「考えられないほど秀逸なラストに、慟哭する。」ひとくず 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
考えられないほど秀逸なラストに、慟哭する。
上西劇場だった。
絶対的エースで4番バッターで監督。
映画はただただ一直線。
脇見も寄り道も休憩もなく、ラストに向かって駆け抜ける。
母親の愛人から虐待を受ける2人の子供。
一人は主人公カネマサ(金田匡郎)の子供の頃。
母親の愛人から日常的に虐待されて、根性焼き
(煙草の火で手の甲を焼かれる)
もう一人はカネマサが空き巣に入った電気もガスも停められて食べ物も
何も無い部屋で留守番をしていた小学生の鞠(まり)
鞠(小南希良梨=きらりちゃん好演)は母親の愛人に焼けたアイロンを
胸に押し当てられていた。
手の甲に根性焼きの趾(あと)もある。
カネマサは結果として、虐待された母親の男を中学生高学年か、高校生で
刺し殺して制裁している。
そして鞠の虐待の加害者ヒロも結果的に殺して埋める。
監督・脚本・主演の上西雄大は実際に3歳まで戸籍を持たない生い立ちで、
実際に虐待を受けていたと言う。
映画の中で積年の怨みを晴らしたとも言えるだろう。
子供の虐待死ほど、おぞましい事件を他に知らない。
子供は100%悪くないから。
この映画は、途方もなく、くち汚い。
カネマサは女を見れば、
馬鹿女、クソババア、このブス。
この三つしか知らないのかと思うほど、連発する。
多少ゲンナリする部分もあったが、
語り口とストーリー展開に、無理や停滞がない。
面白くてストレートに心に響くのだ。
男がカネマサを虐待する馬鹿女の母親を徳竹末夏。
鞠の馬鹿母親を古川藍が演じている。
奇しくも先に観た「西成ゴローの四億円」で大活躍する
闇金シスターズの2人ではないか?
「西成ゴロー」では破茶滅茶な存在感で好演が印象深かった。
今回は2人ともシリアスな役。
「男が居ないといきていけない・・・」
そう呟く古川藍。
男に九州の淫売宿に売られそうになる徳竹末夏。
メジャー映画では端役が精々だろう2人の熱のある演技を引き出したのも、
こと映画の成功のひとつだと思う。
(上西監督の秘蔵っ子!!)
現実に虐待された子供は加害者になすすべもない。
「仕置人カネマサ」は映画の中で彼らを制裁して殺してしまう。
(殺されて当然の人間は実際に存在していると思う)
ラストの格好良さ。
全ての観客を満足させて帰す力技。
較べてはどちらに失礼なのか分からないが、
取り敢えず【日本のクェンティン・タランティーノ2世】と呼ぼう。
彼の映画は決して暗くない。
スカッとする。
上西雄大には長生きして、私たちをもっともっと喜ばせてほしい。
コメント&フォローありがとうございます。^ ^
身体年齢は時間さえ経てば成長するけれど、精神は時間だけでは育たない。
虐待の連鎖を止めるには、自己責任論とは違った視点でも物事を見る必要があるなぁと感じさせてくれる本作でした。
骨太の良作でしたよね♪
やはりラストでしたか。最後にカネマサは殺されるかと思いきや…ハッピーエンド、これには私も感動しました。これで上西監督を意識するようになりました。
これが最初の作品なので、うまくないところはあるのですが、そこは問題にならないと思わせるところがあります。
ねばぎばはコメディ寄りの作品ですが、上西ワールドが好きな人は楽しめると思います。
今年に入り仕事が忙しくなり、劇場に行くのをあきらめて配信ででも観ようかと思っていたのですが、もともと配信で観ないこともあり、時間がないこともあり、なかなか観れなくなってしまいました。やはりスクリーンが好きなんですね。映画はスクリーンで観るものだと思います。
リンダ・ロンシュタットは私が最も感動した音楽系のドキュメンタリー映画です。彼女の姿に涙しました。
Mondaysは私が最も面白いと感じた低予算映画の傑作中の傑作です。タイムループものとしても、コメディとしても秀逸です。
話は尽きませんが、私も幅をひろげて観るのが好きなので、面白くない映画を観るのも好きですw
「あのこは貴族」も傑作ですね。ホントに話が尽きなくなってきました。それでは。