ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のレビュー・感想・評価
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その水は飲んではいけない
仕事でテフロン製品に関わるので、
この映画の内容に興味があり鑑賞した。
世の中では便利な物でも、
裏ではいろんなトラブルが起きていて、
一大企業があの手この手で逃げることに
弁護士が対抗する内容だった。
「エリンブロコビッチ」の様なスカッと感はないが、
静かな闘争を描く感じである。
今もなお裁判が続いている問題という以前に、実名の大企業相手に映画を...
今もなお裁判が続いている問題という以前に、実名の大企業相手に映画を出す、というのがアメリカらしいと思った。
しかしながら、日本でもアメリカでも、隠蔽、腐敗、忖度、、同じようなことをしているのだなと感じた。
空炊きなどしない限り安全とのことだが、思わず自宅の古いフライパンを買い換えようと思った。
現在進行形の訴訟である重み
誰もが知る巨大企業を相手に、一人の弁護士が闘い続ける姿勢を、シリアス且つ淡々と描いた作品。
マーク・ラファロ演じる主役のロブがデュポン社の隠蔽を知るところから始まり、長きにわたる訴訟の日々が映し出されていますが、スカッとする様な大逆転やドラマチックな展開はほとんどありません。ロブに関しても、決して「弱者を救うヒーロー」ではなく、怯え、もがき、狼狽えながら仕事をし続ける普通の(でも物凄く優秀な)弁護士として描かれています。
とても地味で重い作品ではありますが、やはりこれが実話であり、近代の事件であり、現在進行形であることが重要且つ最も衝撃的で、観て良かったと感じました。
普通の人なら、途中で投げ出したり妥協してしまうであろう長い長い闘いを、なかなか報われず、理解を得ることも難しく、ときには責められながらも、諦めず投げ出さないロブの姿勢が胸を打ちました。
面白くなかったです。
大変な出来事、被害者は気の毒、弁護陣もご苦労ですが、
映画としては新味なく真面目なだけで、面白くなかったです。
構成がぶつ切りで抑揚が無く、長く感じました。
物語り方が下手なのだと思います。
誰も味方ではない世界
外側からの視点で描かれた「ミナマタ」も良かったけれど、静かに重く苦悩の15年(継続中)を描いた今作にはやられました。法廷活劇というわけではなく地味な展開が延々と続くのだけれど、画面はしっかりと映画サイズで撮られているし、録音も気持ち良かった。ちゃんと映画として作られた社会派ドラマという所か。エンドロールのネタバレ映像もビックリと共に、この作品に皆が込めている思いが伝わってきて、何か大事な魂を頂いた気がしました。
ティム・ロビンス。相変わらず最高です。
MINAMATAと構造は同じです。企業って、組織って、「人間」より偉いのか。
デュポン社にしてみれば、リアルタイムなこともあり、とんでもなくスキャンダラスな作品だ。わが家のキッチンにもいくつもある、フッ素加工のフライパンは「断捨離か〜?」って、煽られた。新年早々(汗)
友だちの少ない変人熱血弁護士と、村八分も厭わない捨て身の原告が偶々出会わなかったなら、今もみんな泣き寝入りし続けたのかな。アメリカって、もっと一人一人人権に敏感な国かと思っていたけど、甘かったなあ。
わかりやすい化学兵器だけでなく、防水防火加工、自然の理に反するものの多くは戦争が産んだ。必要は発明の母。それは確かに人類の英知だけど、やっぱり安全性が担保されてこその金儲け、って人として当たり前のことをさっさと捨象できる異常さ。一概には言えないけどやっぱり当時のビジネス社会=「男社会」ゆえの暴走もあったと思うなあ。
アン・ハサウェイが無駄に美しいように思えたけど、彼女の作品に対する意思が演技ににじみ出ていたと思う。
主人公を支える上司役のティム・ロビンスがいい味出していた。
冒頭で汚染された池で泳いでいた若者たちの体、どうなんちゃったんだか気になる。
タイトルなし
企業が利益優先で起こした公害は高度経済成長下の日本でたくさん起こったわけで、教科書で習った。そういう愚かなことは、二度としない、ましてや大企業は、という教訓をたくさん得た国だ、と思っている。
こちらの公害は70年代に起こって2000年代まで解決してないという。
