幸せへのまわり道のレビュー・感想・評価
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ロールモデルを目指す覚悟と努力、そして代償。
フレッド・ロジャースという全米では知らない者はいないというオジサンのことをこの映画で初めて知った(その後伝記ドキュメンタリーは観た)。長寿子供番組のホストであり、映画も子供番組の体で始まる。まず街のミニチュアが映り、トム・ハンクス扮するミスター・ロジャースが撮影スタジオのセットに入ってくる。何十年と繰り返されたお決まりの仕草を再現するオープニングから、ちょっとおかしな匂いが漂っている。
このアメリカの名士の取材をすることになったやさぐれ記者が、ロジャースの影響で変わっていく、というのが本筋なのだが、本作の凄みを体現しているのは、助演的存在のハンクスの方だ(ラストも彼が締めるのだから主演と言っていいと思うが、アカデミー賞では助演男優賞にノミネートされた)。
ロジャースの作り上げた子供番組の世界は、完全に子供に向けた作り物に見えるのだが、主人公の記者は、それだけでは収まらない何かを感じ取る。癒やしと解放の感動ストーリーではあるのだが、他人を癒すほどの立派な人間であり続けるには、実は恐ろしいほどの努力と葛藤が水面下で渦巻いていることを、この映画はしっかりと描いてしまっている。
美談ではあるが、『ハクソー・リッジ』にも似た、狂気に近い美談であると、ラストの“音”で教えてくれる。背筋がゾッとするような、とんでもないものを観てしまった。
リアルな心の現実とファンタジーの混ざり合ったいい意味で不思議な映画
あたたかい気持ちになる良い映画でした。
結局自分の中に抱えてるものに自分の意思で対峙して自分で解決しないと前に進めないんだなあとつくづく感じました。
その対峙のさせ方がファンタジーな演出でそれはそれで世界観とマッチしてて素敵でした。不思議の国のアリスみたい。
とはいえ最後の終わり方は少しビターでした。どんなに聖人に見えてもやっぱり人間で、ストレスは溜まっているんだなあ。自分で望んでやっているとはいえ共感しすぎるタイプはやっぱり生きるのがしんどいですね。彼が安らかに幸せに生きられることを祈るばかりです。ほんとに。他人事ではない。
許しを決断する時
愛している者ほど許すことが難しいという台詞はとても真理を言い当てていると感じた。
人は無条件に人を愛するということはなかなか出来ない。
こちらが愛を示せば、相手もそれに応えてくれるとどうしても期待してしまう。
そしてその期待に裏切られた時ほど心の傷は深い。
許すということはその心の傷を抱えたまま、相手を受け入れることであると思う。
言葉で言うほど簡単ではない。
売れっ子ではあるが辛辣な記事を書くことで有名なライターのロイドは、過去のわだかまりからどうしても父親を許すことが出来ない。
その理由は物語が進むにつれて明らかになっていくが、妻のアンドレアがいくら諭しても、父親のジェリーが歩み寄ろうとするのを頑なに拒み続ける。
攻撃は最大の防御というが、彼は自分の心の弱い部分を守るために父親に対して怒りの感情をぶつけ続ける。
そして人の神経を逆撫でするような記事を書き、他人に対して冷たい態度を取ってしまう。
そんな彼は編集長から子供向け番組の人気司会者フレッド・ロジャースへの取材を依頼される。
オープニングのとても可愛らしい番組のセットがとても印象的だ。
そして物腰柔らかくテレビの向こうに語りかけるフレッドの姿から、彼が常人とは違う意識で物事を見ていることに気づかされる。
彼はおそらく人と接する時に、ほぼ意識のベクトルが相手側にあり、あまり自分を防御することにフォーカスを当てていないのだろう。
だから彼はロイドが不躾な質問をしたり、否定的な意見を言ったりしても、それを聞き流すのでも反論するのでもなく、ただそのまま受け止め気付きを与えてくれたことに感謝の言葉まで述べる。
最初は自分が取材をする側なのに自分のことばかりを話させるフレッドに戸惑っていたロイドだが、何故か彼のことを気にせずにはいられなくなってしまう。
