「話題性もあり、「〇回泣いた!」的発言もレビューとして多かったので、...」映画 えんとつ町のプペル R2T2さんの映画レビュー(感想・評価)
話題性もあり、「〇回泣いた!」的発言もレビューとして多かったので、...
話題性もあり、「〇回泣いた!」的発言もレビューとして多かったので、
久しぶりに映画館へ中1の娘と一緒に見に行きました。
感想は、総じて面白くはなかった。
但し得るものもあった。
絵は抜群に綺麗。音楽も最初のハロウィンパーティと最後のプププペルは耳に残っていて悪くはない。但し時折入る挿入歌は『君の名は』程のシンパシー感もなく微妙。
演出は凝っていたと思う。特に物語前半はハロウィンの世界観的遊園地アトラクションを次から次へと乗るが如くの展開で描写は凄かった。が、その前半あたりで実は最も楽しみにしていた西野氏の描くファンタジーな世界観が、リアルなハロウィンコスプレの延長線上ぐらいの世界で、絵として作りこまれているとは思ったが、ラピュタやナウシカを初めて見た時のような目新しさは感じないし、驚きもなかった。
そして肝心のストーリーも多少の事件はあるものの、結局はネタばれしている「主人公達が綺麗な星空を見る話」であり、後半はその星空をどうやって見るの?と若干じれったかった。
結局は、皆に嫌われて殴られているにも関わらずそれでも人にずっと優しいゴミ人間の温かみや、周りから異端扱いされたお父さんがそれでも息子には信じることの大切さを託したかった想いや、夢を否定され続けたルビッチが夢を諦めさせられる事への怒りを爆発させる最後のシーンなど、文章で書いていても泣きを誘うようなエピソードが星の如く散りばめられた映画で、且つ演者も良かったので泣きたい人にはいい映画なのかもしれない。
ちなみに特段泣きにいこうとしていない色眼鏡無しで見ていた娘もプペルがお父さんなの?というシーンではウルっときたと言っていた。逆に泣きを全く求めていない人には「ここで泣いて!」とのシーンが押し付けられているかのようで「泣きテロ」的に感じられるのかもしれない。
ここからがこの映画を見て私が得た気付きなのですが、結局、物語のラストが「星空を見ること」とネタバレしているストーリーでは「この後どうなるの?」という面白い映画・ドラマ・アニメ特有のハラハラドキドキ感がないし、ラピュタのムスカはもちろん、魔女宅のオソノさんの無口な旦那さんにも劣る程に、キャラクターがたってこない台詞の羅列がキャラクターの個性を生まなかったと感じた。つまり、ストーリーもキャラも魅力的ではなかった。
とにかく台詞とやり取りが面白くなかった。(ここでいう「面白い」は笑いだけではなく、ウィットに富んだ台詞の言い回しやしぐさや行動、視聴者が行間を読む面白さも含め)つまり視聴者が「このキャラは今こんなことを思っている?考えている?」と想像する余地もなく、直球ですぐさま台詞が返ってくる。しかもまっとうすぎる台詞で。
思えば色々と映画を見てきて、面白い映画ってその場面場面でそのキャラが何を言うのか?
どう行動するのか?に注目したし、視聴者として予想していなかった台詞が発せられた瞬間の台詞がそのキャラの決め台詞になったりもする。
台詞の間と言い回しが名作を名作たらしめたことを、この映画で理解した。
ちなみにさらっと思っていたのが、星を見るはルビッチの夢であって街の人達の夢ではない。
特段みんなが煙突町を嫌っている描写もなかったし、星空をそこまで見たいと思わない住人も中にはいただろう。「大きい家に住みたい」「金が欲しい」「あの子と結婚したい」「チワワ飼いたい」「次のハロ衣装でトップ!」などの夢を持つ、煙モクモクの街でもOKみたいな住人には、星があると主張する他人のルビッチのことはどうでもよく、ノリで馬鹿にしていた奴もいただろう。
そして星空を見て「へえあったんか、まあどうでもいいけど」的な奴もいるのでは?と、この世界の設定ではあり得る話かと思った。腐るお金も魅力的だし、煙突町も綺麗だし、煙の公害も然程ではなかった感じだし。だからラストの星空シーンで泣きを増幅させる意味では、煙突町をもっとみんなが忌み嫌う町として描くべきでは?と思った。
長々と書いたが、つまりは「ウルっとくる」が詰まっていて、
遊園地のアトラクション的に描写にこだわった綺麗な映画。
ただ残念ながら、物語もキャラクターも世界観もジブリやディズニーには及ばない
「泣き=感動」を履き違えた映画で、本質的にストーリーに面白みがない映画。
というのが私の総評です。
そして、こういうストーリーならやはり絵本でいい気がします。
無理に映画にする必要はないかも。原作をガラッと変えるなら別ですが。
原作とは星を見る、プペルの立ち位置以外ほとんど変わってご本人も歌から(エンディングかな?)作って付け足したストーリーらしくだから辻褄合わないチグハグなんだと確信しま