「後世に残る大仕事。ノーベル弁護士賞!」ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 shunsuke kawaiさんの映画レビュー(感想・評価)
後世に残る大仕事。ノーベル弁護士賞!
テフロンやばいね!『フォックス・キャッチャー』もデュポンの御曹子が道楽でヤバいことする話だったけど、この映画はもっとスケールのデカいヤバさ。デュポンって会社はどうなっちゃってるんでしょうか?
マーク・ラファロは『フォックス・キャッチャー』にも出てて、御曹子にいいようにされた役だったけど、今度はデュポンと闘う弁護士役。
しかも、テフロンって、全世界のありとあらゆる日用品に使われてて、アメリカだけの話じゃない。
ほぼ永久に体の中に残っちゃって、腎臓ガン、精巣ガン、白血病、潰瘍性大腸炎などの原因がはっきりしないと言われている様々な病気や奇形児の原因になってる。ヤバすぎ。これ知らなかったし、なぜ今まで知らされなかったのかも不思議。
人体への影響がありそうな化学物質がまだまだ沢山あるなんて話も最後に出てたし、結局、法律の整備やらその実運用やらの法システムが機動するのはまず事実が証明されてからの後追い。第二次世界大戦終わってから危険な化学物質の規制が始まったって、それ最近じゃん。しかも危険かどうかは企業からの自己申告制。自己申告はふつうにダメでしょ。隠すに決まってるじゃん。
でも、この弁護士が頑張ってくれなきゃここまでこれなかったし、金じゃなくて、正義と安全の価値観を貫くことを仕事としてるから気合いが違う。キリスト教の教えが正義に導いてる風にも描かれて(マーク・ラファロは教会のシーンで讃美歌を歌わない。奥さんが熱心。奥さんが導びかれてマーク・ラファロを救った)宗教は悪いことばかりじゃない。人に重要な生きる価値を与えてます。
金で解決の現世利益会社の巨悪を知って一人で抱えたらそりゃあストレスで病気にもなりますよ。誰かが助けないと。ティム・ロビンスは素晴らしい上司でアン・ハサウェイも素晴らしい奥さん。助けてくれる人がいて本当によかった。金のために現世利益で生き、公共性や人類に対して無責任な行いをする弁護士もいるなかで、こういう人が頑張ってくれたから人類の未来があるし、そういう仕事こそ後世のために残る。そういうすごい仕事を見ました。ノーベル弁護士賞がもしあれば間違いないです。