それは彼がありのままの自分を受け入れようとしてくれるからだろう。
人はどうしても防御のために自分を飾り立ててしまう。
やがてフレッドは徐々にロイドの心を解きほぐしていく。
つくづく人の頭は不思議なものだと考えさせられる。
同じことが起こっても人によって捉え方はまったく異なるし、どれだけ有難い教えを受けたとしてもそれが心に響かなければただ素通りするだけだ。
フレッドは人に気付きを与えてくれる存在だ。
彼の言葉は子供だけでなく、むしろ凝り固まった大人にこそ必要なのかもしれない。
やがてロイドは自分の弱さを受け止め、感情と向き合うようになる。
そしてジェリーとのわだかまりも少しずつ解けていく。
ジェリーは病気の妻と子供たちを放り出して別の女のもとへ行ってしまう身勝手な男だったが、彼もまた自分の弱さを受け入れ、過去を償いたいと思い続けていたのだ。
しかしジェリーは病により余命僅かとなってしまう。
ようやく生きる道が分かって来たところで、残された時間がもうないことに苦笑するジェリーだが、それもまた人生というものなのかもしれない。
まるでヨガの瞑想をするかのような安らぎを与えてくれる映画で、フレッド役のトム・ハンクスの穏やかな物腰に心が温かくなった。
完璧な人間などどこにもいないように、ラストにピアノを弾きながら少しだけヒステリックな姿を見せるフレッドの姿に思わず苦笑いしてしまった。
最初にあったワールドトレードセンターが最後にない。
後、一時間。さて、今更、捨てられた親父を恨み、クドクドいじけている事は無いと思うが。
兎に角『トム・ハンクス』さんのイメージを崩さない様に作った良心的ではあるが、偽善的な映画でしかない。
女性監督が願望する父親像だ。しかし、いくら改心しても、駄目な男は駄目なままである。女性はそれを理解すべきだ。我が父は死ぬまで馬鹿な男だった。と言うよりも、死ぬ間際の方が、始末に負えなかった。
でも、我が親父は、僕達兄妹妹を捨てた訳では無い。この映画の主人公は家族がいる。また、父親にも彼女がいるんだから、こんなメソメソして、何を悩んでいるんだ。
僕は、親父が死にそうと連絡あった時、残業して家に帰って風呂に入ってから、病院へ行った。勿論、臨終には間に合わなかった。でも、何も後悔していない。
この映画の司会者のことは何も知らないが、美談で有ることは間違いないわけだから、宗教を無視した道徳映画でしかない。
年をとっただけで、良心が芽生えて、善人に変わると言う発想が可笑しい。年取れば、普通は頑固になると思うが。だから『PLAN75』が必要なのではないか?頑固に生きられても、社会に負担をかけるだけ。だからなのでしょ。
この映画の主人公の父親には『苦労しているから神がいる』とトム・ハンクスはのたまうが、所謂『死神』だろう。
最後の最後だけの映画だと思う。余計な事を描き過ぎ。
アンガーマネジメント…
仏様のようなフレッド・ロジャース。自身の感情の処し方は人それぞれで子供の頃からの訓練が大きい。家族と言えども、そこは他人であり、考え方、感じ方は千差万別。中々上手く行かない。母親と家族を見捨てた父親に恨みを抱く記者ロイドはその影響が大きく、彼自身の家族においても、それを引きずりながら生きている。フレッドとの出会いを通じて心の再生を促す実話ベースの物語。フレッド・ロジャースに馴染みがあれば、もう少し話に入り込めたかもしれない。
彼も人の子
映画は伝説の子供番組「Mister Rogers' Neighborhood 」 (1968-2001)の名ホスト、フレッド・ロジャースへのEsquire誌のトム・ジュノー(映画ではロイド・ボーゲル)のインタビュー記事にインスパイアされているそうです。
地下鉄でロジャースを見つけた子供たちが唄い出したエピソードは実話だそうで人気の高さがしのばれます、映画も番組のミニチュアセットを活用した景観でくすぐります、おそらくアメリカ人なら誰でも知っているのでしょうが観たこともありませんので実感がいまひとつ湧きません。
プロットのロイドの身勝手な父親像はフィクションでロイド自身も子持ちでは無かったそうなので殆どはフィクションのようです。
