劇場公開日 2020年3月13日

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「ドラン監督の子供時代を支えたもの」ジョン・F・ドノヴァンの死と生 SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ドラン監督の子供時代を支えたもの

2020年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 アメリカからの転校生でテレビドラマの子役。学校ではいじめられている。担任の先生が味方になって注意してくれるのだけれど止む気配がない。母親は自分の悩み事で頭が一杯で主人公の心は無視されがち。ハリウッドスターとの文通で心を励ます日々。
 一方でスターの生活が語られる。人気を気にかけるあまり、本当に大切な人の心を踏みにじる生活。スキャンダルの暴露。少年との文通も否定してしまうスター。やがて大切な人達は去ってしまい、希望のない孤独な暮らしに陥る。が、有名になる前に通っていた食堂の厨房で哲学者のような老人に温かい言葉をかけられ明るい顔つきになる。
 主人公はスターのおかげで今の自分があると、とてもスターに感謝をしている。だから、スターの死についてのスキャンダラスな面よりも真実の姿を記事にしてほしいと、人道派の敏腕記者に依頼する。そして最期のスターからの手紙に二人は希望を見出した。
 この映画でハリウッドで生きることの大変さを痛感した。主人公、母親、学校の先生、スターとその恋人、友人など全ての登場人物の気持ちに寄り添う描写が多く優しさも感じた。
 性愛シーンが、最近の露出が多いほどベター!みたいな風潮の中では控えめで有難い。画面構成が顔のアップが多くて劇画調。監督の好きな映画へのオマージュシーンがちょいちょい出てくる。私の印象に残ったのは敏腕記者の黒人女性の凛とした美しさ。横顔が「Diva」のようにステキだった。

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SpicaM