ひとくずのレビュー・感想・評価
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この世界を見届ける覚悟を。
空き巣に入ることと、子供を虐待することはどっちが罪深いのだろう。
その虐待を見て見ぬふりをする大人はどうだろう。初対面の人を口汚く罵るのはどうだろう。女性を暴力でねじ伏せるのはどうだろう。
虐待を繰り返す人間のクズを刺し殺すのはどうだろう。
電気もつかない。食べ物もない。ドアも開かない。薄暗いゴミだらけの部屋でもう何日も鞠が母の帰りを待っている。マーガリンの蓋を舐めながら。
身体中の痣やアイロンや煙草を押し付けられた火傷の痕を必死に隠しながら。
唯一側にいる大人を怒らせることのないように、息を殺して生きている。
目を覆ってはいけない。これはフィクションではない。
自分を虐待していた男を刺殺した過去を持つカネマサ。今は空き巣に手を染めその日暮らしの生活。鞠にかつての自分を重ねる。このまま放ってはおけない。
一方、鞠の母凛も幼少期のトラウマを抱えていた。我が子をどう抱きしめ、どう愛せばいいのか。
恋人から執拗なまでに虐待を受ける鞠を守る術を持たない。
粗暴で暴力的、口を開けば暴言しか吐かないカネマサ。でもなんとか鞠をこの暗闇から救いだしてあげたい。
観覧車、ラーメン、火傷の治療。鞠が望むなら叶えてやりたい。
一体誰が一番罪深いのだろう。
一体誰が一番優しいのだろう。
一体誰が一番人間らしいのだろう。
一体誰が傷ついた子供の未来を救えるのだろう。
鞠にとってカネマサは救世主だったかもしれない。でも人殺しの犯罪者。いつかは裁かれる時が来る。
俳優陣の圧倒的、そして体当たりの魂の演技はまさに圧巻!
とくに上西雄大さんはカネマサが乗り移ったかのようだった。
苦しくても最後まで目をそらさずに。大人にはこの物語を余さず見届ける責任がある。
是非多くの人の目に触れてほしい傑作。
特上食っとけば間違いなし
チンピラ男にご執心の母親によって自宅に置き去りにされた小学生女児の下に空き巣に入った男が、少女の境遇を見かねて手を差し伸べる話。
窓ガラスを割ってアパートに侵入したら、荒れ果てた部屋に少女が独り。
電気は止められ玄関は外鍵がかけられ監禁状態で食べ物もなし。そして手にはヤケドの痕が…という状況を見た主人公が、自身の生い立ちと重ねて同情し巻き起こるストーリー。
いやいや、外の鍵は周りから見られるし…何て序盤は思っていたけれど、母親のクソっぷりは理解不能だし、理解しようとも思わないレベル。
でも実際にももっと酷い結末もあるんだよね…。
口も態度もまともじゃないし、これを正とは出来ない主人公だけど、彼なりにしてあげられること、出来ることを目一杯実行していく流れは胸に響く。
特に終盤に近付くにつれシーンの移り変わりや展開に急な部分があったり、音響のイコライジングとか演出等、注文をつけたいところは多々あるけれど、面白かった。
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