ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版)のレビュー・感想・評価
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畳の目は乗算で。
海と魚が大好きなバイトに明け暮れる大学生王子と、幼い頃から車椅子生活の24歳やさぐれ姫の話。 バイト後寄り道をしていつもと違う帰り道、坂道を暴走する車椅子女性と衝突し、始まって行くストーリー。 ここ数年流行りな痛みと救いのヒューマン系アニメっぽいけれど、何歳まで生きる気だよ?な、ばあさんの過保護然り、境遇に名前に性格に、エセ関西弁に至るまで、わざとらしさを感じざるを禁じ得ない。 10代前半ぐらいのちょっとお子様向けな恋愛アニメという感じで、つまらないとは言わないけれど、最初から最後まで安っぽい展開で、残念ながら響かなかった。 そしてやっぱりアフレコは、プロの声優の方が…。
閉塞感を抱える若者にとってのファンタジー
多くの映画ファンの心に印象深く刻まれた2003年の実写版から、扱い方を間違えると毒にもなりかねない複雑な感情を上手く浄化して明るく爽やかな青春映画に仕上げたように感じました。 声優を務めた中川さん、清原さんも見事にハマり役で、完成度は文句無し❗️ 一方で、世の中のことをよく分からなくても純粋に夢に向かっていく、という選択が、今思えば大らかに許されていた時代のファンタジーのようでもあります。 この30年ばかりで、世界も日本も目先の生産性や効率を重視する『今だけ、金だけ、自分だけ』の経済活動が主流になってしまいました。 結果として、個人に巡ってくるチャンスの割り振りが経済格差をかなり反映する状況が出現しました。 だから、今の若者の一定数の人にとっては、一種のファンタジーとしてしか受け取ることができなかったのではないか。そんな危惧を抱いています。 団塊の世代から50代、40代の大人たち。 今の社会システムを直接間接に作り上げてきた世代の人間が(もちろん、私もその一人です)、若い世代の閉塞感をもっともっと想像しなくてはいけないのではないか。 今、そんなことを考えています。
2020年に暴力系ヒロイン!?
2020年にもなって見た目麗しい暴力系ヒロインアニメをまさか劇場で観ることができるとは思わなかった。最近は女性も気楽に鑑賞できるアニメ映画も増えてきたので、新しい層への希求として一種の揺り戻しが来たのだろう。 というのは、女性向け妄想作品としての色が強いと感じたからだ。 ヒロインははかなげな美人で、わがまま放題の割には優しく辛抱強く接してくれる男性がそばにいる。芸術の才能もあり障害を抱えているという尊重されるべき存在なのに、「虎」こと無理解で粗野な男性がヒロインの精神をむしばむ(作中の女性は舞以外全員ジョゼの味方)。 さらには優しい男性がヒロインと同じ境遇に陥ってしまい、完全に気持ちをシンクロさせたうえでついにヒロインは優しい男性の心の支えになる。あろうことか恋敵からの叱咤激励まである。 これは男性向けでいえば、転生して超強い能力をゲットして女性に軟派な言動をとっていたらなぜかモテまくってハーレムを築くくらいのご都合主義である。ToLoveる以上。あと、PとJKやスイッチガールもこんな感じだった気がする。 とはいえ、上記のような妄想に胸やけがすることはない。画は美麗で、登場人物にはきちんと血肉が通っている様子が感じられたからだ。 特に、想像の赴くままにジョゼが人魚に姿を変え、空想の海で自在に泳ぐシーンは非常に美しい。そのほかにも、四季の移ろいや恒雄のプレゼントお披露目、そして何より絵本の絵。観る者の嘆息を誘い、くぎ付けにするだろう。それほどに美しい。 暴力系ヒロインに抵抗のない方はぜひ。
実写版とは全く異なる展開にホッとしました。
実写版では、いわゆる「ハッピーエンド」ではなく、主人公の恒夫の設定も、アニメ版のように真っ直ぐで誠実ではない。最後まで一緒に暮らそうとする気合いもなく、結果別れる(「逃げる」)ことになる。「いつまでもここにいて欲しい」と彼を頼ったかつてのジョゼは、もういない。障害者が身寄りをなくした時の不安定さは解消されないまま、彼女は一人で生きていく決心をする。
