「変遷あるいは革命」スキャンダル U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
変遷あるいは革命
男性社会の崩壊を示唆する作品だった。
中々に凝った作りでもあり、ハリウッドの商魂逞しい一面も垣間見る。
日本にも枕営業なる都市伝説が周知されてる。それはいわゆる交渉であり、対価が支払われているという妄想でもある。事実かどうかはさておきそれが是だとの時代もあった。
だが、それを是だと肯定してるのは男性が上位にある社会だ。
男性の多数が共有する価値観なのだ。
それへの革命にも思えた。
だが、しかし、作品の中で描かれてるのは交渉であり、その結果対価を得ているビジネスで、嫌だろうがなんだろうが、それを選択したのは自らの野心であると思う。
10年前のセクハラを告白した人物もいる。私は望んではいなかった。この10年、その事をずっと後悔してた。これは懺悔なのだと思うし、その為に相手が裁かれるのは理不尽にも思う。キッドマンが訴訟を起こすのは正義だと思うが…解雇されなかった場合どおするのかは疑問だ。
何というか、男性側だけが間違ってたとも思えない所が中々に悩ましい。
中にはいるのだ。男性が上位にいる状況を利用し、利益を得た女性も。その場合は公平な取引であったと思う。当人にとっては処世術の一環以外の何物でもなく有効な能力を行使したに過ぎないのであろうし、欲と欲が合致した結果である。
ただ、これは持たざる者からしてみれば卑怯にも思えるし、何より公平かつ公正ではない。その対象から除外された者からしてみれば明らかにおかしい。
今回の場合、選択権があるのは男性だ。
それも男性上位の社会だからだ。
若くしてその地位を手にした王様には、彼が望む望まずに関わらず、その交渉術を試みた女性は引っ切りなしに現れたであろう。当時に抱いた正当性は覆る事はなく、時代の変遷についていけなかったのであろう。
自らを法であるとのぼせ上がった王様からしてみれば、恥知らずのテロリストにも見えた事だろう。
ただ、そんな暴論に食い荒らされた側には悲劇以外の何物でもない。
交渉の場に引きずりだされ離席する術を持たなかった人達には殺ろされる事と同等だ。
男女雇用均等法が施行されてからなのか、女性に選挙権が認められてからなのか、あるいはもっと違うキッカケからなのかは分からないけれど、世界は緩やかにこの案件を是正していっているように思う。
今、行われている運動は男性上位社会への下克上なのかもしれない。
これから向かう世界が正常なのかどおかは俺には分からないが、変革されていってるのは確かだ。
なんだか漠然としたセクシャルハラスメントっていうものの争点を自分なりに認識した作品となった。
映画的にはエレベーター内の3人のショットが秀逸で…革命の狼煙をぶち上げてる側も一枚岩ではない感じがあって良かった。
絶妙な距離感というか、牽制する空気感というか…それ故にこのセクハラ問題って鎮静化はしても根絶はしないのだろうなぁと考える。
今回の作品はニュースキャスターのお話しだ。見られてナンボの商売だ。
作品中の女性キャスターは類稀なる美貌の持ち主だし、更衣室では胸にパットを入れるキャスターも映ってる。
この辺も男性上位社会の価値観が女性側にも蔓延してる事の現れだと思うし、女性側も女性である事を最大限活用しているようにも思う。
だからこそ胸元がガッツリ開いた服装をするのだろう。
ニュースを読む為にはそんな行為は必要ない。だけど視聴者の興味を惹きつける為には必要なのだ。そんな観点からすれば足を見せろとかはオーディションの一環でもある。
その先は勿論やり過ぎで不必要な行為だ。
昨今のセクハラ論争は、そこら辺を一緒くたにしてるようにも思うから腑に落ちない。
でも、この作品を見てそおいう考えこそが長きに渡る男性上位社会の価値観の刷り込みなのかとも考える。
そおなると人間の根底から改革しようとしてるようにも思え…最終的には性別の廃止なんて事もまかり通るのかもと、予想もつかない社会が出現しそうで、そら恐ろしい。
たぶんこの論争に終止符が打たれるのは、地球という星が荒廃して住めなくなり、人類が何百光年も先の惑星に移住する頃かもしれない…。