テフロン加工のお鍋やフライパン、子供の時、家にあった、使ってた、CMしてた。
私も見てたCMやるような世界的に大企業が。しかも、日本の公害が明るみになったあとに。
今時、公害なんて起こさない、というのは過信かもしれない、と思ったのと。
大企業を叩くことはそこの雇用を失うことなんだ、根も闇も深いし被害者が足を引っ張るし、全然裁判進まないし、地獄だと思った。
最後、事件の当事者が主人公含め数名していることがわかって、少し救いだった。
誰の幸せのために生きようか
大企業の社会悪を赤裸々に描いたドキュメンタリー寄りの作品。未だ現在係争中のため、軽々しく「面白い」と口にするのは憚られるけど、2時間とにかく惹き込まれた。
結局ヒトが自分のことしか考えずに動くと傷付くのは地球。ヒトが他人のことを思いやって生きれば地球も喜ぶ。ただ、それだけの事なのに利便性やマネーゲームが絡むと複雑怪奇になってしまう。かといって今流行のなんちゃってSDGsではなんの意味もない💦
あぁ無情……。
アン・ハサウェイ演じる鬼嫁がとにかく嫌いでイライラさせられっぱなしだったけど、終盤やっと旦那さんのやろうとしてる事の偉大さや苦しみを理解し、本当の意味での夫婦になれたように見えた。うん、夫婦ってそうであって欲しい💕ロブの周りの人たちも時間をかけて理解して納得・協力姿勢を見せ始める。人間っていいもんだ✨
「ノマドランド」みたいに当事者たちがカメオ出演してるのもimpressive😊
終わりは無い
迎春。
図書館のように落ち着いた建物「シネ・リーブル神戸」で映画鑑賞。
一人の弁護士、一人の夫として、正義を背負い込んで立ち向かう男の姿が描かれている。
更には舞台となる街で先天性異常や内蔵疾患を患った「実在の」住民が出演している。
そんなわけで妻役アン・ハサウェイがやっぱり目立ちすぎかなという印象。
PFOAや化審法で調べると現在進行形の話だと分かり、他人事ではない。
少量を摂取する分には排出されるらしいが、
大量摂取したり気化した煙を吸い込むとガンや奇形発症のリスクが高くなるとのこと。
そしてブログなんかを読むと「想定外の使い方をしなければそういった心配は無い」と書かれている。
以下をすべて守るのが「想定内の使い方」らしい。
・1分以上空焚きしない。
・食材が乗っていない部分も空焚きになるので分量に合わせたフライパンを使う
・フライパンの表面に優しい「木や樹脂のツール」を使う
・フライパンの中に料理を入れっぱなしにしない
・フライパンが熱々のまま水道水に付けない
自分が初めてフライパンを手にしてから想定外の使い方を何回やってきたか、もはや数え切れない。
そして外食で一体どんなフライパンが使われているかも知るところではないが、
たまにはそんな些細なことに目を向けてみるのも良いかもしれない。
主人公を演じた環境活動家でもある俳優マーク・ラファロも話していた。
「国が何とかしてくれる。ではなく、自分で何とかしなければならない」
思わず握り拳でティムロビンスに同化
「MINAMATA」に続く公害訴訟映画を観たけど、アメリカでは俳優が先導してこういう映画を作っているのが素晴らしい。配役も豪華過ぎて「え」となったのには訳があるのだと思う。
デュポン、テフロン、そうか、こんな俺でもテフロン加工は知ってるもんな、そして巨大企業に揉み消されている悪行はもっともっとたくさんあるのだろう。やっと公開された本作で、とにかく体制側のやり口の卑怯さは万国共通なのだと思った。とにかく被害者側の精神的苦痛を強いるやり口に長けているのは時まさに年末の自民党安部政権下の卑怯極まりないケツのまくり方をみているから握り拳に力が入る。牛飼いのおっちゃんの「犯罪じゃないか!」やティムロビンスのやったれ!宣言に目頭が熱くなる。
そしてこれをトッドヘインズというのが意外だけど、きっと彼も黙ってられなかったのだろう。心意気の映画だと思う。どこで終わるかと思ったら、、ラストカットも鮮やかでした。
身近すぎて怖い…
実名企業あげて実話ベース。しかもまだ継続中の企業裁判をわかりやすく簡潔に展開させて面白い。水俣訴訟を思いだすが大企業と地元住民の関係は切ってもきれないだけに一枚岩ではいかないし…。マークラファロの熱量もひしひし伝わるがアンハサウェイの奥様ぶりもすごい。メークの威力もあると思うが普通の主婦にしかみえん…。
後世に残る大仕事。ノーベル弁護士賞!
