ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のレビュー・感想・評価
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シリアスだからこそ魅せ方が大事
昨年、コレクティブがつまらな過ぎて今後はシリアスな組織隠蔽モノは観ないと誓いましたが、本作はドラマ性が評価されていたので騙されたと思って観に行くことに。結果、当たり!弁護士事務所に所属する一弁護士がクライアントである企業に立ち向かうという無理ゲー設定から始まり、エンディングまでの物語のアップダウンは見事(=基本に忠実)。これには原告である農家のおじさんの存在が大きくて、あのおじさん夫婦が癌を患ってしまった時はどん底に突き落とされた気持ちだった。主人公である弁護士の私生活での苦しみが庶民でも共感できる内容であったこともポイントだったと思う。
コレクティブと比較して、同じトーンの作品であっても作り方が異なるだけでこれだけ刺さり方が違うのかと実感。真面目なだけはつまらない。本作のように丁度良い塩梅の作品とこれからも出会いたい。
凄い怖いお話・・・・
いや~本作品、実話でしょ、それにいまだに本当の事って言うか解明されていないんでしょ・・・それを考えると凄い怖い作品・・・・
大企業と不平等の恐ろしさをじわじわ感じる作品だよね・・・実際のお話なんだろうから、ただただ怖い・・・決して楽しんでみる事が出来ない作品・・・後味もスカッととはいかず・・・・考えると言うより、ただただ現実に怖いと言う思いだけが残る・・・・
映画の方も淡々とお話が進む・・・強いて言うのなら、主役のマーク・ラファロって、適任だったのかな・・・・俺的には、マーク・ラファロだったからこそ、最初のうちは、全然緊張感も伝わらず、この人なんだろうと思っていたけど・・・実際の本当の人物はもっと大変な思いをしたんだろうけど、それをマーク・ラファロが上手く表現出来ていない気がするね。
ビル・キャンプが演じた役どころだけど、ひと昔で言えば、ジョージ・ケネディが演じていてもはまったかな・・・
とにかく、大企業や役人でも事なかれ主義者や、面子を守ろうとする厄介な人の怖さ、いまだに解決ししていない事実のお話の怖さ・・・・本当に怖いお話です。
その水は飲んではいけない
今もなお裁判が続いている問題という以前に、実名の大企業相手に映画を...
現在進行形の訴訟である重み
誰もが知る巨大企業を相手に、一人の弁護士が闘い続ける姿勢を、シリアス且つ淡々と描いた作品。
マーク・ラファロ演じる主役のロブがデュポン社の隠蔽を知るところから始まり、長きにわたる訴訟の日々が映し出されていますが、スカッとする様な大逆転やドラマチックな展開はほとんどありません。ロブに関しても、決して「弱者を救うヒーロー」ではなく、怯え、もがき、狼狽えながら仕事をし続ける普通の(でも物凄く優秀な)弁護士として描かれています。
とても地味で重い作品ではありますが、やはりこれが実話であり、近代の事件であり、現在進行形であることが重要且つ最も衝撃的で、観て良かったと感じました。
普通の人なら、途中で投げ出したり妥協してしまうであろう長い長い闘いを、なかなか報われず、理解を得ることも難しく、ときには責められながらも、諦めず投げ出さないロブの姿勢が胸を打ちました。
誰も味方ではない世界
MINAMATAと構造は同じです。企業って、組織って、「人間」より偉いのか。
デュポン社にしてみれば、リアルタイムなこともあり、とんでもなくスキャンダラスな作品だ。わが家のキッチンにもいくつもある、フッ素加工のフライパンは「断捨離か〜?」って、煽られた。新年早々(汗)
友だちの少ない変人熱血弁護士と、村八分も厭わない捨て身の原告が偶々出会わなかったなら、今もみんな泣き寝入りし続けたのかな。アメリカって、もっと一人一人人権に敏感な国かと思っていたけど、甘かったなあ。
わかりやすい化学兵器だけでなく、防水防火加工、自然の理に反するものの多くは戦争が産んだ。必要は発明の母。それは確かに人類の英知だけど、やっぱり安全性が担保されてこその金儲け、って人として当たり前のことをさっさと捨象できる異常さ。一概には言えないけどやっぱり当時のビジネス社会=「男社会」ゆえの暴走もあったと思うなあ。
アン・ハサウェイが無駄に美しいように思えたけど、彼女の作品に対する意思が演技ににじみ出ていたと思う。
主人公を支える上司役のティム・ロビンスがいい味出していた。
冒頭で汚染された池で泳いでいた若者たちの体、どうなんちゃったんだか気になる。