実際に記者とロジャースは親交を深めたようです、記者は職業柄、万事、懐疑的ですがロジャースが本音を隠さない率直な人柄で牧師でもあったのでセラピストもどきに頼れたというのが真相のようです。
嘘っぽい聖人に見えるロジャースも息子に疎んじられたり、瞑想やピアノや水泳で感情を紛らわします、問題の殆どは言葉に出せれば解決できると言うのも一面、真理でしょう。
病気の母親と自分を捨てて愛人と逃げた父親への確執は根深いのは解りますし、離婚も多く家族問題の多いアメリカでは卑近なテーマなのでしょうが気分のいい話ではないし、寛容と和解を美談めいて描いても後味の悪さは残ります。
終始、苦虫顔のロイド(マシュー・リス)と笑顔満点のロジャース(トム・ハンクス)は好対照だが監督マリエル・ヘラーさんの演出は単純過ぎる気もする。
ことほど左様にシチュエーションや人物像にも実感が湧かず、うつろな思いで観ていました、ただ、ラストで温和なロジャースがスタジオのピアノで怒りを放出するという伏線の低音叩きをしたのは、彼も人の子と思わせてホッとしました。
子供だった自分を忘れること
映画「幸せへのまわり道」(マリエル・ヘラー監督)から。
俳優、トム・ハンクスが演じる
長寿子ども向け番組の司会者フレッド・ロジャースの
インパクトが強いためか、私のメモは、主人公ではなく、
脇役の台詞が多くなってしまった。
彼が考える「子ども教育」のコンセプトが私には響いた。
番組内で語られることも、インタビューに答えた台詞も、
なるほどなぁ・・と思うことが溢れていた。
「子育てにおける最大の間違いとは?」
「子供だった自分を忘れること。私が思うに、
親としてできる最善のことは自分の体験を思い出し、
子供の身になって考えること」「大人には難しいですよね」
「親を反面教師にしようと思っていても、
自分が大人になると子供時代のことは忘れてしまうんです、
でも子供たちが思い出させてくれる。
だから親は新たに成長できる」
確かにそうなんだよ・・と思いながらも、
自分は何歳まで遡って思い出せるんだろう・・と考えたら、
「忘れる」というより「覚えていない」ことに気付いた。
中学や高校時代なら、覚えているんだけどなぁ。
主人公のロイドと今の自分が似ている。 せやから、この映画を選んだん...
主人公のロイドと今の自分が似ている。
せやから、この映画を選んだんやろうな。
最初から完璧な人間なんていない。
だからこそ、素晴らしい人格者は弛まぬ努力の上で生きている。
歌の一曲、一曲が深く感じたな〜
序盤から響いた言葉
「許すとは決断すること。
誰かに怒っている時、その怒りを解くと。
不思議なことに愛してる相手ほど許すのが難しい」
どうか私と…
フレッド・ロジャース。
日本ではあまり馴染み無いかもしれないが、アメリカでは知らぬ者は居ないと言う“TVの顔”。子供向け長寿番組の名司会者。
お決まりのフレーズがあって、長寿番組と言うと、日本では“お昼の顔”だったアノ番組とアノ人を思い浮かべる。
TV番組への多大な貢献。日本で言うと、今尚続くアノ番組とアノ人を思い浮かべる。
でも、これらの番組や人は笑いに走ったり、ちと毒気があったり。
決定的に違うのは、フレッドは誰からも愛される。
真摯、実直、誠実、温かい笑顔、ソフトな語り口…。
誰もが彼に魅了される。かく言う自分もそう。
名言も多い。
「私はTVのカメラを通して、子供一人に語りかけている」
「私は今この電話で、君(ロイド)と話している」
「子供だった自分を忘れてしまう事」
「自分の体験を思い出し、子供の身になって考える事」
どんなに番組の収録が遅れても、マイペース。スタッフはちょっと困るが、文句は言わない。仕事はきっちりこなす。
人は言う。彼は聖人、と。
電車に乗れば、皆でお馴染みの歌を歌う。とある食堂で、普段行っている精神トレーニングを実践しようとしたら、皆もする。
しかし彼は、聖人視されるのは嫌う。彼だって普通の人。悩みだってある。
最近まで、息子たちが“フレッド・ロジャースの子供”である事を隠していたという。でも今はそれを乗り越え、誇りにしているという。
