「一番の犠牲者」ビューティフル・カップル 復讐の心理 うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0一番の犠牲者

2020年7月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

冒頭、良い歳をしたバカップルが岩場でエッチな事をしているのには「はしゃぎすぎだろ」と呆れた。
勿論、そこから胸くそ展開が起こる訳であるが、マルテ夫妻の誰に共感するかで、作品の感じ様は違う。

妻を目の前でレイプされ、妻を守れず、暴力に晒され恐怖し、屈辱を受けた無念から未だに立ち直れないマルテ。

夫の目の前でレイプされ、セラピーで自身を肯定し、レイプ犯ザシャを赦す事で精神を安定させたリブ。

二年かけてようやく落ち着いた二人、そんなマルテの前にレイプ犯ザシャが現れる。
忘れようとした怨敵を目の前にして混乱するマルテ。
妻には言い出せず、単独で尾行し自宅を突き止め侵入、ザシャに対面した時は「ボッコボコにする」しかないと思っていた…が、ザシャが言い放つ「俺の人生壊したら、お前を殺す」と。
夫妻二人の人生ぶっ壊して置いてこの言い種である。
もはやザシャをトコトン追い込んで殺す以外に選択肢がないように思えた。
しかしマルテはザシャの彼女にレイプをチクる…。
逆上するザシャと再び狂い出すマルテ夫妻には悲しさしかない。

この復讐とは何のために必要なのか?
夫が無力だった無念を晴らす?
大切な妻をレイプされた怨みを晴らす?
誰のために?

単なる復讐物語なら違ったと思う。
しかしマルテの妻リブはもう忘れたいのだ。
マルテの暴走はリブには苦痛でしかない。
司法の手を借りることなく終わってしまうが、私はこの結末を歓迎する。

このような凶悪犯罪を刑法で裁くのはムリがある。
誰のための断罪なのだ?
被害者の為だろう?
もう被害者の気の済むように私刑にすれば良いのでは?とさえ思ってしまう。

世の中にはホントに胸くそ悪い出来事がある。
報復では何も産み出さない…が、被害者が我慢せにゃならん理由などない!

うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)