翻ってアニメ版では、ジョゼの周囲の人々は優しくて、理解に溢れている。かつての社会状況とはかなり違いがあるためなのだろう。恒夫が足に障害を残すかもしれないところで、ジョゼは、彼の夢の後押しもする。実際は、障害者をめぐる環境は、「37セカンズ」や「岬の兄妹」などで描かれる限りでは、絶望と期待が入り混じったものになる。アニメ版のような健常者と障害者がお互いに理解し合える社会になればと願っている。
観て良かった。最近のベスト。オススメ。
ストーリーがシンプルで分かりやすく、テンポも流れも自然で観やすい。ベタな展開も何故か許せてしまう。
良いか悪いか、障害者の問題云々という点がジョゼと恒夫の恋愛の障害に感じられず、ラブストーリーに集中して観ていました。
一番の泣きポイントはジョゼが自作の絵本を読み聞かせるシーン。不器用な彼女が今までの想いを全て綴った最高のラブレターでした。
映画好きなら誰でも知っている、鑑賞後の幸福感を与えてくれる作品。たくさんの人に観てもらいたいのに上映館が少ないのが残念ですね。
とても素敵な作品でしたよ。ぜひ観に行ってください。
公開2日目に鑑賞しました。 観客は多いとは言えませんが、とても良い作品で、観た後の気持ちも爽やかでした。 Eveの主題歌「蒼のワルツ」、挿入歌「心海」もストーリーにマッチしています。全体の音楽をEvan Callが担当していて、彼が担当した「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を最近観たばかりなので、オーバーラップしてとても不思議な気持ちになりました。 現実の生活は厳しいですが、物語の世界だけでもジョゼと恒夫のようなピュアで繊細で、前向きな体験をするのも良いことだと思います。 そんな体験をするために、もう一度、観に行くつもりです。 きっとリピーターは多いと思いますし、観た人から周囲に広がっていくと思います。
タイトルがオシャレなだけ。
原作が35年前なんですね。実写は見てません。 感じた違和感は設定の古さなのかも。今どき車椅子だからって閉じこもる子なんていないし、外は恐ろしいからと出さないばあちゃんは虐待にしかならない。 我が儘が可愛くて許されるのは10代までだよ。精神年齢が低い子が成長する物語なのかと思ったけど、最後に約束の時間に来ないのが、かまってちゃん過ぎて本当に無理。怪我治ってない子が雪の日に松葉杖で人を探してまわるなんて、ありえんわ。 男の子が出来杉くん過ぎるし、見た目可愛くても、こんな女はやめとけ〜と言いたい。 おばちゃんにはどこも共感出来ずに終わった。
好きな作品
心理描写具合がちょうどいい。
主な登場人物がいい子なのがいいです。
アニメーションならではの感情の動きの表現で、登場人物の気持ちに触れることができます。
好きな作品の一つになりました。
【人魚の願いは"心の翼"を自ら持つ事、大切な人に持って貰う事。健常者には分からない世界を、優しき視点で描き出した作品。】
■内容は人口に膾炙していると、思われるので割愛・・と思ったが、かなりアレンジメントされており、それが良い結果につながっていたと思った作品。
◆印象的なシーン及び映画の内容
・ジョゼの声を担当した清原果耶さんの透き通った声の、ツッケンドンな感じの関西弁が、良い。
ジョゼの勝気だが、哀しみを抱えた女性の声に合っていると、私は思った。
- 関西弁の女性に、男は弱い・・。ー
・ファーストシーンのジョゼと恒夫の”衝撃的な”出会いとラスト近くの雪道での衝突シーンとの連関。
- ここは、”都合が良いのでは?”とか言わない。ー
・クラリオン・エンゼルフィッシュのランプを、恒夫がジョゼに渡すシーン。
- 彼が、ジョゼへの仄かな想いを持つことと、ジョゼが”恒夫が本当に海を愛している事、メキシコ留学を強く望んでいる事”を初めて理解した事を暗示している。
そして、このクラリオン・エンゼルのランプは後半でも、重要な場面で登場する。ー
・ジョゼを守るために、交通事故に遭ってしまった恒夫。
- 分かりやすいが、恒夫はこの体験で、ジョゼの辛さを自ら経験する事でジョゼへの想いが更に強くなるのである。-
・恒夫を慕う、"ダイビングショップ"のアルバイトの同僚マイと二人の友人、ハヤトの存在の重要さ。
- ジョゼに対する恒夫の想いを薄々感じながら、車椅子を押しながら恒夫に告白するシーン。健気である。はっきりとは描かれないが、彼女がハヤトとの良好な関係性を築けると良いなあ・・。相性が良い気がするが・・。-
