「部活系青春モノが陥りやすい役割分担の乱れ、ドラマ盛り盛りで勿体ない」藍に響け たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
部活系青春モノが陥りやすい役割分担の乱れ、ドラマ盛り盛りで勿体ない
映画のジャンルで言えば青春モノがダントツ好き。おそらく、本作もその類い。しかし、ハマらなかった。なんででしょうね…。
1つ目に思うのは、部活モノに多い「人物が多いが故の薄さ」にある。加藤綾子の脚本なのだが、『ハローグッバイ』にも感じた、ここまで薄情じゃないでしょっていう強引さが本作でも顔を出す。環はロックンローラーなのかってくらい世間に中指を立て、終始ムッとしている。カーストの上辺から落ちたからなのか、バレエ譲りのプライドなのか…。どちらにしても薄情で寒い。バイトをしていた理由などもサブに回して放るのも違う気がする。一方のマリア、事故で話せなくなったわけだが、耳は聞こえるので反応は良い。だが引っ込み思案ではないので、ガンガン周りとのバランサーを務める。それでボヤケた節はある。さらに、部員も豪華で良いのに、使い方が諸々勿体ない。茅島みずきもいながら「高身長さん」で終わってる。何なら、山之内すずの関西弁女子の方が上手く機能していた。ただなんでビンタされなアカンかったのかね。諸々半端で、ずっと不協和音を見せられるのが辛かった。
とは言え、彼女たちは本当に太鼓を叩いている。これは努力の賜物であり、そこを否定するほど卑屈ではない。寧ろ、映画館のサラウンドで迫力の音が浴びれるのは至福である。板垣瑞生の太鼓もカッコよかったし、吹越満のパイオニア感もキマっている。久保田紗友の役どころも上手かった。しかし、そういう所からスポ根な雰囲気を感じてしまって、半端に写ったのだと思う。残念。
青春モノの難しいところは、集団の役割をどう割り振れるかによって作品の顔が変わってくること。それが今作では失敗してしまっているような気がする。若手の躍動は褒められるだけに、自分でも意外な結果に終わった。