血筋のレビュー・感想・評価
全38件中、21~38件目を表示
面白い!ふと感じ、考える。また笑う
ドキュメンタリーはあまり観ない方ですが、この血筋はとても面白かった!
紹介文を読むと何だか難しい映画のように感じるけれど、実際に観てみると良い意味で全然違う。
とても魅力的でダメな父親が発する喜怒哀楽な表情に心をもってかれ、観ているこちら側も笑ったり微笑んだりムカついたり。
観ている間はとても楽しい時間。
観終わった後に、家族について、人について、良い温度で考えさせてくれる映画でした。
この映画の魅力は父親の存在も大きいけれど、80時間の素材の中から何を見せるかに拘り抜いた編集の賜物だと思います。
家族という存在
新潟にいる最後の日にこの映画を観に行きました。アイデンティティの問題より、家族という存在が何かという問いを監督自身と家族たちにドキュメンタリー制作の形でいただきました。台湾人であるわたしは、日本人のおばあちゃんがいます。この映画に通じて、わたしは誰であるか、家族の価値は何か、という感想があります。
今まで見たことのない魅力の映画
友人に連れられて観たのだが、ドキュメンタリーということで、まったく期待してなかった。
上映が始まるとホームビデオのような画面でまたがっかりする。
しかし、観ていると、音信不通だった父親を探すというリアルに興味をそそられる。主人公である息子を捨てた理由が気になるのだ。
そして、父親との出会い。するとこれがまたダメな父親で・・・。
いわゆる、家族の恥を惜しげもなくさらけ出していくところが、大変おもしろかった。申し訳ないw。
おもったよりおもしろかった
朝鮮民族云々の話は詳しくないのでよくわからないが、こんな映画映えする家族も世の中にはあるんだな〜と率直に思った(逆にそのように見せる作者の上手さもあるのだろうが)。
一見、自分とはかけ離れた話にも見えるが、部分的に見ると私自身の家族とも重なる部分がいくつかあるように感じる。もし自分が作者のような境遇だったら、父を探して会いに行くだろうか?会ったら何を話すだろうか?実際に経験しないとわからないことだが、そんなことも想像してみて、家族のあり方を改めて考えさせられる作品だった。
ぎこちない父の愛情
北京での特別試写会で鑑賞させてもらいました。
中国の朝鮮族自治州に自身の父親に会いにいくという話で、ついちょっと前に旅行で行ったばっかりの場所というのもあってこれは是非見たいと思い試写会に参加しました。
感想や鑑賞方法はは人それぞれあると思いますが、自分が一番ぐっときたのは父親の心理の変化、葛藤が目に見えて映る、人物と鑑賞者の近接性というものでした。初めて再会した時はスーツで髪もしっかりキメて出てきた父親も、段々とカジュアルになり、しまいには下着姿で登場。まさか映画に自分の下着姿が映るとは思ってもいなかったでしょうから、リアルな動作、表情、口調、全てがリアルな映像としてスクリーンに映し出されるのです。それを見ている我々は、あくまで監督の父親の下着姿という、普通であれば気まずい様な映像を食い入る様に見入ってしまうのです。これは父親だけに限った話ではなく、それぞれの登場人物の"癖"が彼らをただのスクリーン上の人物に終わらせることなく実際の人物へとなるよう肉付けをしてくれるのです。
そのような映像としての映画を楽しむこともできますし、物語としての映画も楽しむことができ、久々に良い映画を観たもんだと思いました。
この父親、どうしようもない。
登場する父親が、どうしようもない駄目人間で、おいおいと思ってしまうのだが、それでも見ているうちに、だんだんと、これでも可愛らしいところがあるなと思えるのが、不思議なところだ。この映画は、この父親が全てで、この父親を、最終的に好きになれるかどうかに、かかっている。
父と子の血筋を描くドキュメンタリー映画!
