「何のために、誰のために」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)
何のために、誰のために
人は「何のために、誰のために」やっているのか曖昧だと、ただやらされている感一杯で本来の力が出ないし、そもそもやる気が失せてしまう。
この作品でモチーフになっているテストジャンパーは全くの縁の下の力持ちで、テストでどんなに素晴らしいジャンプをしても観客からの称賛も無ければ、記録にも残らない。
本作の主人公・西方仁也は、1994年のリレハンメル五輪のスキージャンプ団体戦で惜しくも金メダルを逃したため、次の長野五輪で雪辱を晴らすべく切磋琢磨している。
ところが「好時魔多し」で、開催が近付いた頃に腰の故障で代表を落選する。
悔しさで自棄になりそうになるが、テストジャンパーとして五輪の参加を依頼された彼は、嫌々ながらも裏方を受ける。
西方を含め集まった25人のテストジャンパーは夫々の思いを抱えていて、その思いが少しずつ彼の塞ぐ気持ちに刺激を与えていく。
それでもリレハンメル五輪で金メダルを逃した“戦犯”とも言える原田雅彦が代表と晴れ舞台に立ち、自分が裏方であることに忸怩たる思いを西方は拭うことが出来ない。
そんな中、五輪本番で猛吹雪の天候となり、金メダル筆頭候補である日本代表に思わぬ皮肉な運命が訪れる。
果たして、裏方で西方を含めたテストジャンパーたちがどのような役割、そしてドラマを繰り広げていくのか?
長野五輪はリアルタイムで観戦していたが、本作を観るまで舞台裏でこのようなドラマが繰り広げられているとは夢にも思わなかった。
本作を観ると、「One for all All for one」という言葉の真の意味と、「何のために、誰のために」に人は危険を冒してまでするのかということが、熱いものが胸に込み上げながら伝わってきます。
#ヒノマルソウルメイツ