テフロンやばいね!『フォックス・キャッチャー』もデュポンの御曹子が道楽でヤバいことする話だったけど、この映画はもっとスケールのデカいヤバさ。デュポンって会社はどうなっちゃってるんでしょうか?
マーク・ラファロは『フォックス・キャッチャー』にも出てて、御曹子にいいようにされた役だったけど、今度はデュポンと闘う弁護士役。
しかも、テフロンって、全世界のありとあらゆる日用品に使われてて、アメリカだけの話じゃない。
ほぼ永久に体の中に残っちゃって、腎臓ガン、精巣ガン、白血病、潰瘍性大腸炎などの原因がはっきりしないと言われている様々な病気や奇形児の原因になってる。ヤバすぎ。これ知らなかったし、なぜ今まで知らされなかったのかも不思議。
人体への影響がありそうな化学物質がまだまだ沢山あるなんて話も最後に出てたし、結局、法律の整備やらその実運用やらの法システムが機動するのはまず事実が証明されてからの後追い。第二次世界大戦終わってから危険な化学物質の規制が始まったって、それ最近じゃん。しかも危険かどうかは企業からの自己申告制。自己申告はふつうにダメでしょ。隠すに決まってるじゃん。
でも、この弁護士が頑張ってくれなきゃここまでこれなかったし、金じゃなくて、正義と安全の価値観を貫くことを仕事としてるから気合いが違う。キリスト教の教えが正義に導いてる風にも描かれて(マーク・ラファロは教会のシーンで讃美歌を歌わない。奥さんが熱心。奥さんが導びかれてマーク・ラファロを救った)宗教は悪いことばかりじゃない。人に重要な生きる価値を与えてます。
金で解決の現世利益会社の巨悪を知って一人で抱えたらそりゃあストレスで病気にもなりますよ。誰かが助けないと。ティム・ロビンスは素晴らしい上司でアン・ハサウェイも素晴らしい奥さん。助けてくれる人がいて本当によかった。金のために現世利益で生き、公共性や人類に対して無責任な行いをする弁護士もいるなかで、こういう人が頑張ってくれたから人類の未来があるし、そういう仕事こそ後世のために残る。そういうすごい仕事を見ました。ノーベル弁護士賞がもしあれば間違いないです。
巨大企業の卑劣な隠蔽に戦慄!権力や金の不文律に圧殺される市民は悲惨極める
骨太な社会派ドラマ。しかも40年前にこのウエストヴァージニア州・北部のこの問題の工場のあった近くに住んでいたことがあります。しかしこの州は米国の最貧州の一つで、我々がいた頃も石炭マイニングと森林伐採で段ボール製造がメインの産業でしたが、その後シェールガスでニュースに出る位です。このテフロン有害・発がん物質高濃度工場廃液垂れ流しのニュースは2019年にNHK「クロ現」でたまたま観た記憶がありましたので、まさかこの舞台がウエストヴァージニアだったのか!と頭を殴られるような気がしました。「クロ現」以後日本では全くこの手の報道がされてませんが、この映画は2019年に米国で公開されるも日本ではこのタイミングまで遅れたのは、環境条約のためだと思います。オハイオ州の境付近に確かにドイツ系移民が多い寒村がありました。(ワシントン工場はこの辺り)巨大な権力が温和しい住民を虫けらのように扱う、しかも健康被害のデータを密かに取りながら握りつぶす、これは東日本大震災、福島原発被害の我慢するしかない辛さに通じます。因みに私は福島県出身(元薬剤師)、成長した奇形の男性がガソリンスタンドで傷心の主人公と偶然出会うシーンでは涙が止まりませんでした。ウエストヴァージニアの風景の町並み、牧場などは我々の当時と何ら変わらない、まるで時間が止まったような何も変わらない映像でしたので、本当にこのエリアは置いてけぼりなんだ、何も産業がなくてヂュポンの工場が出来たことで一時は城下町化し住民も喜んだのかも。蔑称される無力な住民自身が”金”で右往左往させられるのも、米国の底辺をあぶり出した本質を見事に描いていたように思います。構図が明確で淡々と話が進められるので一気に鑑賞できましたが、持つ者と持たざる者の酷い仕打ちの恐怖、寂れるしかない打ち捨てられる田舎の惨状は、現在の我々への大きな警鐘を鳴らしていると思います。それにしても農場主の俳優さん、良かったです。
時の流れに身をまかせなかった男
信念の弁護士の話。
ネタバレになるし、一企業とアメリカにおける環境汚染の問題となると、根は深い。
レビューは書かなかったが、「ドント・ルック・アップ」という映画と前後してみたわけだが
旧態依然の本作と、コメディー仕立てで権力を揶揄する「ドント・・」では、どちらが問題の
本質により斬り込めたかは、早計に結論は出せない。
<企業も人なり>と弁護士間の話に出てくるが、つくづく弁護士という仕事は二律背反性
が強いですね。企業側にたつか原告の側なのかで、その人間性まで判断されやすい。
私はどちらも人の行う事なのだから、「愛」をもってお互いが助け合えばと思いますが、こと
社会の中では、信念を裏切ることもせざる得ない。だから弁護士がどうのというより、まずは
人を幸せにする行為なのかを基本に働いて欲しいと思いますね。
貴方は時の流れに身を任せる側か、信念に生きますか?