あまり知られていない中国朝鮮民族の父と子を描いたドキュメンタリー。両親が離婚した少年は10歳の時に日本へ、20歳となった彼は自身の過去を振り返るため、父を捜すことを決意する。中国で暮らす親戚に父の行方を尋ねるが、父の話題に触れようとはしなかった。しかし叔父の助けにより父との再会を果たすが、韓国で暮らす父は不法滞在者として借金取りに追われながら日雇い労働でなんとか日々を送っていた。息子への虚栄心、そして自己満足的な愛情をお金で表現しようとする父の姿を前に、息子は困惑を隠すことができない。ただ、絵描きだった父と映画を撮ろうとしている自分はどこか似ていないだろうか。血筋なのだろうか。本作でカナザワ映画祭2019グランプリを受賞した注目すべきドキュメンタリー映画!
血筋
スリリングで楽しかった。
映画の外の人々と同じく登場人物が何かを抱えていて、それがカメラで捉えることで爆発してしまう瞬間があるんじゃないかと、しかもそのカメラを握っているのは家族。このスリルが作品にのめり込む原動力になっていたと感じる。
初めはナレーションも最低限で、カメラの外側でふんふんとだけ言ってた主人公が、終盤に行くにつれてカメラの内側に入って怒りを含めた感情を表す。そして最後には父親と向き合い画に映る。私はこの主人公の変化にストーリーを感じた。変化があるから、この映像は今しか撮れないんだろうとも。
登場人物も映画のつくりも、うそんくささが魅力の映画だと監督は言っていた。うさんくささを削らず、むしろ付加し、映画として、エンターテインメントとして作りきった。ここにこそ、"家族"としての繋がり、"血筋"が感じられたような気がする。
家族って
家族とはなんなのでしょう? 親子とは?
ずっと一緒にいれば、それだけで家族なのでしょうか。あるいは長い間離れていたら、家族ではなくなるのでしょうか。あるいは何かほかの条件が?
この問いかけに普遍的な答えはないのかもしれません。
父親と、家族と、歴史と時代。国と時間を隔ててもなお自分に繋がる過去。現在との切れない繋がり、その「血筋」。
監督は目を逸らさずに見つめ続けたのではないか。そのひとつの解答がこの作品なのではないか。そんな印象的な作品でした。
父親と再会して、話をして、現状を目の当たりにして、監督は何を思ったか。具体的な心情は作中でほとんど語られない。一歩引いて見ているような。
だからこそカメラを通して父親と向き合う監督の苦しいほどのひたむきさ、痛ましいほどの実直さを感じたのかもしれません。私は未だに、視聴中のあの胸を刺すような感覚を忘れることができずにいます。
スクリーンの中の他人事としてではなく、やがて観る人それぞれにとっての現実へも視線を向けさせる。そんな力がある作品なのだと思います。
遅くなりましたが、出張ついでに「血筋」を観てきました。 ストーリー...