・ジョゼが独り立ちするために、勇気を持って図書館で、自ら書いた”人魚の願い”の絵本を子供たちに読み聞かせするシーン。サガン好きの司書カナの存在も、この作品に良い効果を齎している。
そして、そこに、ハヤトが事故に遭い、メキシコ留学を断念しかけた恒夫をきちんと連れてくる。
恒夫はジョゼの絵本からのメッセージを強く受け止め涙する。
- 今作の白眉のシーンである。二人が喪失感から再生へ向かうきっかけにもなっている。-
<田辺聖子さんの短編、実写映画、及び今作品。私は、書籍(サクッと読めます)を随分前に読み、実写映画も観ているが、
今作品は、原作の世界観を壊さずに、一つの作品としての完成度が高い”素敵な現代の恋愛映画”にアレンジメントされている。良いです。
あと、映画はエンドロールが終了し、客電が灯るまで、席を立たないように。
今作も素敵なシーンが待っています。>
■蛇足
・ちなみに私は妙齢な女性の京都弁にからきし弱い・・。すいません、例年なら今頃は、京都で呑んでいるもので・・。寂しい・・。
・ご指摘を受け、一部修正しました。「サーフィン屋→ダイビングショップ。」
見やすくバランスの良い恋愛もの
原作や実写映画は見ていませんが、とても見やすくて面白かったです。
ストーリーが暗すぎることもなく、車椅子の大変さなど、リアリティとのバランスもほど良く、スッと入り込めました。
空想と本物の海という点で繋がる恒夫とジョゼの関係も良いし、紙芝居のシーンは不覚にも泣きそうになりました。
伏線もしっかりしてます。
個人的に「健常者には分からん」って台詞は刺さりました。
バイト先に行った後にへそを曲げるくだりは舞への嫉妬だと思ってましたが、漫画版を見ると健常者への嫉妬なんですね。
とは言え過度にストレスかかるシーンも無いため、また見たいと思いました。
個人的におばあちゃんのくだりは聲の形を思い出してしまい、あぁこのパターンか..と思ったのが悔やまれました。
主観ですが、恋愛ものにありがちな「よくよく考えるとこんな奴いないだろ」というのが無かったのも良かったです。
爽やかで素敵な映画、優しい気持ちになれます!
アニメ化と聞いて20年近く前の実写版を先日観てからの鑑賞。
率直に言えば(原作未読なのでストーリー的にどうかは語れませんが)全く違った料理法で優れた素材を美味しく仕上げた!みたいな感じです。実写もこちらも切ないラブストーリーに年がいもなくキュンとしてしまいました。
綺麗な映像と実写よりも海を前面に感じられ『魚たち』感満載でよかったです。
外の世界は怖いもの『虎』ばかりっていうお婆さんの言葉がこの作品のタイトルでの意味あいを実写版よりわかりやっすくしていると思いました。
『宇宙で一番~』で清原果耶さんを初めて知って将来有望な若手女優がまた一人でてきた!って思いましたが声優としてもジョゼを見事に演じられびっくりしてます。
中川大志さんも『ステップ』でのウォーリーを探せ!的出方で少しストレスをためていたのか声優として恒夫の心情を素晴らしく演じられていてました。『家政婦のミタ』で初見のイケメンお兄ちゃんも着々といい役者さんへの道を歩まれているようでお父さん的には嬉しい限りです。
エンディング曲もよかったですね。Eveさんですか?(~ちゃんの花びらじゃないですよね?!ってわからないですよね~)ハードロック系と思ってましたがバラードもいいですね。エンドロール後のエピローグとともに清々しい気持ちになります。
原作自体古いのでジョゼが『あたい』って自分を呼ぶのがはすっぱな感じがして少し違和感がありましたが、大阪ではいまでも自分をこう呼ぶ人がたくさんいるんでしょうか?!40年近く前、バイト先のお姉さんが『あたい』って実際に言ってて当時でも驚いたのを思い出します。
♪あんたとあたいの出会いの場所は~いつものスナック片隅よ♪って歌がコッキーポップで流れてましたがつい思い出しました。今では桃井かおりさんか中島みゆきさんぐらいしか似合いませんよね。
実写版と比較するのは邪道!って断言できるくらい素敵な映画を、年末まで数日しかない今、心の癒しになる作品として観ることができとっても幸せです。
肩凝らない自然体の映画
