劇場公開日 2020年1月24日

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「悪人は誰だ」フィードバック KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0悪人は誰だ

2020年2月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「真実は冷酷で醜い」
理不尽な占拠脅迫はやがて、闇に葬られた事件を堀り起こした。

この作品、ただの監禁系スリラーにあらず!!
全てがギリギリでショッキング、息つく間もなくただひたすらに恐ろしく、悲しく、楽しい映画だった。
しかしコトの全貌が見えた時に抱えてしまうモノの重さよ。やり場のない怒りと、それでも感じてしまう仄かな安堵と、胸糞悪い人間の本性。
自分の中で矛盾に苦しむことができる映画でもある。

生放送のラジオ現場が覆面の二人組にジャックされた。
半隔離されたのスタッフルームとレコーディングブースにて、一方通行な要求と意思疎通できない苛立ちがテンションを掻き立てる。
突然の激痛に苦しみ、不気味なマスクに慄き、理解不能な行動に追い詰められる楽しさ。

目的が形を現したところからが本番。
パニックと爆発する憎悪はヒートアップにヒートアップを重ね、緊張と唖然とが止まらない。
犯人達の中でも主張や計画にすれ違いが生まれ、またヒリヒリ感を増幅させてくる。

だんだん善悪の境が曖昧になってくる気持ち悪さ、面白さ。
どこに真実があるのか、何があったのか。
ただ耳を傾けスクリーンを凝視すること以外は何もできない。
矢継ぎ早に発せられる言葉を受け取るしかない。

ゼェハァと息を切らせて呆然としながら迎えたラスト。
その表情と行動の中に、私は少なくとも三つの結末を見た。
悪魔のような選択をするのか、周りから崩れて破滅するのか、自ら正直に終止符を打つのか。
深みのあるマルチエンディングだと思っている。

このストーリーをワンシチュエーションでやり切る力強さを感じた。いや、ワンシチュエーションだからこそ映えるストーリーなのか。
さりげなく入る「フィードバック」、SNSでの反応もなかなか皮肉的。
クールな造形の舞台も好き。無音室の魅力も強い。

ガンガンに振り回される興奮と恐怖が最高で、観た後もずっと心臓がドキドキしていた。
沢山の人に観て欲しい。東京ではもう上映終了してしまったけど…。
未体験ゾーンにおさめるにはもったいないくらいの作品。

KinA
Bacchusさんのコメント
2020年2月2日

今年の未体験ゾーンはらしくなく?マニアック寄りの作品が少なくて、良作満載なイメージです。

Bacchus