遅くなりましたが、出張ついでに「血筋」を観てきました。
ストーリーは公式サイトなどを見てもらうとして、主人公が10年会うことができなかった父親を中国朝鮮族自治州で探し出し、再会する。
父親の考えと主人公の考えが、ある時は共鳴し、あるときは反発する。子が親を敬う、親が子を慈しむ。当たり前ではある関係ではあるが、育っている環境の違いによるすれ違いも大きい。主人公はそれでも何度か訪問して父親と会う。
映画ではダメな父親として描かれているのかもしれない。しかし、多くの親はそんなに素晴らしいのだろうか。自分自身はそんなに偉いのだろうか。もちろん常にだめだとは思ってはいないが、素晴らしいなどとは思えない。試行錯誤し、ある時は打算的にもなる。良くないと思ってやることだってある。そんな自分自身と主人公の父親は違っているとは思えない。
また、父親の意識の変化、主人公の意識の変化もあるように思う。しっかり描かれているかといえばそうでもない。しかし、この映画はドキュメンタリーだ。10年来会っていなかった親子が何度も会えば、何かが変わる。映画の裏で動いているであろう父と子の変化を想像しながら観ていた。
父親の、そして主人公の人生のほんのわずかな時間ではあるが、映画を通して関わったことで自分を振り返る良い刺激となったように思う。
人間らしさ
登場する親族の感情的になりながら何も飾らないありのままの気持ちを引き出した、監督の真逆なまでの感情を殺した穏やかな声が印象に残る。どんな親であろうと血のつながりは否めず、憎みたくとも憎めず、否定したくとも否定できない血の繋がり。当事者でありながら客観視して綴るこのドキュメントは一見の価値があると思う。
男の子からみた父親
昨秋、長岡インディーズムービーフェスティバルでみて、今回は2回目の鑑賞。
10才で別れて、行方不明だった絵描きだった父親に17年ぶりに再会。笑顔でできる限り見栄をはってパリッと現れた父親の、心底嬉しそうな様子が明るさの頂点。父のいい加減で厳しい暮らしぶりがあっという間にわかっていき、冷静に撮って居る風の監督の心中が、実際はほんとうのところ、どうなのか気になり、また三度、四度と観たくなる。
中国、韓国、日本とバラバラになっている家族、親族たちの暮らしようも同じくまた見直したくなる理由。日本でほぼ「ふつうの家」に育った私には知らない生々しい現代の違う国感。
章立ててあり、見やすいと思う。父が息子のデッサンを描いてみるシーンが好きだ。その絵の行方も。私は、ナイーブな青年が主人公の本を読んだような気持ちにもなった。
お父さん。
少年(監督)と実の父親の親子の会話がとてもリアルで、自分に重ねてみてしまう映画だった。父親のキャラクターが自分の父親にもそっくりで、観れば観るほど父親のキャラクターが愛おしくなってしまう。
朝鮮民族という言葉を聞くと難しい歴史的なものかと思ってしまうけれど、純粋によくあらる親子、その周りの親戚の物語。特殊な環境に囲まれても、親は親だし、子供はその子供である事に変わりない、そして人間のどうしても捨てきれない、義理人情がストレートに表されている映画に、歯がゆさとそれと真逆の心地良さを感じた。
大学生の頃からこの映画を撮っていたという角田監督のポテンシャルの高さにも驚かされる。
これからも楽しみにしています。
アジア版''寅さん''
政治色強めかなと思ったけど、逆にほとんど無く、家族の物語。
ドキュメンタリーだけど、普通に見れた。あっという間だったし、面白かった。
父親のキャラが''寅さん''
憎めない。
てか、なんかの映画祭賞金200万円辞退したらしいけど、なんでだよwwイカれてるw
民族要素少なめ
朝鮮族を取り扱ったドキュメンタリーというより、青年と一族の過去〜現在のドラマだった。
父親と祖父母は対照的な性格だが、現在は双方孤独で寂しい生活を送っている場面が印象的だった。クズな父親のおかげで、懸命に生きているにも関わらず周りに子や孫がおらず、けれども「自分らは幸せで、もう思い残すことはない」と言っている祖父母の悲哀がより一層強く感じられた。
全体としてとても面白く、かつ感動した。残念だった点は、青年の母親についてあまり触れられていない事、撮ったが映像として面白く無かったためバッサリカットされたのかもしれないが、一族を扱う作品だったため、もう少し情報があってもよかったのではないかと思った。そのため-0.5とした。
人間関係は日本も中国も韓国もあんまり変わらないね。
親子の血筋は脈々と受け継がれる
中国朝鮮族出身の青年が、音信不通となっていた画家志望の父親を訪ね、自分のルーツを振り返えようとするドキュメンタリー。
久方ぶりに会った父は、不法滞在の日雇い労働者として、借金取りに追われる、兄弟からもつまはじきにされる人物。
息子にまで金の無心をする父親に愛想をつかすも、切っても切れない血筋が流れていることを知る青年。それが分かるラスト。
親子の業とは、かくも深きものなり。
全38件中、21~38件目を表示