「どこで泣けるの?ハードル上げすぎてつまらなかった」映画 えんとつ町のプペル かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
どこで泣けるの?ハードル上げすぎてつまらなかった
どこで泣けるの?ハードル上げすぎてつまらなかった。原作未読。「大人も泣ける絵本が映画化」のポスターと予告編に鑑賞したのが間違いだった。
つまらなかった理由は2つある。
1つめは、キャラの描写が薄くて誰にも感情移入できなかった。
ゴミ男(プペル)、夢見る死んだ父(ブルーノ)、病気の母(ローラ)、裏切りスーさん。素材は良かったが上手く料理しきれてない。各キャラの描写が中途半端で、友情と家族愛がごちゃごちゃしてる。純粋にプペルとルビッチの友情物語だと思ったのに、ブルーノの影がチラついて邪魔だった。
敵がパッとしなかったのも残念。白い仮面の雑魚ばかりだから、プペルたちが苦戦する場面がなかったのでハラハラしない。独裁者トシアキのめちゃ強いボディーガードとか、ロボットみたいな兵器出しても良かった気がする。スーさんの裏切りは怖かったのに最後あっさり負けてて残念。プペルたちに一泡吹かせてくるかと思ったのに。結局何で裏切ったのかも明かされず、もったいないキャラだった。
2つめは、世界観の説明不足。
えんとつ町でゴミ男が異様に嫌われる理由が分からん。そのせいで、ただ理由もなくゴミ男がいじめられてるようにしか見えず、不快な気持ちになった。えんとつ町の民の上下関係や生活の成り立ちなど、説明してくれないから置いてけぼりだったよ。
プペルの力も謎。いかにも意味深なブレスレットも、父の形見だから、という一言で片付けてしまい結局なんなのか不明。説明不足のまま終盤にきて、プペルとブルーノがシンクロするもんだから、俺の頭からに?マークが浮かんだ。そのせいで最後ゴミ父が壊れるシーン(恐らくここが号泣ポイント)は白けた。キーアイテムなんだからもうちょい説明してよね。
このままだと何も残らない映画に終わってしまいそうなので、良い所をひねり出したら2つあった。
1つめは、えんとつ町が綺麗だったこと。
千と千尋と、FF7を足したような町の景観は美しい。物語的には煙がない方が良いんだろうけど、俺は煙が有る夜の町の方が好きだなぁ。高い煙突からの眺めは最高。
2つめは、勇気、挑戦、行動、テーマが良かったこと。
行動してみないと何も分からない、というメッセージは刺さった。新しいことに挑戦するときや、夢を語るときは周りから叩かれるのは避けられないしね。俺は高校生のとき役者になるのが夢だった。でも周りの目が怖くて諦めちゃったから、ルビッチの夢を信じて突き進む勇気が羨ましい。
今後は宣伝文句と予告編に騙されないように注意せねば...話題性だけで飛びつくのはやめよう。いや、でも待てよ。面白いか面白くないかは観ないと分からないのでは。実際に行動を起こさなければ何も分からない、そうルビッチが教えてくれたからね。