恐竜が教えてくれたことのレビュー・感想・評価
全32件中、1~20件目を表示
児童文学が原作ながら、むしろ大人の心に深く訴えかけてくるものがある
本作にはタイトルのように恐竜が出てこない。ただ、柔らかいタッチの映像世界の中で、自らを「(絶滅寸前の)最後の恐竜に共感する者」と称する少年が登場する。言い換えれば、彼もまた孤独な恐竜なのだろうし、一緒にバカンス中の家族、島で出会う少女やそのママ、その他の登場人物たちも、各々が確固たる恐竜のようだ。
人は生まれながらにして一つの個体でありながら、決して一人ぼっちでは生きていけない存在だ。そんな当たり前のことを、我々は大人になると目の前に靄がかかったかのように失念してしまう。本作はその靄を取り払う、穏やかな光となりうるだろう。児童文学の形を借りながら、実は存在や不在、孤独、生命、記憶、家族、社会などの様々な哲学や概念(こういった言葉でくくると途端に硬くなってしまうが)について少年が緩やかに思考をめぐらせる構成とテーマ性は驚くほど深い。ひと夏の初恋と思い出が甘酸っぱくも温かな余韻を残す名作だ。
魅力あふれる小品だが、邦題が惜しい
ボーイ・ミーツ・ガール、少年少女の成長譚、生き別れの親に会いたい子の思い、といった共感しやすい主題や要素が詰まった佳作。主人公のサムが大人びた多感な少年で、最後の恐竜の死や孤独を想像するとのエピソードから邦題の「恐竜」が選ばれたのだろうが、正直、作品の魅力を伝えているとは言いがたい。原作小説の邦題は「ぼくとテスの秘密の七日間」で、こちらの方がまだ内容に近い。
サム役とテス役の子役2人はともに愛らしくキュートで、状況は大きく違えど「ジョジョ・ラビット」の主人公ジョジョとユダヤ人少女の関係性と似ている。初めて恋を知る10歳前から10代前半の頃は、少し年上の女子に振り回される男子に淡い恋心が芽生えるという流れが自然なのかも。
ロケ地になったオランダの小さな島はおとぎ話のように美しく、2人を取り巻く大人たちも個性はそれぞれあれど一様に優しい。シンプルではあるが、心が温まり癒される一本。
孤独と想い出づくり
ひょっとしたらSFなんだろうか、と思いながら、なかなか恐竜が出てこなくてハラハラしました(笑)。11歳の少年サム(ソンニ・ファンウッテレン)と少し大人びた少女テス(ヨセフィーン・アレンセン)がとびきりキュートでよかったですね!「地球最後の恐竜は自分が最後と知っていたのか?」、「末っ子の自分は、最後に死ぬから孤独に慣れる訓練が必要」とか、そういえば少年時代に似たようなことを想像して、勝手に悲しんだり、苦悩していたなぁと懐かしくなりました。児童文学を大人になって読むときと同じように、心の奥の方にあってすっかり忘れていたピュアな感情が蘇りました。ヘミングウェイみたいな老人ヒレ(ハンス・ダゲレット)とのちょっとしたエピソードが、この物語の大切なエッセンスになっていたり、脚本がとてもよくできていたと思いました。そしておそらくは、初長編作品となるステフェン・ワウテルロウト監督のこの物語(原作)への深い愛情が作品を通じて伝わってきて、すべてのシーンがとても愛おしく感じられました。エンディングも最高で、大好きな作品になりました。
優しい
こういう映画大好き。
これは綺麗過ぎって思う人もいると思うけど、これが現実に難しいってなってることが、本当の問題なんだと思う。
邦題はセンスがないけど、内容はファンタスティコ!本当に素敵な映画。おススメです!