常に絶やさぬ笑顔の秘訣。これも訓練の賜物。
多くの人が彼に魅了されるのは、彼の言葉に耳を傾けるのは、彼が普通の人だから。
当たり前の事を、優しく、温かく、言って欲しい。
全てがあって、“フレッド・ロジャース”。
そんなフレッドを演じるのは、トム・ハンクス。
TVのアメリカの良心と映画のアメリカの良心の奇跡のコラボ。
これまで『フォレスト・ガンプ』やウォルト・ディズニーを演じてきたトムだが、これまたハマり役。
温かみだけじゃなく、人間味、内面、哀愁も滲ませ、さすが。
話は…
フレッドの取材をする事になった雑誌記者のロイド。
会ってすぐ、フレッドはロイドが心に何かを抱え込んでいる事に気付く。
ロイドは実の父と絶縁状態。この取材の直前、姉の結婚式で久々に再会するも、大喧嘩してしまい…。
ロイドはどちらかと言うと屈折した性格。記事にも表れている。
彼にも産まれたばかりの子供がいるが、ついつい父への苛立ちを、妻やフレッドにぶつけてしまう。
支える妻、穏やかに親身になって話かけるフレッド。
ロイドの父への感情は憎しみに等しいものがある。
その確執の理由は、よくあるもの。父が家庭を棄て、母は病気になって死に、残された自分たちは…。
許せる訳がない。
が、父は自分勝手と思われようともロイドの元へ。ある訳もあって。
もうこの時しか和解の機会はないのだ。
ただのフレッド・ロジャースの伝記作品に非ず。
彼との出会いや対話を通じて、一人の大人が自分自身と人生や家族との関係を見つめ直す。
こちらもしっかり描かれていて、好感。
フレッド・ロジャースの番組の決まり文句は、
どうか私とご近所さんになって下さい。
大人にはこう聞こえるだろう。
どうか私と友達になって下さい。
どうか私とまた、家族になって下さい…。
観ている間、落ち着いた時間が流れる
事前情報もなく、主人公のフレッド・ロジャースも番組のことも知らず「上映最終日+レイトショー」だから、という理由で選んだ1本。
冒頭から教育番組ぽぃタッチだなぁ、
と思って見ていたけど、
大人へも、生きることでの大切なことを学ばせてくれる番組の姿勢、メッセージは伝わった。
鑑賞中は失速しているわけでもなく、滑らかで落ち着いた時間が過ぎている感じがした。
見終わったあと、みなさんのレビューを拝読して思ったこと。
・「許す」ことは「決断」すること。
→ふむふむ、たしかにそうだ。許すということは、心に余力がないとできない。
・1分間の沈黙で(怒りの矛先の)相手の良いところを思い浮かべる
→あの時間は不思議だ。劇場でつい、前のめりになってしまった。劇場がシーンとしていた。
・ラストの伴奏シーン
→フレッドは決して、余裕綽々の大人ではなく他の者と変わらない人間で感情の起伏(ストレス)はあるのだ。それが、プールに入ったりする行為。最後の低音「バーン」の行為は、そういうことなのか、彼自身の発散なのか…。聖人ではなく、我々と同じなのだ。
彼みたいな心の持ち主・上手な感情コントールできるオトナになりたい、と思ったね。
トラウマに向き合う
血を分けた家族だからこそ許せないことはあるが、恨みに支配されることは人生を暗く染め上げてしまうのかもしれない。
本作はそんなトラウマを有した大人である記者のロイド・ボーゲルを、子供番組の司会者フレッド・ロジャースがセラピーで癒す話だ。
(映画の主人公は記者の方)
許すとは、自分を誤魔化したり感情を殺すことではなく、自身の感情に正面から向き合い、苦しみに耐えた時間も自分を形成した一部と感謝することであり、怒る感情を抱くほどに相手を愛していることを認めることである。
そんな気付きをさせてくれて、非常に良い話なのだが、あまり事前知識のない日本人である私には、わからなくて残念なことがいくつか。
まず、映画の基になったロイドの記事の詳しい内容が、映画では語られないこと。
アメリカでは知らない者がいないほどの有名な記事らしく、この映画を観るくらいなら知っているでしょ?もしくはネットでアーカイブを読んでね!って突き放し方でした。わかんないよ!
