「「家族という他者」と生きていく」WAVES ウェイブス キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
「家族という他者」と生きていく
「誰が正しい」とも「誰かが間違っている」とも言えないのが『家族』という繋がり…という、至極普遍的なテーマ。
混ざり合う色彩描写や(特にアメリカでは警戒を示す)赤と青の点滅、使われている音楽も、ただノリの良いだけのヒップホップではなく、多層的な構成になっているあたりも、家族というものの多面性を表している様に見える。
その誰もが「家族のために」と思ってとった言動が、結果的には家族を追い込むことにもなりえる。それでも、その時自分が「正しいと思う道」を選び続けなくてはならない。
途中まで、主人公は兄のタイラーだと思っていたら、上映開始から1時間20分ほどかけて描かれるのはあくまでその「前フリ」。
そこからもう一度『家族』というものを、そのそれぞれが手探りで築いていこうとする。
家族という共同体は、その選択を放棄することが許されないからこそ、誰しもがいろいろな軋轢や葛藤を抱えながら生きていくことになる。
どの家族にも、少なからず「不和」があるし、どの家族も何らかの形でそれを乗り越えて暮らしている。
そういった家族の「崩壊」と「再生」の物語。
コレといった派手さも明快なカタルシスもないが、それがむしろ家族のリアルでもある。
(評価の★の数を「オススメ度」としてとらえると、そういう意味ではもうひとつ。)
「ああ。ちゃんと親に会っとこう…」
そう思わされる映画。
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