「えんとつ町に落ちてきた奇跡(プペル)」映画 えんとつ町のプペル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
えんとつ町に落ちてきた奇跡(プペル)
キングコング西野亮廣ってお笑い芸人の時からあまり印象が無い。ネタも覚えてないし。どちらかと言うと相方の方が…。
いつの間にやらあんまりTVで見なくなり、嫌われタレントになり、お笑い芸人以外で再ブレイクしたと思ったら、絵本作家としてベストセラー!
しかもアニメ映画化され、興収24億円超えの大ヒット!
…しかし、作品は賛否両論真っ二つ。
原作絵本を読んでいるか、否か。
キンコン西野が好きか、否か。
単純に作品が好みか、否か。
自分は原作絵本を読んでいないので、可もなく不可もなくと言ったところ。と言うか、良かった点もあれば、あざとく感じた点も。
以下、その理由。
暗く厚い煙に覆われたえんとつ町。人々は青い空や輝く星を知るどころか信じてもいなかったが、亡き父親から話を聞かされていたえんとつ掃除屋の少年ルビッチは煙の向こうの星を信じていた。
ハロウィンの夜、空から“何か”が落ち、それによってゴミから“ゴミ人間”が生まれる。ルビッチと出会い、“プペル”と名付けられ、星を見つける旅に出る…。
絵本が原作ならではのファンタスティックな世界観。
『海獣の子供』などのSTUDIO4℃による美しい映像、作り込まれた町並み、ユニークなキャラクター。
孤独な少年とゴミ人間が出会って…。
冒険と友情の物語。
それらは悪くない。
でも、序盤はちとタルかったかな。
子供向け過ぎた。
かと思ったら、プペルへの差別とか、えんとつ町を支配する異端審問官とか、時々急にシリアス大人向け。異端審問官が代々ひた隠すえんとつ町の秘密は宗教臭すら。
やたらと多い挿入歌は…?
キャラは魅力的だが、ステレオタイプであったりもする。
“トモダチ”となったルビッチとプペル。ある事がきっかけでその友情が…というのもお決まりの展開。だが、
異端審問官のこれまでの“異端さ”に町の人々は立ち上がる。
星を信じ続けるルビッチ。そんな彼をバカにし、うんざりすらする町の人々。
引っ込み思案だったルビッチが声を上げる。
「見た事あるのかよ!」
何故人は、見た事無いものを否定する?
無いかもしれない。無いなら無いでいい。自分の目で確かめるまでは。
そこにあると信じて、少年は旅立つ。空の海を、船に乗って、“トモダチ”と共に。
ルビッチが星を信じる理由は、亡き父。
いつも父が語っていた煙の向こうにある星の世界。
皆、単なる夢物語、紙芝居とバカにしていたけど、絶対そんなんじゃない。
父さんは嘘なんか付かない。僕は信じる。
父親役の立川志の輔のナレーションによる名語りと共に繰り広げられるクライマックスの冒険は、さすがに引き込まれるものがあった。
遂にそこに辿り着いた。ルビッチとプペルが、町の人々が、初めて見た満天の星空。予想を遥かに凌ぐその美しさ。
プペルの正体。何となく察しは付いた。それでも別れの時は…。
最後の方は悔しいけど、感動してしまっていた。
えんとつ町に落ちてきた奇跡(=プペル)。
さあ、上を見上げて。
青い空と美しい星とトモダチがいる。