「この世のすべての父ちゃんの涙腺を破壊するファミリー映画!」劇場版ポケットモンスター ココ TBさんの映画レビュー(感想・評価)
この世のすべての父ちゃんの涙腺を破壊するファミリー映画!
劇場版のポケモンは「ミュウツーの逆襲」くらいしか観ていないのですが、本作は、「ポケモン」のことをほとんど知らない大人でも楽しめる作りになっていて、間口の広いファミリー映画になってましたよ。ゲーム嫌いの親御さん、安心してください(笑)。
話は、いわゆる「人間と人外の共生」をテーマにした王道のストーリー。
ザルードという、人間はおろか、他のポケモンとの共存すら否定する、粗野で縄張り意識の強いポケモンに育てられた人間”ココ”のアイデンティティを巡る物語で、まあ、あれですね、モチーフは「狼少年ケン」と言えば古い方々には伝わりやすいでしょうか(失敬…)。
次第に顕在化する「ポケモン対人間」の構図の中で、ココと、ココを応援するサトシ&ピカチュウが調停者として立ち回るわけですが、いつものポケモンバトルのトーンは控えめで、しっとりと、ココの生い立ちの秘密を辿っていくドラマ主体の流れは良かったです。
想像の範囲内ではあるけれど、それなりに驚きのある真相でもあって、しっかり感情が動きました。
そうなんです、感情が動く映画なんですね。
桃太郎みたいに川から流れてきた赤ちゃんココを育てた”父ちゃんザルード”ってのがこれまた、味わい深いやつでね。
これは、声をやってる中村勘九郎丈の芝居が見事でしたね。ほんとに。
”父ちゃんザルード”は、自分自身も親のぬくもりを感じずに育ったこともあって、異種族であるココを不器用ながらも、深い愛を持って育ててきたんですね。
ていうかもう、この設定だけで8割くらいの父ちゃんは泣いちゃうんじゃないかと。
物語は、ココが本当の自分の生い立ち、出生の秘密を知った上でやがて自立をしていく流れなんですが、そのことの”父ちゃんザルード”の受け入れ方がとても潔くて、素敵でした。
ラストの方も、展開やセリフはべったべたなんだけれど、声の芝居がうまいから泣かせるんですよ。
小1の息子と観てきたのですが、私自身が息子に「父ちゃん」って呼ばれてることもあって、ココが「父ちゃん!」って叫ぶ度に涙腺が決壊しかけて大変でした(笑)。
まあ、個人的には「ポケモンGO」でそこそこディープにトレーナーやってるので、「あ、あれがタネばくだんか!」とか「フライゴンの目、かわいい!」とか、そういうディテールも楽しめたので、良かったです。
逆に、母親が完全に不在の作りになっているので、世の”母ちゃん”がたがどう感じるのか気になるところではあります。※不快になる作りには決してなっていないと思うけれど…
大人の鑑賞代支払う価値は十分にあるかと思いますので、みなさん是非。