「中途半端な作品」アメリカン・プリズナー よしさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端な作品
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死刑執行前の最終判断を託された犯罪心理学者が、死刑囚と面会してその生い立ちを聴く・・・と言う物語。
薄っぺらな死刑反対を主張する映画。或は、それを隠れ蓑にしたバイオレンス映画。
主人公は夫を殺された過去を持つ心理学者。死刑制度に対して当初は「抑止力がある」、「法制度だから」と肯定的。しかし、死刑囚の独白を聴くと涙を浮かべ、死刑制度反対へと転向します。
残念ながら、その心情の変化に納得感がまったくありません。
何故なら死刑囚の独白は、とても同情を呼べるものとは思えないからです。たしかに義父からの性的虐待は酷い経験ですが、そこからの諸々の犯罪行為の何処に同情を持ったのでしょうか?裏切りも、恋人の死も、自ら撒いた種のように思います。
独白シーンは、ストーリーもしっかりとしていて迫力もありました。バイオレンス映画として成立出来るレベルのものでした。しかし、死刑囚の悔恨や恐怖等の内面を抉るようなシーンは描かれておらず、逆に多くの人(例え悪人であっても)を殺すシーンが描かれていて、「死刑も致し方なし」としか思えません。
死刑反対を趣旨とした映画を否定するつもりはありませんが、この映画は余りにも中途半端でした。
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