「最初から嘘っぽい証言者はなかなか斬新」インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
最初から嘘っぽい証言者はなかなか斬新
コメディでもヒューマンドラマでもないイタリア映画というだけでちょっと珍しい本作は、「ユージュアルサスペクツ」や、最近の作品だと「ピエロがお前を嘲笑う」のように、二人の人物が対話をしながら過去を振り返る形で物語が進む。
本作が面白い最初のポイントとして、証言者の主人公が最初から嘘っぽいことにあると思う。
終盤においては、容疑者と弁護士の対話ですから、いかに無罪にするかの話で、こうかもしれないああかもしれないと、完全に想像の作り話になっていく。
最初から嘘っぽい、終盤は作り話、そうなると、この嘘まみれの話の中にある本当の部分を探りだして観る楽しさがある。
そして衝撃のラストを迎えるが、このラストに気付かなかったならば普通に驚くだろうし、もし気付いてしまったとしても、気付いたからこそわかる面白さというのが存在する。
ネタバレなしで具体的に書くことはできないが、二回目の視聴で得られるような気付きが一回目からあるということだ。
主人公は罪を犯していくのだが、これがバレた方がいいのかバレない方がいいのかわからないドキドキが、ホラーやスリラーのような雰囲気と相まって緊張感を高めて良かった。
それと、北欧系サスペンスなどとちょっと違って、キャラクターの人間性が取り込まれているあたりがイタリア映画らしさかなと思った。本作はスペイン映画のリメイクなので、そちらがそうなっているだけかもしれないが。
雰囲気はホラー、内容はサスペンス、でも結局はヒューマンドラマ。このあたりがヨーロッパ映画らしい。
キャストも地味な感じの人が多かったし、最高に面白い!とまではいかなくとも、スリリングさを売りにするクライムサスペンスなどと違う、しっとり系サスペンスとして良くできてたんじゃないか。