「この内容でこのタイトルは勿体ない」名探偵コナン 緋色の弾丸 しののめさんの映画レビュー(感想・評価)
この内容でこのタイトルは勿体ない
完全にタイトル負けしています。
赤井の代名詞である「緋色」と赤井の一番の武器であり自らの異名の「弾丸」を使うならば、もっと赤井色が濃厚な作品でないと、キャラが不憫です。
それだと名探偵コナンでなくなる。
そのとおり。
このタイトルをもつ「名探偵コナン」だという時点で、チグハグなものをお作りになったという印象です。
執行人のときから言っておりますが、キャラの印象からつけるタイトルの映画とか、そんなん名探偵コナンの冠を付けずにスピンオフでやれ。
昔は事件の核心に基づいたタイトルでしたよね〜。
いつからおかしくなってしまいましたか?(確か某22作目……)
前置きはさておき、残念ポイントの土台として、まず脚本が某執行人と被りまくりです。
舞台と暴走させる装置と破壊するものが変わっただけで、事件の構成が丸被り。
ネタ切れでついに手抜き始めました?という感じ。
ま〜執行人のときも国際宇宙ステーションのくせに民間のプロでもない一般人(笑)に重要なプログラムにハッキングされてたのは失笑ものだったんですが、
それの反省なのか今回はリニアのプログラマー責任者が暴走プログラムを組んでいた!ってねぇ……。
現実感を増してみた!とでも思っているんでしょうか。
責任者とはいえたった一人のエンジニアの操作で操作不能になって、プログラムを再起動も出来ない緊急停止できる手段もないってあれだけの速度を出せる乗り物のくせに、安全装置ゼーローって危機管理なってなさすぎじゃないですか?
執行人のときは公安職の方たちはどう思うだろうか……と思いを馳せましたが、今回のは公共交通に関わる全ての人に謝っていただけますか?という感じ……。
脱線事故は最も世間の信用をなくし、二度と起こしてはいけないと誓ってみなさん公共交通に携わっておられます。それを「国民的アニメ」と称される長寿アニメが踏みにじっていいわけないでしょうよ……。
今回破壊した建築物も同様。
オリンピックの開催国でやることじゃないんですよね……。新国立競技場を模した建物で、それを破壊する。架空のものを破壊してた拳より前の作品と違い、モデルがある分タチが悪いんですよね……。
どういう気持ちで破壊するカット描いたんです?面白いと思ったんです???
モデルがある以上、フィクションだから!と逃げるのは無責任だし、本当に社会への配慮がない。
もはや不謹慎だと言わざるを得ない。
お祭りだから!コナン映画の良さは派手なアクション!破壊活動!!!タブーなし!!!!
という層が増えてきてこれが容認されるような状況であるならば悲しい。
やるなら本気で自分たちで作った架空のものでやってくれ。そうすれば現実世界への配慮とかいらん。
本当に嫌な気持ちになったし、ドン引きすぎてそれ以降何をやられても心に響かなかった。
時期が時期だけに映画を使ってオリンピックへのプロパガンダをやらないでくれます?って感じで胸糞悪かったです。
犯人についても、今回の犯人も警察組織が物事を隠蔽又は闇に葬ったせいで動機を募らせ、動機の割には大それたことをしでかし、最終的に「貴方が知らなかっただけでこういう経緯があっただけなんですけど〜」と突きつけられる。
ワンパターンにもほどがある。
それを深読みして「執行人との対比の映画!」などとは断じて思えない。
一作一作が独立して、個性があって、犯人もキャラが立っているのがコナン映画なんじゃないんかい。
自分が書いた脚本に相当自信があるんでしょうね。
それを元にして、赤井を描きたいというこれまた脚本家のスケベ心に違いないと思いましたし、
某雑誌で「原作者から無茶な要求をされる」的な言い訳じみたことをいっていましたけど、書きたいストーリーがこれの時点で単純に(名探偵コナンの映画の脚本を書く)力がないんだと思います。
よくないのは脚本、タイトルを含めた構成だけでなく、
肝心の作画も超絶に微妙。
3DCGも使うのはいいんですけど、純黒のころからちょっと成長したかな?くらいの不自然なカクカク人間、車の浮いてる挙動……。萎えます。
映画なんだから、きっちり描けばいいのに……。
神は細部に宿るとはよく言ったもので、どんなにメインキャラをフィーチャーしたところで土台がしっかりしていないと、何を積み上げてもグラグラします。
世の中のアニメはどんどん作画よくなってきていますよ。国民的アニメの座にあぐらをかいている場合ではないです。
このような作品を1年引っ張って意味があったんでしょうか。
毎年作るのがしんどかったら、これを機に隔年でもいいです。
原作者も、深入りしない方がいい映画が作れるんじゃないかなと思わずにはいられません。
原作者総監修の映画を……!と熱望される方がいらっしゃいますが、いまの原作を見ると、「そんなことは言えない」という気持ちになります。
(今回の無駄なラブコメは原作者のアイデア)
来年に関してはもはや絶望です。
墓荒らしの死体蹴りにならないことを祈ります。(観に行かないことは決定していますが。)
五輪に関して、全く同じような不快感を覚えました。前作ではマリーナを破壊、今作では誰もが新国立を連想するであろう競技場を破壊、まさかここまでやるとは思わなかったとネタにされることに味をしめて、悪ふざけに走っているようにしか思えません。来年は何を破壊するんですかね(呆)