タイトルなし
企業が利益優先で起こした公害は高度経済成長下の日本でたくさん起こったわけで、教科書で習った。そういう愚かなことは、二度としない、ましてや大企業は、という教訓をたくさん得た国だ、と思っている。
こちらの公害は70年代に起こって2000年代まで解決してないという。
テフロン加工のお鍋やフライパン、子供の時、家にあった、使ってた、CMしてた。
私も見てたCMやるような世界的に大企業が。しかも、日本の公害が明るみになったあとに。
今時、公害なんて起こさない、というのは過信かもしれない、と思ったのと。
大企業を叩くことはそこの雇用を失うことなんだ、根も闇も深いし被害者が足を引っ張るし、全然裁判進まないし、地獄だと思った。
最後、事件の当事者が主人公含め数名していることがわかって、少し救いだった。
誰の幸せのために生きようか
大企業の社会悪を赤裸々に描いたドキュメンタリー寄りの作品。未だ現在係争中のため、軽々しく「面白い」と口にするのは憚られるけど、2時間とにかく惹き込まれた。
結局ヒトが自分のことしか考えずに動くと傷付くのは地球。ヒトが他人のことを思いやって生きれば地球も喜ぶ。ただ、それだけの事なのに利便性やマネーゲームが絡むと複雑怪奇になってしまう。かといって今流行のなんちゃってSDGsではなんの意味もない💦
あぁ無情……。
アン・ハサウェイ演じる鬼嫁がとにかく嫌いでイライラさせられっぱなしだったけど、終盤やっと旦那さんのやろうとしてる事の偉大さや苦しみを理解し、本当の意味での夫婦になれたように見えた。うん、夫婦ってそうであって欲しい💕ロブの周りの人たちも時間をかけて理解して納得・協力姿勢を見せ始める。人間っていいもんだ✨
「ノマドランド」みたいに当事者たちがカメオ出演してるのもimpressive😊
終わりは無い
迎春。
図書館のように落ち着いた建物「シネ・リーブル神戸」で映画鑑賞。
一人の弁護士、一人の夫として、正義を背負い込んで立ち向かう男の姿が描かれている。
更には舞台となる街で先天性異常や内蔵疾患を患った「実在の」住民が出演している。
そんなわけで妻役アン・ハサウェイがやっぱり目立ちすぎかなという印象。
PFOAや化審法で調べると現在進行形の話だと分かり、他人事ではない。
少量を摂取する分には排出されるらしいが、
大量摂取したり気化した煙を吸い込むとガンや奇形発症のリスクが高くなるとのこと。
そしてブログなんかを読むと「想定外の使い方をしなければそういった心配は無い」と書かれている。
以下をすべて守るのが「想定内の使い方」らしい。
・1分以上空焚きしない。
・食材が乗っていない部分も空焚きになるので分量に合わせたフライパンを使う
・フライパンの表面に優しい「木や樹脂のツール」を使う
・フライパンの中に料理を入れっぱなしにしない
・フライパンが熱々のまま水道水に付けない
自分が初めてフライパンを手にしてから想定外の使い方を何回やってきたか、もはや数え切れない。
そして外食で一体どんなフライパンが使われているかも知るところではないが、
たまにはそんな些細なことに目を向けてみるのも良いかもしれない。
主人公を演じた環境活動家でもある俳優マーク・ラファロも話していた。
「国が何とかしてくれる。ではなく、自分で何とかしなければならない」
思わず握り拳でティムロビンスに同化
「MINAMATA」に続く公害訴訟映画を観たけど、アメリカでは俳優が先導してこういう映画を作っているのが素晴らしい。配役も豪華過ぎて「え」となったのには訳があるのだと思う。
デュポン、テフロン、そうか、こんな俺でもテフロン加工は知ってるもんな、そして巨大企業に揉み消されている悪行はもっともっとたくさんあるのだろう。やっと公開された本作で、とにかく体制側のやり口の卑怯さは万国共通なのだと思った。とにかく被害者側の精神的苦痛を強いるやり口に長けているのは時まさに年末の自民党安部政権下の卑怯極まりないケツのまくり方をみているから握り拳に力が入る。牛飼いのおっちゃんの「犯罪じゃないか!」やティムロビンスのやったれ!宣言に目頭が熱くなる。
そしてこれをトッドヘインズというのが意外だけど、きっと彼も黙ってられなかったのだろう。心意気の映画だと思う。どこで終わるかと思ったら、、ラストカットも鮮やかでした。
身近すぎて怖い…
後世に残る大仕事。ノーベル弁護士賞!
テフロンやばいね!『フォックス・キャッチャー』もデュポンの御曹子が道楽でヤバいことする話だったけど、この映画はもっとスケールのデカいヤバさ。デュポンって会社はどうなっちゃってるんでしょうか?
