「制作陣の葛藤がありそう。」名探偵コナン 緋色の弾丸 たくたくさんの映画レビュー(感想・評価)
制作陣の葛藤がありそう。
【良かった点】
◯比較的推理が多め
◯序盤の展開や雰囲気作りが良い
◯赤井ファミリーが全員登場する
◯灰原の使い方が良い
◯浜辺美波がバランスを崩していない
【今ひとつな点】
◯謎、アクションが中途半端
◯コナンが生き残る工夫やトリックがない
◯赤井ファミリーは集結していない
◯他のコナン作品に比べてハラハラ感が少ない
◯犯人のキャラクターが薄い
【感想】
一言で言うとすれば、「惜しい」もしくは「微妙」になると思います。
評価は低くしましたが面白くなかったわけではありません。
序盤はアメリカで起きたFBIに関わる事件が映画ならではのタッチと演出で主に謎を提示するパート。ここに関しては、今回は「しっかり謎解きをしていくんだぞ」というような印象を受けました。また初期の頃の作品のようなノスタルジックな雰囲気とそれにマッチした音楽や効果音で期待感が高まりました。
中盤から後半にかけても日本での事件とFBIの事件が関連していく展開もおおよそ期待通りで、秀吉の詰将棋のような犯人の追い詰め方や世良と沖矢のアクション、灰原哀の要所要所の笑いの取り方など、それぞれのキャラクターを生かした良い作りでした。
それでも低評価にした要因の1番は動機や危機回避の作り込みの荒さです。
森谷帝二やHiroki君のように映画映えする信念の強い動機がなく、かと言って純黒の悪夢のショベルカーやそれをカバーするほどのクライマックスではありませんでした。
特にリニアがスタジアムに墜落してコナンが生き残るという部分の見せ方はガッカリでした。
ベイカー街のようにワインを用いて衝撃を和らげたり、天国へのカウントダウンのようにプールに着地させたり(実際にはどちらもかなり非現実的ではありますが笑)、生き残る為の工夫が無く、まさに運ゲーでした。
実際にはフラッグや射出ベルトのサッカーボールでの工夫自体はありましたが、リニアが投げ出された後は運のみで、良く言えばリアルでした。ここの部分にもう一工夫あればかなり印象が違かったように思います。
個人的に、赤井ファミリーをより目立たせたいという思惑と、コナンらしい謎解きの要素をしっかり盛り込みたいという制作陣の努力や葛藤が結果的にどちらもこうなったのかなと思いました。
創る側の大変さやロングヒット作品という事を考えると高評価したいのですが、作品自体の評価としては低評価とさせていただきました。