よかったですよ。アニメが綺麗で、実写より良かったかな。 紙芝居のシーン、涙が止まらなかった。 最後のキスシーン可愛かった。 大学生、これから夢に頑張りたい人、恋に一歩踏み出せない人、見るべし。
とりあえず好き
物語は予定調和ではあるけれど、王道ってことで好き。 心の機微も丁寧に描かれていて、好き。 絵もそれに合わせて丁寧に描かれててるし、好き。 川元さんの画面設計とかが活きてるのかな? 俳優、声優陣の演技もはまってて、好き。 中川さん、声優向いてるんじゃない? EvanCallさんの音楽も合ってて、好き。 ヴァイオレット好きなら刺さるかなー。 とりあえず、終始自分の好み。 これで自分にとってのジョゼがいたら☆5だったかも。
想像と違い、全てが素晴らしい‼️
実写があんまりなので、妻夫木聡の出てる、あれがダメでしたから。 アニメは全然違うストーリー。 これは鳥肌が立つくらい痺れるラブストーリー。 単なる障害者ものに終わらない脚本が練りに練られていて、セリフも感動の宝庫。 声優も中川大志と清原かやがとても素晴らしい‼️ M1出てた漫才師の声優も素晴らしい‼️ 映像もそれ以上に素晴らしい‼️ 展開もセリフも素晴らしい‼️ 全て素晴らしい‼️ バイオレットエバーグリーンと双璧で素晴らしい‼️
観てよかった
前提:実写版は観ていない。今回も実写版を観てから鑑賞すべきか迷った。当日は突然、休日になったため、割引き券消化の後押しもあり観に行った。どこで観るかも決めず家を出た。 環境:大阪在住のため、舞台は知ってるところばかりでその点は楽しめたが、気になって少し邪魔になった。 感想:観て本当によかった。 途中までは突飛だが退屈な恋愛ドラマだったが、後半の深みで全て補った。 環境2:障害者に関わることがあってよくわかる。恒夫が想いを吐露する中でも気を使うシーンはリアルでスッと落ちた。 後日:なんとかして実写版を観ないとと思っている。全く違う作品として観れると確信している。
ジョゼと恒夫の恋愛に乾杯したくなる!
最初から、かなり期待してた通り、最高の出来でボンズ制作だから感情移入をして観ることができました。不器用なふたりの恋愛模様にドギマギしながら、お婆ちゃんの死・恒夫の事故など災難にあいながら、結末はすごく気持ちいい結末でホットしました。感動の一時に浸りました。
こだわりを感じる秀作
心理表現を要するアニメ映画にはモノローグがつきものだが、この映画にはそれがない。むしろ役者の演技、作画、色彩でそれを全て表現してやろうという気概を感じる。こだわりの詰まった一作だった。
【Josse, another story】
立つ位置によって、見え方も、感じ方もずいぶん変わる。 遠くから、穏やかに見える海も、近くによると荒々しかったり。 寄せては返す波は、追いかけると逃げるようで、逃げると追いかけてくるようでもある。 この30ページにも満たない原作は、読む人や製作者のイマジネーションを刺激するのだろう。 足の不自由なジョゼの個性のなせる技かもしれない。 この作品の恒夫は、原作や、前の映画と異なり、ずいぶん主体的だ。 もう少し言うなら、それさえも飛び越えて、向学心や向上心にも溢れてさえいる。 もしかしたら、若者にはこうあって欲しいといったメッセージがあるのだろうか。 ただ、共通しているのは、ジョゼの足の不自由さを、気に止める様子もないことだ。 個性のひとつのように見ているのかもしれない。 背が低くて、高いところの棚に手が届かないくらいの感じ方かもしれない。 あと、非力でジャムの瓶の蓋が開けられないとか。 外の世界は怖いというように、旧態然とした人々もいるが、描かれる若者の接し方が、そうでないのは、世の中が変化してきていると言うことなのだろうか。 ジョゼと恒夫。 二人は、寄せては返す波のようだ。 追いかけては逃げられ、逃げては追いかけられるような。 「ジョゼと虎と魚たち」は原作も前の映画もラブストーリーだ。 これもそう。 虎と魚たちの解釈は、ちょっとイメージと違ったが、青春っぽさが溢れていると思う。 できたら、原作も読んで、そして、前の映画も観てみて、自分なりのジョゼと恒夫をイメージの中で作り上げて欲しい。 やっぱり、ジョゼは何者にも変え難い個性だ。
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