とってもかわいい映画
家族でバカンスに来ていた男の子。母子家庭のおませな女の子と出会う。男の子は、家族の中で自分が最後に死ぬからと、一人で過ごす練習を始める。
女の子は実の父親に会いたくて、ある作戦を実行。男の子も協力して最後はハッピーエンド。
勝気な女の子だけど、実は父親に会うことを一心に願って行動する姿が健気。
振り回される男の子もかわいい^ ^。
老人が教えてくれたこと
児童文学が原作だし、少年がバカンスに訪れた島での淡い初恋の話かと軽く思っていたら凄い傑作でした。優れた児童文学は老若男女を問わず心を癒してくれるのですね。
原題は「テスとの私のとっても奇妙な7日間」で、恐竜も化石も出てきません。ただし、恐竜のメタファーのような独り暮らしの老人が出てきます。
サムは11歳、目下の悩みは哲学的、生きとし生けるものはいずれ皆死ぬという定め、自分は末っ子なので一人で死ぬのだろうか、愛する人たちが居なくなってしまったら耐えられるのだろうか・・・と頭を痛めている。口癖は「最後の恐竜は自分が最後だと知っていたのだろうか」、邦題の恐竜はそこからとったのでしょう。
私も同じくらいの頃に可愛がってくれた祖母の死や愛犬との別れなどを経験、別れや悲しみの存在を知り、だからこその日頃の優しさの大切さに気付かされたことを今更ながら思い出しました。身近な死は情操教育の側面もあるのでしょう、とは言うものの齢を重ねると自身の俗っぽさが気恥ずかしく、別人のようにも思えます、トホホ。
登場人物は皆善人なので肩の力を抜いて安心して観ていられるし、ベタな話やお涙頂戴になりそうなところを軽妙なタッチで爽やかに映しだす、脚本の上手さ、監督さんのセンス、奥ゆかしさがひしひしと伝わります。子役も自然な振る舞いで名演です、オランダ映画の珠玉の傑作でした。
オランダ児童文学の世界
原作を読んだことはないが、いい脚本だった。
主人公二人を演じる役者さん達も可愛いかった。
私も主人公の男の子のように、夜になると、死ぬことについてわからないなりに考えたりして、心細いような気分になっていた子供の頃を思い出した。ただ、私は末っ子ではなかったので主人公のように、最後に自分が生き残ったあとの心配はしなくてよかった。というか、思いつかなかったろう。作品中の男の子は、心配するだけではなくその事態に備えてのトレーニングをするところが子供らしからぬしっかりさだ。遠い未来を心配しすぎて今を忘れてしまっている感も。でも、テスというシングルマザー家庭の女の子を助け、見知らぬ老人に助けられたりして、変わる。
見終わってほっこりした。
サム少年のひと夏の冒険
オランダに住む11歳のサムは、夏に1週間オランダ北部の島に家族とバカンスにやってくる。
サムは最後に生き残った恐竜は仲間も居なくて寂しくなかったのか?ボクは末っ子だし、家族が死んだら自分が1人だけになる、、、そんな事を考えていて、バカンスの1週間、毎日1人の時間を作り1人で過ごす訓練を始める。子供らしい発想で、ほのぼのとしてなんか可愛い😍。本人は至って大真面目なんだけどね😄
日本人には、家族旅行は行っても、こんなふうに長期の休暇を観光するわけでもなく、ただ家族でのんびりと過ごすってことは余りないように思う。こんな過ごし方もいいなあ🤗ちょっと羨ましい。
サムは島で出会った12歳の少女テスと仲良くなって、テスのパパ(パパは娘の存在すら知らずに島にバカンスに来ている)との対面に協力する。そんなテスとの淡い恋物語も微笑ましい。
島で出会ったちょっと怖い一人暮らしの老人。お爺さんの部屋にあった若い頃の奥さんとの写真。奥さんは既に他界していて、サムは「1人になって寂しくなかった?」と聞く。お爺さんのは「頭の中に思い出がいっぱいある。人はお金を貯める人もいる。切手を集める人もいる。思い出をたくさん集めるんだ、手遅れになる前に」
お爺さん、いいこと言いますね〜😉少年の心にスコーンとこの言葉が入りましたよ❗️1週間のバカンスを終えて帰る船の中でサムは思う。もう1人になる訓練はしない。新しい思い出をいっぱい作るんだ‼️
なんかとても爽やかで、まだまだ明るい未来はあるなぁなんて思える映画だった。子供達にこんな映画観て欲しいな🥰
オランダの避暑地の出来事
両親と兄の4人で避暑地にやってきた主人公は、ちょっと変わった11歳の少年。
家族の中で一番若いので、みんなが先に死んでしまい、一人ぼっちになるのを恐れ、孤独に耐える訓練をしている。
そんな主人公は地元の、これまたちょっと変わった少女と知り合う。
家族感が説教臭くなくて好感が持てる。
昨日鑑賞、二本立て一本目。 将来の孤独に備えるゴキブリ博士とまだ見...
