劇場公開日 2021年12月17日

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「法律を扱う映画なので、もう少し丁寧な翻訳は欲しかったかな…。」ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5法律を扱う映画なので、もう少し丁寧な翻訳は欲しかったかな…。

2021年12月17日
PCから投稿

今年206本目(合計270本目)。
私自身は行政書士試験に合格した程度の知識です(この映画の舞台となるアメリカには行政書士という法律職はいません。韓国や台湾などにはあります)。

ストーリーは実話をベースにしたものなので、あることないこと書けない状況です。そのため、映画というカテゴリには入るものの、事件発生からずっと淡々と描写が続くような展開になっており、ここはすき好み分かれるんじゃないかと思います。
また実話をベースにしたという事情があるため、あることないこと書けませんので、残酷な話でもそのまま書くしかありません。その関係で、ちょっと「そこは配慮がたりないなぁ」という部分があるとしても、そういう関係です。

まず先に言うと、まず化学の知識は必須じゃないかなと思います。ただ、学部レベルのものではなく、高校レベル(理系)の有機化合物の一般的な知識レベルでも足ります。

もう一つ、法律的な知識は「表立っては」要求しないものの、それを前提にする字幕や展開は結構あるため、最低限の知識(特に、何でも良いので手続法と呼ばれるものは必須?)がないと、本当にわかりにくい展開が続きます(一部の登場人物が取る行動の意味が分からなくなるところがある)。その上で、そこそこ法律用語がバシバシとんでくる割に、なぜか一般的な意味で使われている部分もあったりと、大混乱を招きます。

もっとも、そのような知識を持っていなくても、テレビドラマなどで民事訴訟法などを扱うものは最近多いですから、ある程度そこで補うことも可能で、この映画はそこで何とか足りるように工夫もされています。とはいえ、それでも全部補えるわけではなく、法律系資格か、法学部1~2年生くらいの知識をこっそり要求しています(わからなくても大丈夫なように字幕で工夫しているに過ぎない)。

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 ▼ 見るにあたって最低限必要な用語(日米同じなので、日本基準で)

 環境法: 「民法」のように単独の法律を指すのではなく、環境に関する法律(日本なら、例えば、悪臭防止法、工業用水法、大気汚染防止法など)をまとめたものを「環境法」といいます。

 民事裁判: 民事裁判は私人間どうしの私的な内容を扱う裁判です。基本的には金銭での賠償を求めるのが普通です。逆にいえばそのような裁判である以上、民事裁判で「この人を刑務所に4年入れてくれ」というようなことは言えませんし、逆も同じです(役割が違います)。

 ※ ですから、日本でも、極悪事件がおきたとして刑事事件で最終的な刑が確定した後、「そのあとに」民事裁判で損害賠償を求めるというのは、このことと関係します。

(民事裁判における)却下と棄却: 裁判を起こしたのに相手方を間違っているなど、そもそも「正しくない訴訟を提起している」場合、「却下」判決になります(門前払い扱い)。これを超えてどちらが正しいか争って負けるのが「棄却」(判決)です。
このように「却下」と「棄却」はれっきとして違う語です。

 ※【本来、正しく使われるべき語】善意/悪意: このような法律ワードが飛び交う中においては、「善意」」「悪意」というのも法律用語として使われるべき…なはずです。あることについて「知らない」ことを「善意」、知っていることを「悪意」といいます。

 …が、この映画、こういう法律ワードがどんどん飛び交う中で「善意」という語が一般的な意味(よい気持ちの持ち主、程度の意味)で用いられているため、さらに大混乱を招きます。
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 さらに、化学的な内容も若干出ますので(ただ、映画内では主人公が弁護士であるという事情から、詳しい人が教えてくれる、という展開になっている)、理系文系のどちらの知識もかなり高い知識で求められるという展開になっています。

 肝心の内容は…。そうですね。これ、ドキュメンタリー映画に近いといえますからね。
この映画は95%以上が実話ベースなのでしょうが、だからといって、これをもって、「映画内で出てくる、ある調理器具」叩きをするのは変な話ですし、その「ある調理器具」に施されれている技術は日本でも一般的に行われているものです。

起きたことは仕方がないものだけど、「証拠は隠さない、トラブルになりそうなら事件を出さない」「トラブルになったら、すぐに行政を含めて相談できる土壌を作る」という、良い意味で、この一連の事件で亡くなられた方も「真に」望んでいるであろう未来が、この事件でのテーマとなっている会社はもとより、アメリカや日本、やがては世界でも当たり前になれば…と思うところです。

 採点は下記のようにしました。

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 (減点0.2) 正直、かなりの「総力戦」を要求する映画になっています。化学に関する知識はもとより、法律(特に、民事訴訟に関する話一般など)の話などがどんどん出るため、理系文系どちらの知識も深く要求する「総力戦」で、ここまではちょっときついのでは…と思えました。
とはいえ、実話ベースであることは確かで、あることないこと書けないというのは、「いきなり「導関数」が出てきたボスベイビーとは明確に異なる」ことも事実であり、そこは考慮しました。
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yukispica