農場と化学企業、ブルーカラーとホワイトカラー、疑惑と隠蔽、命と金。これらの対比がバランスよく描かれ緊張感が持続する。
実話を基にしている場合は、「こんな悪を暴きました」ということよりも、登場人物の丁寧な描写がものをいう。その視点でも役者たちの演技、ラファロ、ロビンスはもちろん、とりわけ農場主ビル・キャンプが良い。
また、長年に渡る訴訟による弁護士事務所内での立場、家庭内での経済的困難、プレッシャーによる健康問題など、巨大企業相手の仕事に対する代償の描写も上手い。
トッド・ヘインズはキーワードをさりげなくシーンに映しこみ観客にヒントを与えるのが上手い。パーティなどではシャープな色調を、農場では荒れた土地を切り取り見るものを引き込む
マーク・ラファロはSNSでも積極的な政治発言をしているだけあり、実直な役柄にも説得力があった。
地味ながら骨太
骨太な社会派ドラマ。
私企業は幾らでも強欲に、酷薄になれるのだということを雄弁に証明する実話ベースの物語。
事実を知ることで態度を変える本人と、妻とボスが素晴らしい。
地味ながら、惹き付けられる…
アメリカの片田舎の公害訴訟の物語。映画自体はそれほど面白くはないのですが見る価値はあり。
アメリカの片田舎の公害訴訟の物語です(名曲「カントリーロード」の舞台であるウエストヴァージニア州での出来事)。
率直に言って、映画自体はそれほど面白くないと思います。
原告が負けた作品が映画化されるわけはないので、映画としては原告側勝利と言う結論が先に見えるのですが、結論に向かってのメリハリが今一つ弱いような感じがします。
(主人公が弁護を引き受ける動機も家庭崩壊の危機を免れるのも。)
見るべきは、世界的な巨大企業へ立ち向かう主人公たちの姿勢でしょうか。
巨大企業から恩恵を受ける人々は含めたくさんいて、その中には原告の地元住民・隣人もいて、原告側がそれらの人々から敵視されるのはこの話に限らず日本の水俣病においてもあった話です。
相手企業だけでなく隣人からも敵視されるのは辛いですね。
めげずに主張を貫いた原告・主人公に拍手です。
テフロンに限らず科学的に安全と信じ込まされているだけの物は他にもあるのだろうけど、被害が自分の身に降りかからない限り何も感じずに生きていくのだろうと思ったりしました。
見る価値はある作品です。
終わっていない問題
「ダーク・ウォーター」といえば、ホラー「仄暗い水の底から」のハリウッド版リメイクだが、複数形がついたこの映画はそれとは比較にならない本物の恐怖を描いている。
何しろこれは実話で、汚染規模は全世界で、更にまだ終わっていない問題である。
焦げつかないテフロン加工のフライパンや、撥水性の素材等に広く使われていた便利な化学物質PFOA。デュポン社はこの物質の危険性を知っていながら、PFOAを使った製品を作り続け、大量の排水を水道水の取水源に流していた、というのがこの映画の内容。
この映画におけるデュポンはまさに悪魔のような企業だ。とても実話とは信じられないようなことが次々に出てくる。PFOAによる汚染で牛が190頭も死んだとか、PFOAを含んだタバコを社員に吸わせて健康に影響があるか調べたり、PFOAの製造に関わった社員がガンになったり、30%もの子供に先天性異常が出ていたり、主人公の弁護士を妨害するためにあの手この手の汚い妨害をするとか…。
もちろんデュポンはこの映画の内容のすべてが事実だとは認めていないだろうが、少なくとも裁判で負けたこと、PFOAが有害な物質であること、現在は世界的に規制されていることはまぎれもない事実だ
デュポン社の日本のホームページを調べてみると、一応PFOAについての記述は存在していたが、すべて英語だった(こんな重要なこと、日本語訳を載せておくべきでは?)。映画で語られていることとの違いを探すために少し読んでみた。
まず、「デュポンはPFOAが有害だったことは当時知りえなかった」、としているので、明らかに映画の話とは違う(以下)。
Based on the available science, DuPont did not believe there were any adverse health effects and that PFOA could be manufactured safely.At no point did DuPont ever knowingly harm anyone or dispose of PFOA illegally.PFOA was not a regulated compound at that time, nor is it today, and our wastewater, air and solid waste disposal methods were permitted and legal.