そりゃ、ロイドのここまでの心の変わりようを見て、映画から察しろよ、ということなのかもしれないが、冒頭の一節だけでも読み上げてくれたら、すっきりするのに…
そして次に、実はフレッド・ロジャースって、リタイヤ後すぐ胃癌が見つかり、手術が成功せず2年の闘病の後に亡くなるらしいのだが(映画の後に検索したところによればだ)。
時折腰を押さえながら動きが鈍くなるというトム・ハンクスの演技が、一見すると腰痛など加齢による身体の痛みに思えるが、実は転移で背中や腰に痛みが走る状態なのかもしれない、ってあたりが細か過ぎて、本当の意図がどうなのかわかんない!
んで、ラスト。
徐々に暗くなるスタジオで一人ピアノを弾くシーンで終わる。
これが、彼がこの後亡くなることを暗示しているのかもしれなかったが、そこまでの予備知識がないと、すぐにはわかんないよ!
と、あれこれ不親切な部分を感じてしまいました。
素晴らしかった
トム・ハンクスの優しい感じが全開でこんな感じのいい人が隣に住んでくれたらなあと思わずにいられない。実話ベースなので人柄いい感じを盛大に盛っているのかと思ったらエンドロールのご本人登場で本当に優しそうな人だった。
怒っている時に本当にピアノの低音をガンガン鳴らしている。主人公のお父さんが大滝秀治を悪くした感じ。いくら嫌いでもあんな老人をグーで殴るのは引く。お姉さんはお父さん似のような印象で、共感があるのか、お父さんがひどくても受け入れているように思う。
心に残る不思議な映画。フレッドさんに会ってみたい
後からジワジワきてます。不思議な映画です。
一昨日観たのに、今ごろきてます。
魔法にかけられたような気持ちになる映画。
アメリカで誰もが知るという33年も続いた子供向け番組の司会者フレッド・ロジャースをトム・ハンクスが演じてます。
このフレッドさんがとてもいいんですよね。
あったかくて、いい意味でお節介で。
「僕は、カメラの前にいる1人1人の子供に話しかけているつもりで話している。まず子供たちに、ありのままの君でいいんだよ、と伝えたい。そして、自分の心と向き合うこと、自分の気持ちを表現することを恐れないでと伝えたい」と。
子供たちに寄り添い、勇気づけ、
感情のコントロールの大切さや怒りの気持ちをどうすればいいかを、時にはぬいぐるみに扮してわかりやすい言葉で伝えてきました。
これは大人にも通じること。
この取材に来た記者の内面をストライクに突いてくる鋭さも、その実直な人柄から、嫌味もなく、導き出し、吐き出させる。
人を許すことってとても難しいと思うんです。
フレッドさんが言うように、
【愛する人ほど、許すのが難しい】
私も実は、なかなか許せない人がいます。
この記者はずっと父親を憎んでいて、許せなくて、未だに心の中にわだかまりが大きくて、時々それが噴火する。
そんな彼に、フレッドさんは説教するでもなく何か解決策を提案するでもなく、ただ寄り添い、「祈る」
中でも中華料理屋さんで1分間黙祷するシーンは圧巻ですね。
黙祷するシーンで涙がこぼれるとは、予想外でしたね。
何のための黙祷かというと
「自分をこれまで培ってくれた人たちの顔を思い浮かべる1分間」なんです。
祈り、とも言えます。
このシーンが忘れられません。
私も、例えば眠りにつく前の1分間を
この祈りにも似た瞑想に充てようかと思います。
不思議と、心が穏やかになります。
あなたもこの映画でフレッド・マジックにかかってみてくださいね^^
とにかく、トム・ハンクスは素晴らしい俳優!
