「Whistleblower」オフィシャル・シークレット Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
Whistleblower
「国民の名の下に集められた情報はすべて公表すべきだ。問題は時期だけ。」「規制が必要なのは国の安全が危ぶまれる時だけでいい。政府が困るかどうかは関係ない。」
映画の中で出てくるウィルキンソン海外少将の言。ブレア政権の嘘は後に開示された。いつかは開示されるという信頼が施政者への抑止力となる。ブッシュやブレアの汚名は消えることはない。日本で欠けている機構。
主人公の行動は軽率ともとれる。社会的なキャリアの浅い翻訳家が、国家機密触れる場所に立ち入ることに驚きすら感じる。そのあまちゃん度合いに、主人公に感情移入することができず、距離をとってしまう。
内部告発には、告発する事実に公益に反する問題がなければならず、それを証することができなければならぬ。彼女にはその信念があったかもしれぬが、証明できた訳ではないだろう。
それがあやふやな状況であっても告発を社会が許容すべきなのかも知れぬ。しかし、それは結果的に証せなかった場合においても、社会が寛容であり続ける前提が必要である。その寛容さを社会に期待できるか。
政治的な判断により政府は追及を諦め、彼女は放免された。彼女の信念は証明されたが、それは結果である。同じくあやふやな状況で開戦したブレアは凶とでた。調査委員会が不必要な戦争と結論づけた。ブレアは自らの判断を未だ正当化している。多くの自国民もイラク国民も殺されたが、戦争犯罪人として裁かれた訳ではない。
先の主人公への距離感は全体として、良いバランスをもたらしてくれた。彼女の行為の是非とともに、社会のあり方の是非も問う良作である。
公正ミスをあそこまで罵るのは完全なるパワハラでNG。
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