劇場公開日 2020年2月7日

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「不服従を選択する自由」ロニートとエスティ 彼女たちの選択 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不服従を選択する自由

2020年2月11日
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鑑賞方法:映画館

①日本社会は自由な様で実は私たちも服従とは言わないまでも結構暗黙のルールに従って(従わされて?)生きている。②ましになったとはいえ、群れるのが好きな日本人、コミュニティの一員と見なされることに安心する日本人、一方コミュニティの等質の一員であることを無自覚に強いる日本社会、この映画のエスティのように、そこでありのままの自分をさらけ出せず、又そのコミュニティに居心地の悪さを感じながらも飛び出せない人は多いのではないだろうか。何故なら、心の何処かで恐れているから。ロニートのようにコミュニティから飛び出した人間は、生まれ育ったコミュニティに戻りにくいか、戻っても冷たい拒絶に会うことを。ロニートのように最後まで肉親に理解されない(許してもらえない)悲しさが待っているかも知れない(と言ってもロニートは後悔してはいないだろうけど)。そういう点から見れば、レアなケースを扱っていながら、かなり普遍的なテーマを持った映画と言えよう。③そのエスティに、コミュニティに残りつつ、ありのままの自分でい続けるという或る意味最も難しくて厳しい選択をさせたのは、自分の子供には初めから選択の自由を与えたいという母になるという強い想いだ。④両レイチェルは大好演。レイチェル・ワイズはそろそろいい歳だと思うが、華やいだ雰囲気を醸し出しているところは流石。レイチェル・アダムスは女優としてはこれからが旬だろう。⑤セバスチャン・レリエの演出は「ナチュラル・ウーマン」がどこか戯画的な演出だったのに比べ静謐で抑えたトーン。その分、面白みは減っているが。⑥アレッサンドロ・ニボは、あの「ジュラシック・パークⅢ」のお兄ちゃんがこんな渋い演技派になって、と感慨を抱かせる好演。

もーさん