また、メディアなどで報道されていることは事実ではない、もしくは完全な話ではない、としている(以下)。
DuPont’s historical use portrayed in documentaries such as The Devil We Know and as often reported by the media is simply not true or does not tell the full story.
健康への影響については、「因果関係がはっきりしているわけではない」「病気との関連についての証拠はほとんどない」というアメリカ政府とオーストラリア政府の見解を載せている(以下)。
“A large number of studies have examined the possible relationship between levels of perfluoroalkyls in blood and adverse health effects in workers, highly exposed residents, and the general population.Although statistically significant associations have been found, the studies do not establish causality.”
“There is mostly limited or no evidence for any link with human disease” and “there is no current evidence that supports a large impact on an individual's health.”They also report that “there is no current evidence that suggests an increase in overall cancer risk.”
PFOAやその類似の物質による汚染は非常に大きな事件だと思うが、日本ではほとんど話題にされていないことが不思議。在日米軍では今もPFOAは使用されていて、つい先日(12/28)も、沖縄の米軍施設でPFOAやPFOSの汚染水が漏れたことに対する調査結果が発表された、というニュースがあった。映画公開中でまさにタイムリーな話題なのに、テレビでは大きく扱われない。
特集番組らしいものでは、2019年放送のNHKのクローズアップ現代が最後っぽい。この番組では、主に以下の問題提起がされていた。
・日本の浄水施設の中で有機フッ素化合物の濃度の調査をしているところが非常に少ない(現状どのくらい汚染されているのか不明の状況)
・日本には有機フッ素化合物の濃度の基準値が定められていない
・有機フッ素化合物は低濃度でも胎児への影響がある可能性がある
・沖縄の浄水場の取水源となっている河川では、PFOAなどの高濃度の有機フッ素化合物が検出されている(アメリカ軍基地内で消火剤などに使われたものと考えられている)
・PFOAのような化学物質は規制されるとまた新たに同じ機能を持つ似た物質が開発される、というイタチごっこの状況にある(有機フッ素化合物は数千種類存在する)
これらの問題は改善されていないだろう。だからこの問題は解決済みの問題では全くなく、現在進行形の問題だ。今年6月のニュースでは、環境庁が全国の河川や地下水など143地点を調査したところ、12都府県の21地点で暫定的な目標値(アメリカの環境保護庁による、飲料水の健康勧告値を参考にしたもの)を超えていた(大阪市の地下水が最大で、110倍)ことが分かったという。汚染されている場所がいくらかでも分かったことは一歩前進だが、全国の浄水施設は6400箇所以上あるので、調査が足りていないことは明らかだ。
映画の公開時期もちょっと謎だ。アメリカでは2019年11月公開で、日本では2021年12月公開。なぜ日本の公開はこんなに遅かったのだろう? もし2019年公開だったら、5月に国連の国際条約でPFOAの製造・使用の禁止が決議されたばかりなので、タイムリーでもあったのに。
この映画を見ると、大企業を相手に戦う、ということがどんなに困難なのかよく分かる。まさにすべてが敵になる感じ。
こんな戦いを誰もができるわけがない、と思ってふと気づく。ということは、世の中にはまだまだ明るみになっていない恐ろしい事実がたくさんひそんでいる、と考えなければならない、ということか。
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