「信じることとは」星の子 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
信じることとは
親は子を愛し、子は親を愛する。当たり前のことだと思うかもしれないが、そこに新興宗教的なものが入り込むことで、独特の葛藤が生まれている。両親は腫れのひかない娘をなんとかしてあげたい一心で、「金星のめぐみ」なる水に手を出す。溺れるものはわらをもつかむ気持ちだったのだろうが、娘の腫れが引いてきたことから完全にその水に入れ込んでしまう。
長女はそんな家をうとましく思い、音信不通となる。主人公の次女は両親を少しおかしいとは思っているが、愛してもいる。他者の目が気にならないわけではないが、両親を突き放すには彼女は両親を愛しすぎている。
「金星のめぐみ」には何の効能もないかもしれない。しかし、人はそれぞれ何を信じるかを自由に決める権利はある。しかし、子どもはどうだろうか。中学生である主人公にはまだ完全な自由がない。彼女が将来をどう選ぶだろうか。家庭環境がその自由を狭めてしまうことはよくあることだ。
しかし本作を見ながら、自分が信じる常識も、それが正しいとは限らないよなと思った。結局、僕が信じているものを僕は自分の意志で選んでいただろうか。環境に選ばされていただけではないか。信じるとは何か、自由とは何かと深く考えさせられた。
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