「ボーズマンのカリスマが難点をカバー」21ブリッジ 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
ボーズマンのカリスマが難点をカバー
麻薬強盗事件に関わった犯人を逮捕するために、担当刑事が市長に掛け合い、マンハッタン島と外部を結ぶ21の橋を封鎖して生捕りを目指す。実際は、橋は17しかなく残りの4つはトンネルなのだが、そんなことどうでもいい。警察はとにかく、陸海の全部を封鎖して犯人を捕らえなければならないのだ。このミッションを先頭で率いる主人公の刑事には、警察官だった父親が麻薬中毒者に殺されたという痛々しい過去がある。となれば、チャドウィック・ボーズマンの出番である。そこで、プロデューサーのアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟は、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』のプレミア会場でボーズマンを口説き落として出演を取り付けた。結果、キャラクターの掘り下げに若干難がある話が、ボーズマンの演技者としてのカリスマに助けられ、観客が最後まで主人公の内面に寄り添える犯罪ドラマとなった。そういう意味で、映画には優れた脚本が必要不可欠だが、それをカバーして余りある俳優の魅力について再考を促す作品だ。
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