昨日鑑賞、二本立て一本目。
将来の孤独に備えるゴキブリ博士とまだ見ぬ父との再会を企む少女、成長の休暇。
まず感じるのはいい所だなあ、行きたいなあってこと。そして少年の家族が暖かい。
特に大きな出来事があるわけではないが、ほっこりさせてくれる作品。今はひとりとなっているおじさんの台詞が全てです。
私は「勘違い」という結末を予想していたのだが…ちょっとなんかうまく行きすぎ(笑)
児童文学の名著が原作とのこと。原作通りの題名でよかったんじやないの。
独りの訓練
将来家族も親戚も大事な人も居なくなって、独りになってしまったときに
悲しみを抱えて辛い思いや寂しさを抱えて過ごさないように
思い出を沢山作って、幸せな時間を沢山作って
辛くなったり、寂しくなったときは思い出して
人生のほとんどは今あなたの中にある
私と同じだ!
私も子供の時に、『恐竜にも感情があったのか?』や『皮膚の表面にあるのは鱗の名残なのか?だったら、恐竜の感情も遺伝している』とか、考えてました。想像力が豊かだったなあ。
そう、あの世に持っていけるのは、大切な思い出とその思い出を愛しむ心。あの夏にサムと出会わなかったらテスは父親との思い出を作れたのかな?
人との出会いとタイミングで、人生が全く違う方向に行くから人生は楽しいのです。また人と出会いたくなってバカンスにも直ぐに行きたくなる作品でした。
一人になる訓練をし過ぎた人〜 🤚🏼≺ハイ!
最近、就寝時や寝起き時に、
「なんでこの世に生まれて来たのだろう🤔?
何をしたくて生まれて来たのだろう🤨?
何故こんなに自分は無能なん・・・😔」
などと取り止めのない事につらつらと思いを馳せる事が多く、この作品も「考えてもどーしよーもない事」に何かプチ哲学的なアプローチを試みる内容なのかと勝手に期待を寄せて観に行きました。
主人公の少年の感じる不安は、幼少期あるあるで懐かしく共感するところで、そんな彼がある女の子と出会い、最初は、おっ! 逆ナン、いいじゃん! と羨ましくお話が進みますが、メインのお話は、母子家庭育ちでBTTFのドクみたいな顔立ちのちょっと小難しいヒロインの子が、ある計画のために周りを振り回しに振り回す展開に終始し、私としては恐竜的な時空を超える壮大さも浅い哲学的欲求も満たされなかったので、ただ邦題の肩透かし感が残りました。
子供の頃の甘酸っぱい思ひ出 というより < 面倒くさい女の子 という印象が先立ってしまいましたし、そもそもの事の発端は♂が避妊せずテキトーにコトを致したから。
最後のパーティーでわりとボッチ気味だった恐竜代わり?のお爺さんの‘思い出’メッセージがこの映画の肝か?
全32件中、1~20件目を表示