その怒りもあなたのもの
メンズデーに観賞
翌日がファーストデーなのであんまりやってないのを
ということで…
フレッド・ロジャース氏のことは知らなかったので
簡単に予習してから観ました
感想としては
シンプルなテーマ
お伽話のようで心理状態に則した描写
誰にでも受け入れられる大事なこと
色々感じ取れる良作でした
実在したアメリカの長寿子供番組
「Mister Roger's Neighborhood(ミスター・ロジャースのご近所さんになろう)」
の実際(風?)のオープニング映像から始まる今作
突撃取材で賞も貰う雑誌記者ロイドは
心を閉ざした立ち振る舞いのひねくれ者
結婚し幼い子供がいるのに仕事に明け暮れ
ある日姉の結婚式にやってきた父親ジョリーを
母の死に目に会いに来ず蒸発した事で許せず
酔った勢いで母の話をされたときに怒りが爆発し
暴力を振るってしまいます
その後所属する雑誌「エスクァイア」のデスクから
フレッド・ロジャースの取材を言い渡されます
なんで子供番組の司会者なんかとロイドは反論しましたが
ロイドの取材を受けてくれたのがフレッドしか
いなかったと言われ渋々受けますが会いにいくと
そこには気まぐれな子供に大らかに接するフレッド
その後対面すると「待っていた」と歓迎され
フレッドはそのいきさつをすぐ見抜きロイドは驚きます
そこから始まった交流から自分を見つめ直していきます
昨今よく聞くアンガーマネジメントというやつでしょうか
その怒りは信念から来るのか?訴えか?
フレッドはむげに否定せず付き合い方のヒントを与えます
次第にロイドは自分の父への怒りは
自分が苦しんでいる事を誰かに訴えたかったんだと
気付いていきます
実在するフレッドは番組向けに演じ方を変えることなく
また子供番組だからといって遠慮せず戦争やいじめなどの
重いテーマを取り扱っていたそうです
そうしたオープンさが自然と視聴する子供や見せる親に
伝わっていた部分があったのでしょう
再現なのか当時の映像なのか区別が付かない番組シーン
ちゃんと4:3に切り替わったりアナログっぽいエフェクトが
かかるとこまで拘っていたのは驚きでした
トム・ハンクスも本人を非常に研究したのでしょうね
日本人には馴染みが無いアメリカのヒーローなため
邦題もなんかヘンですがこうした映画から日本の
ガメラやウルトラマンを作ってきた人々の熱意にも
想いを馳せるのも良いと思いました
Won't you be my neighbor? やっぱりトム・ハンクスは凄かった
事前情報はあまり知らずにトム・ハンクスがアカデミー賞助演賞にノミネートされた作品って情報だけで観に行って来ました。
今回トムが演じているのはミスター・ロジャースという実際にいた子供向けテレビ番組の司会者。いや、何だろうこれ。途中からトム・ハンクスというかミスター・ロジャースが出てくるだけで、何だか泣けてきたんですけど。どういうことだ?ミスター・ロジャースの人を悪く言わない話し方が妙に心に染みたのでしょうか?良いセリフも多くって、言葉の1つ1つにグッと来てました。
このフレッド・ロジャースさんはアメリカで40年近く子供向け番組をやっててアメリカ人なら知らない人はいない人物らしいです。地下鉄でのシーンが象徴的ですが、それこそ誰でも主題歌を歌えるぐらいに有名。とっても優しい語り口で、聖人とまで呼ばれていたみたいです。日本人だと例える人がちょっと思い付かないですね。
でも本人は聖人なんて呼ばれるのは嫌がってたみたいで、今回トム・ハンクスはそこの部分にもちゃんと焦点を当てて演じています。最後のプールで泳ぐ場面とか、ピアノの低音を叩きつけるように弾く姿とか。自分で言ってた怒りのコントロールを実践しているシーンがちゃんと入ってて、トム・ハンクスの人に対する真摯さが伺えますね。聖人と呼ばれる人物でも一人の人間で、自分をコントロールする努力していた描写があるので、フレッドがテレビの中の人から生身の人間にグッと近づきます。
今回のストーリーのメインはロイドの家族問題で、ミスター・ロジャースはナビゲーターというポジション。ストーリー的にはミスター・ロジャースが人に与える影響についてのお話なのである意味、ずっと子供に向けてメッセージを発信し続けていたミスター・ロジャースへの讃歌なのかもしれません。