マーク・ラファロは『フォックス・キャッチャー』にも出てて、御曹子にいいようにされた役だったけど、今度はデュポンと闘う弁護士役。
しかも、テフロンって、全世界のありとあらゆる日用品に使われてて、アメリカだけの話じゃない。
ほぼ永久に体の中に残っちゃって、腎臓ガン、精巣ガン、白血病、潰瘍性大腸炎などの原因がはっきりしないと言われている様々な病気や奇形児の原因になってる。ヤバすぎ。これ知らなかったし、なぜ今まで知らされなかったのかも不思議。
人体への影響がありそうな化学物質がまだまだ沢山あるなんて話も最後に出てたし、結局、法律の整備やらその実運用やらの法システムが機動するのはまず事実が証明されてからの後追い。第二次世界大戦終わってから危険な化学物質の規制が始まったって、それ最近じゃん。しかも危険かどうかは企業からの自己申告制。自己申告はふつうにダメでしょ。隠すに決まってるじゃん。
でも、この弁護士が頑張ってくれなきゃここまでこれなかったし、金じゃなくて、正義と安全の価値観を貫くことを仕事としてるから気合いが違う。キリスト教の教えが正義に導いてる風にも描かれて(マーク・ラファロは教会のシーンで讃美歌を歌わない。奥さんが熱心。奥さんが導びかれてマーク・ラファロを救った)宗教は悪いことばかりじゃない。人に重要な生きる価値を与えてます。
金で解決の現世利益会社の巨悪を知って一人で抱えたらそりゃあストレスで病気にもなりますよ。誰かが助けないと。ティム・ロビンスは素晴らしい上司でアン・ハサウェイも素晴らしい奥さん。助けてくれる人がいて本当によかった。金のために現世利益で生き、公共性や人類に対して無責任な行いをする弁護士もいるなかで、こういう人が頑張ってくれたから人類の未来があるし、そういう仕事こそ後世のために残る。そういうすごい仕事を見ました。ノーベル弁護士賞がもしあれば間違いないです。
巨大企業の卑劣な隠蔽に戦慄!権力や金の不文律に圧殺される市民は悲惨極める
骨太な社会派ドラマ。しかも40年前にこのウエストヴァージニア州・北部のこの問題の工場のあった近くに住んでいたことがあります。しかしこの州は米国の最貧州の一つで、我々がいた頃も石炭マイニングと森林伐採で段ボール製造がメインの産業でしたが、その後シェールガスでニュースに出る位です。このテフロン有害・発がん物質高濃度工場廃液垂れ流しのニュースは2019年にNHK「クロ現」でたまたま観た記憶がありましたので、まさかこの舞台がウエストヴァージニアだったのか!と頭を殴られるような気がしました。「クロ現」以後日本では全くこの手の報道がされてませんが、この映画は2019年に米国で公開されるも日本ではこのタイミングまで遅れたのは、環境条約のためだと思います。オハイオ州の境付近に確かにドイツ系移民が多い寒村がありました。(ワシントン工場はこの辺り)巨大な権力が温和しい住民を虫けらのように扱う、しかも健康被害のデータを密かに取りながら握りつぶす、これは東日本大震災、福島原発被害の我慢するしかない辛さに通じます。因みに私は福島県出身(元薬剤師)、成長した奇形の男性がガソリンスタンドで傷心の主人公と偶然出会うシーンでは涙が止まりませんでした。ウエストヴァージニアの風景の町並み、牧場などは我々の当時と何ら変わらない、まるで時間が止まったような何も変わらない映像でしたので、本当にこのエリアは置いてけぼりなんだ、何も産業がなくてヂュポンの工場が出来たことで一時は城下町化し住民も喜んだのかも。蔑称される無力な住民自身が”金”で右往左往させられるのも、米国の底辺をあぶり出した本質を見事に描いていたように思います。構図が明確で淡々と話が進められるので一気に鑑賞できましたが、持つ者と持たざる者の酷い仕打ちの恐怖、寂れるしかない打ち捨てられる田舎の惨状は、現在の我々への大きな警鐘を鳴らしていると思います。それにしても農場主の俳優さん、良かったです。
時の流れに身をまかせなかった男
信念の弁護士の話。
ネタバレになるし、一企業とアメリカにおける環境汚染の問題となると、根は深い。
レビューは書かなかったが、「ドント・ルック・アップ」という映画と前後してみたわけだが
旧態依然の本作と、コメディー仕立てで権力を揶揄する「ドント・・」では、どちらが問題の
本質により斬り込めたかは、早計に結論は出せない。
<企業も人なり>と弁護士間の話に出てくるが、つくづく弁護士という仕事は二律背反性
が強いですね。企業側にたつか原告の側なのかで、その人間性まで判断されやすい。
私はどちらも人の行う事なのだから、「愛」をもってお互いが助け合えばと思いますが、こと
社会の中では、信念を裏切ることもせざる得ない。だから弁護士がどうのというより、まずは
人を幸せにする行為なのかを基本に働いて欲しいと思いますね。
貴方は時の流れに身を任せる側か、信念に生きますか?
農場と化学企業、ブルーカラーとホワイトカラー、疑惑と隠蔽、命と金。これらの対比がバランスよく描かれ緊張感が持続する。
実話を基にしている場合は、「こんな悪を暴きました」ということよりも、登場人物の丁寧な描写がものをいう。その視点でも役者たちの演技、ラファロ、ロビンスはもちろん、とりわけ農場主ビル・キャンプが良い。
また、長年に渡る訴訟による弁護士事務所内での立場、家庭内での経済的困難、プレッシャーによる健康問題など、巨大企業相手の仕事に対する代償の描写も上手い。
トッド・ヘインズはキーワードをさりげなくシーンに映しこみ観客にヒントを与えるのが上手い。パーティなどではシャープな色調を、農場では荒れた土地を切り取り見るものを引き込む
マーク・ラファロはSNSでも積極的な政治発言をしているだけあり、実直な役柄にも説得力があった。
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