「「痛々しさ」と向き合うこと」血筋 Mpstさんの映画レビュー(感想・評価)
「痛々しさ」と向き合うこと
幾ら傷つけられても、嫌な思いをさせられても、「自分の親だから」「自分の子供だから」「家族だから」許してしまったり、我慢してしまったりする。私は、器にこびりついた中華料理のソースをガリガリとスプーンで刮ぐ祖母を見て、またかと呆れ、注意しても無駄だなと諦め、その卑しさが自分の血にも流れているのではないかと恐怖を抱きつつ、何の指摘もせずいる。
この映画の主人公(監督)は、そんな身内の見たくない部分になんで?どうして?あなたはなぜそうするの?そうしないの?と淡々と問い詰め、責め、突きつける。その、痛々しさに気が狂わないで向き合える精神力の強さが、常軌を逸している。
中国朝鮮族という文言や不法労働者という社会的ワードにあまり深くとらわれる必要はないと思う。家族というしがらみに息苦しさを覚えている人なら、きっとこの痛々しさに見覚えがあるんじゃないだろうか。
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