で、本作ってスッゴく人物をじっくり撮っているんですよね。1分間の沈黙のシーンは勿論の事、ロイドが父親を見るまでとかも顔をアップにしてじっくり撮ってある。震える瞼で視線が父親に向くまで。あれってけっこうレベルの高い演技が必要ではないのでしょうか?トム・ハンクスに注目が行くのは当然ですが、マシュー・リスも良い仕事しています。
何はともあれトム・ハンクスがコロナから無事回復してホント良かったと思える作品でした。トムが亡くなったら映画界の、いや人類の大きな損失だよ。そう言えば「ミスター・ロジャースのご近所さんになろう」がAmazonプライムに上がっていたので、今度観てみようと思ってます。
良い映画
映画が始まってすぐは、まるでコンビニで売ってる新書版の安っぽい人生哲学書かなんかを映像化したのかと勘違いしそうになる(笑)
個人的には、人生における"わだかまり"や怒りを無かったことに出来るほど心は広く無いし、いつも不安だらけで生きているせいか、作中の人物たちに共感出来ないまま、映画のエンディングを迎えてしまった(笑)
この作品に素直に感動出来るような人生の転機をぜひ迎えてみたいけれども、今のところ、自分自身に正面から向き合えるだけの心の余裕はない…ほんと、不満と怒りの塊だわ(泣)
ただ、トム・ハンクスの演技は、素晴らしかった…(器用な人です笑)。
*結局のところ、フレッド・ロジャースは、謎のオジサンのままで、多くが語られなかった…そこを期待してずっと観ていたので、やや肩透かし感あり…。
もっと真面目に邦題つけて欲しい。
劇中劇風な仕立てで語られる、親子再生の物語りと、フレッド・ロジャースの人物像。
良いなぁ、良く出来てるよなぁ、トム・ハンクスの話には引き摺り込まれるよなぁ…
感情は言葉にする。言葉に出来れば、どんなものであっても対応(manage)できる。
ロイドは自分の感情を言葉にして、アンドレアにぶつける事で救われる。自分では、どうにも出来ない感情をmanageしてくれるのは、愛情を持って感情を受け止めてくれる人であり、信頼できる隣人であり。もう、タイトル通りのドストレートなメッセージ。
最後のロジャースのピアノが人間臭さがあって良かった。
も少し染みても良い映画なんですが、何もかもの出来が良過ぎて、何故か泣けないと言う不思議な佳作でした。
やっぱり、捻くれてます、俺w
感情のコントロール
あまり予告を見てなかったこともあってか、先入観がなく見ることができとても面白かった。
鑑賞前は実話ベースということもあって、トムハンクス演じるフレッドロジャースについて深く掘り下げていく作品なのかなと思いきや、そうではなくロジャースの存在は一つのサポート役的な存在であった。
話の軸となるとはロイド。彼は感情がコントロールができないが故に自分の父親との関係をはじめとした、人間関係に頭と心を悩ませてる。そんな中ロジャースが彼をサポートするわけだ。
実際にフレッドロジャースの存在も僕は知らず、この作品で描かれている彼の番組も知らない。もちろん知っていたらさらに楽しめるとは思うが、知らなくてもそれなりに脳内修正はできると思う。
感情のコントロール…ロジャースは番組を通して子供達にそのやり方、大切さをメッセージとして送るわけだが決して子供達だけではなく大人へも通ずるメッセージが沢山ある。
この作品でも描かれていたが、大人になったら自然にできるなんて言葉は決して間違いであって子供に真剣に向き合い語り合うからその子供たちが大人になった時に理解し実践できるのであろう。
だからこそロイドのように子供時代に感情のコントロールの術を学ぶ事なく、感情に駆られる事に染みついてしまっでわけだが、それを治すことは決して大人になってからでも遅くはない。
根本は子供心と同じで、感謝の気持ちを大事に、時に人を傷つけてしまったらきちんと謝る事が大切なのである。
この作品内でも「ありがとう」、「ごめんなさい」その言葉を贈られた相手の顔はやはり素直な気持ちを開いた表情になっていた。
感情に駆られる時どうしたら気持ちを落ち着かせることができるのか…ロジャースはピアノや水泳などいろんな方法を作品で言及してたが個人的には最後のレストランで描かれていた1分間黙って相手の良いところを考えるシーンに心打たれた。
これは昔祖父に言われた事を思い出し、個人的な懐古心を擽られた。
物凄く新鮮味のある目新しい作品ではないが、基本に戻るような非常にハートフルな作品でとても充実な時間を過ごす事ができたと思う。
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