「この映画、好き。 環が響かせたかったもの。」藍に響け やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画、好き。 環が響かせたかったもの。
最初に言いますけど、私この映画かなり好き。
こういう時、私のレビューは書きたい事を詰め込もうとして、支離滅裂な長文になるので、先に謝ります。ご免なさい。
始まる前は、もっとキラキラとした青春映画を期待していたの。
私、キラキラとした青春映画好きだから。
でも始まったら、キラキラとしていないんですよね。
青春映画にしては、笑顔が少ない気がしたんです。
環が序盤に見せる笑顔は作られた笑顔、そんた環にマリアは真っ直ぐな笑顔を向けてくれるんだけど、中盤マリアからも笑顔が消えるんですよ。
そして、他の子たちも大袈裟に笑ったり泣いたりしないんです。
役者さん達が巧いから、それで良いんですよね。
そんな彼女たちが見せた、最後の演奏シーンでの表情が良いの。
役者さん自身の達成感も加味された、とても充実した表情をしているの。
この表情が良かったから、この映画が良いと思えたんですよね。
って、ここまでが鑑賞直後の感想です。
もう少し考えてみたんです、タイトルが『藍に響け』なんですよね。
何を響かせたかったのか。勿論、和太鼓なんです。
じゃあ、誰が誰に響かせたかったのか。環がマリアに響かせたかったんじゃないかと思うの。
私、とんでもない勘違いをしてました。
中盤、環の和太鼓に対する妥協しない姿勢は、独り善がりにも見えたの。
でも、環が必死になる理由が、「巧くなりたい」「全国に行きたい」だけじゃなく、大事な人に伝えたい事が有るからだったら、違う印象を受けませんか。
環のマリアへの思いは、言葉じゃなく和太鼓で伝えなければいけなかったんだと思う。
仲間から悪く思われても、失敗して挫けそうでも、伝えなければならなかった。
彼女の打ち出す音が、ちゃんとマリアにも伝わったのでしょう、最後の「ありがとう」は良かった。
まあ、あんまり台詞で説明してくれないから、想像なんですけどね。
でね、パンフレットの環役の紺野さんのインタビューを読んだら、「脚本の環は原作と違い、あまり喋らない」と書いてあったので、台詞が少ないのは脚本家さんの意向なんでしょう。
そして、その脚本の加藤綾子さんは、マリア役の久保田さんも出演していた『ハローグッバイ』の脚本も手掛けていたんです。
この年代の友情の一言では表せない様な関係性を、見せるのが巧い脚本家さんなんでしょうね。
この映画、私はとても好き。