が対中外交を
意識し船長を釈放し事象をもみ消そうとした
ところを衝突の動画がネットに公開された事件です
あの時もリークした海保官が英雄視はされつつ
公務員の私的な情報公開に懸念を持ったのは確かです
キャサリンは偶然目にしたアメリカの工作を
イラク戦争開戦につながると判断し独自にリークし
反戦活動家を通じてメディアにリークした結果
米英外交問題にまで発展し
実際にクルド人の旦那の身柄まで脅かされてました
キャサリンは後悔しますが弁護士らと話し合うにつれ
政府の陰謀で国民を危険にさらすのを防ぐ行動だった
という見解をもって主張する事になります
この後付け感が…まあそういうものですけど
確かにイラク戦争開戦の無理矢理さは理解しているし
その後のイスラム国台頭の火種になったきっかけの
戦争になってしまった事実を今は知りますが
それでも諜報部員が身勝手に統制を欠くのは
結果論的に不安が残ります
今は戦争より遥かに損害が及ぶ経済制裁や
今のコロナ禍などがありますし情報のコントロールは
より重要になっていると思います
日本のマスコミはもう真実を追究する気は無いようですし
自分達で信用できる情報を得ていかねばなりません
それだけに公務員の守秘義務は維持して欲しいところです
怪しいと思う瞬間がいくつもあります
Official嘘男dism
この映画で最も心に残ったのは、否認を続けていた主人公が、職場の同僚が次々と聴取されるのに耐えきれなくなって、「私です」と告白する場面だ。その姿はなかなか凛々しかった。キャサリンが否認を続けた挙句、何らかのきっかけで露見したなら、ここまでのヒロインたる評価は得られなかったろう。
実話なので仕方ないが、いよいよ裁判で丁々発止の論戦が繰り広げられるかと思ったところで、いきなり訴訟取り下げというのは、拍子抜けする。
大量破壊兵器という嘘の理由で、何万という死者を出したブッシュ元大統領その他の連中の戦争犯罪は、なぜ裁かれないのだろうか?何よりその点が不可解で仕方ない。
淡々としているが
最初、疲れてると睡眠してしまう。
GCHQに務めるキャサリンが、機密情報をリークしたあたり引き込まれていく。国民をだます情報でも
隠し通すのが、法なのか?公務員は、法令遵守で国民ファーストのはずが、政府ファーストでいいのか?
なかなか良かったです。
【”私は政府ではなく、国民に仕えている・・” 英国諜報機関で働きながら、政略絡みの戦争を止めようとした女性の姿を描く。Based on the true story。】
ー英国諜報機関GCHQで働くキャサリン(キーラ・ナイトレイ)はある日、イラクを攻撃するために安保理メンバーの盗聴を促す米国諜報機関NSAのメールに気づく。同僚は、”仕事だ・・”と浮かない顔で、関与しようとしない・・。ー
■印象的なシーン
1.キャサリンが苦悩しながらも、メールをリークするシーン。
ー確かにサダム・フセインは唾棄すべき人物であったが、戦争になれば罪のないイラクの市民や米英の戦士の命も危険にさらされる。
更に、誰が情報をリークしたのか、徹底的に調べる査察官(柔和な顔をしているが、あのような顔つきの男は油断ならない・・)が、キャサリンの過去を確認するセリフ。
”幼いころ、日本の広島にいたんだね・・。では、平和記念資料館にも行ったね・・。”
成程・・。
2.キャサリンの夫が、トルコ人であるため過去に永住権を得られなかった事実。この設定が作品に深みを与えている。
査察官から夫の事を正された時にキャサリンが言い放った言葉。
”夫は”クルド人”です!サダムを助けるためにリークなんかしない!”
だが、そのためにキャサリンの夫は国外退去寸前まで追いつめられるのである。
3.キャサリンを助ける人々及びリーク情報を記事にしたマット記者たちの姿
・彼女が自ら、”リークしたのは私”と苦悩しながらも申し出、公務秘密法違反で勾留された際に付いた女性の国選弁護人が、”私の専門外だから・・”と言い専門弁護士ベン(レイフ・ファインズ)を紹介し、”頑張って!”と言う場面。
・アメリカ人フリージャーナリストやイギリス全国紙”オブザーバー”のマット記者たちが、リーク記事の信憑性を突き止めていく過程。
(校正係の女性が、米国の文章を英国の文章(綴り・・)に少し書き換えてしまい、信憑性が疑われ始めていた・・。:リアリティあるなあ)
そして、アメリカ人フリージャーナリストが”謎の電話”を手掛かりに、メールを発信したNSAの高官フランク・コザが実在することをとうとう、突き止めるシーン。
・とうとう訴追されたキャサリンの初公判時の、検察側の意外な対応。
それは、ベンによるある書類”イラク戦争の合法性を示す証拠”の開示を求めた請求を勘案しての事だった・・。
ー当時のゴールドスミス法務長官のブレア首相へ伝えた懸念”武力行使を正当化する新たな国連決議がないと、イラクに対する戦争は違法になる恐れがある・・”の存在がその背景である。ー
<だが、エンドロールで流れるイラク戦争により犠牲になった人々の数に暗澹となる。
かの”証拠なきイラクの大量破壊兵器”の問題は、年月とともに曖昧にされ、ブッシュ大統領も、パウエル国務長官も、ブレア首相も戦争責任を問われてはいないのである。>
■蛇足 同テーマでブッシュ政権の嘘を描いた「記者たち 衝撃と畏怖の真実」も併せて観ると、良いのではないかと思います。
風化させないためにも
当時この事件に興味があってネットやらで調べた記憶がある。
あまり日本のメディアが大きく取り上げていた記憶はなく自分なりの興味本位で調べた為、自分の中でも曖昧な事件として認識していたが今作を見ても改めて当時の感想と変わらないなぁと再認識。
つまりはこの事件を事前に知っている人からするとあまり目新しさや追加でなにか新たな事実を知るような事はあまりなかったかなというのが率直な感想。
まぁアメリカやイギリスの行いは、ほぼほぼこの作品でも描かれているような事実であるんだろうけど、これがイラク戦争の全ての原因かというとまた話は別であり、通信傍受なんかも過去にはいくらでも行われてきた行為だったと当時目にした気がする。
アメリカやイギリスの行いが悪くないということは全くないが、物凄く衝撃度が高い事件だったかと言われると当時もそして今回改めて映画作品としてみてもそうでもないのかなというのが率直な感想。
ただしどんな理由があろうと戦争はなくてはならないものだ。風化させない為にもこういう事実を作品として残し、新たな若い世代にも伝えていくツールとしてはとても大切な事である。
全21件中、1~20件目を表示