「【”選択の自由と赦す心” ”Wレイチェル”の美しき性愛シーンも印象的な、宗教の壁を超えた深遠な”LOVE STORY”】」ロニートとエスティ 彼女たちの選択 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”選択の自由と赦す心” ”Wレイチェル”の美しき性愛シーンも印象的な、宗教の壁を超えた深遠な”LOVE STORY”】
ー 今作では、”The Cure” の”Love Song” が劇中と、エンドロールで2度流れる。
静謐な映画で流すには、ポップ過ぎる感もあるが、ロバート・スミスが繰り返し歌う”I Will Always Love You”というフレーズが、作品の内容と絶妙にマッチングしているのである・・。ー
■感想
・詳細には語られないが、故郷のイギリスの厳格なユダヤ・コミュニティーで育ったロニート(レイチェル・ワイズ)は、厳格なラビであった父の元を離れ、何らかの理由で、NYに移り住み写真家として、生活している。
が、ある日、父の訃報が届き、久しぶりに故郷に戻ったロニートを待っていたのは、幼馴染のドヴィッドであった。そして、彼が紹介した妻、エスティ(レイチェル・マクアダムス)。
ー このシーンの、ロニートの驚愕の表情で、エスティとの過去の関係及び、彼女が故郷を離れ、NYで暮らしている事情が分かる。設定も上手いし、Wレイチェルの演技も当然巧い。ー
・ロニートとエスティが亡きラビの家を訪れた際に、ラジオから流れる、”Love Song” そして、二人の想いは、昔に戻り・・。
ー 映画は淡々と進むが、演出が上手い。ユダヤ・コミュニティーの人々が、二人の過去の関係を知っている事も、徐々に明らかになる。ー
・ロニートは自分が、戻ってきたことで、ユダヤ・コミュニティーに波風が立ち始めた事を知り、NYに戻ろうとするが・・。
・白眉のシーンは、煩悶するドヴィッドが、ラビを引き継ぐ儀式の際に、妻エスティに向けて語りかけるシーンであろう。
”私を自由にして・・”と懇願していた妻に対し、”人には選択する自由がある・・”と語り掛ける姿。苦しいに違いないのに、妻に生き方の選択権を与えるドヴィッドの宗教の壁を超えた寛容さ。
彼は、”自分には未だ・・、”とラビの座を断るが、充分過ぎるほど”新しき思想を持つ”ラビにふさわしき男である、と私は思った。
<静謐なトーンで二人の同性愛女性の、苦しみながらも自らの生き方を模索する印象的な姿を描き出した作品。
恋愛映画の女王、レイチェル・マクアダムスはレズビアンを演じても美しく、聡明な女性を演じたら”この人”のレイチェル・ワイズの確かな演技が、作品に奥行きを与えている作品でもある。>