「絵は綺麗です。ストーリーは子供には見せたくないかも。」映画 えんとつ町のプペル Yuhkiさんの映画レビュー(感想・評価)
絵は綺麗です。ストーリーは子供には見せたくないかも。
絵がとても綺麗で、「アニメーション技術はすごいな」と素直に感動しました。
一見、ストーリーも子供向けなのかな。と思ったのですが、見ている間に、「よくある感じの映画だな…」を超えて、不快感がでてきて、この不快感は映画がはじまって8割方は続きました。何故なのかな。と考えた所。
・おとぎ話のような優しい話のプロットに見えて「ゴミ人間」という言葉が最後まで連呼されるように、物語の登場人物に大半の人に優しさが見られない。言葉が強すぎる。
・主人公に至っても、ロボットのプペルに対して、最後まで「臭い」を連発する。それは映画内の事実だとしても、主人公に気遣いや優しさが見えない。最後まで成長しない。
・話のプロットが「夢をおいかける」にしようとしている事が直接的な手法とセリフでわかるが、主人公の夢がはっきりせず、「いじめ」とそれに対する対抗、というテーマに収束してしまっている。全般的にストーリーを超えた作り手の「怒り」の感じが漂っている。
・「異端を排除する」という言葉が、物語の全体の世界感とずれている。この手のストーリーであれば、「秘密警察」的な呼び方で特定の情報へのアクセスを阻止する組織を置くのが自然だと思った。それが「異端を排除する」という極端な所まで言ってしまっていてる。メインキャラのプペルは何の考えももっておらず、物語の世界感的には、「異端」として排除されなくても何の問題も無い。
・「異端を排除する」テーマを前に出したいというのが、序盤に伝わりすぎてしまっていて、映画全体のストーリーとマッチしてないため「うさんくささ」を感じてしまう。「宗教的」というレビューがあったが、宗教映画のように全体のストーリーとマッチしないメッセージが、映画内でセリフで繰り返されるので、そう感じられるのだと思う。
・一部に良いキャラクターもいるが、それらは掘り下げられず、メインのキャラクターを含め殆どが、打算的な考えで動いている。主人公がプペルを、最終的に助けたのも、自分のアリバイを作ってもらうためであり、その後、仲良くはなるのだが、主人公が誰かと「群れたい」という考え以上は見えず、自分にメリットがある/ 無いかで行動が左右され、行動に「優しさ」や「友情」が見えない。
また、他の方も指摘されていますが、ストーリーは単純なため、中盤、眠くなります。