劇場公開日 2020年3月13日

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「"ヘルサム学園"」ジョン・F・ドノヴァンの死と生 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5"ヘルサム学園"

2020年3月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

グザヴィエがディカプリオに宛てたファンレター、確かに「タイタニック」での人気と美少年ぶりは凄まじく、その後の「太陽と月に背いて」をグザヴィエが観ていたら!?
ラストは「マイ・プライベート・アイダホ」のシーンを思い起こす、監督はガス・ヴァン・サント、主演はもちろんリヴァー・フェニックス、本作の劇中では"Stand By Me"のカバーも流れる。

ルパートの少年時代を今一番勢いのある?現役子役なジェイコブ・トレンブレイ君が、母親を「レオン」で鮮烈な子役デビューの印象がいつまでも薄れないナタリー・ポートマンが演じ、主演のキット・ハリントンはTVドラマでスターにタイトルロールまんまな役柄で、キャシー・ベイツは「タイタニック」にも出ている。

グザヴィエ自身や本作の役柄と似通った役者たちの共通点が多く目立ち、それらに関連性がなかったかのように全カットなジェシカ・チャステインが悲しい!?

音楽と映像を印象的に魅せるそのセンスが素晴らしいグザヴィエ・ドランのイメージが、本作に限っては今までの作品からの焼き直し感が否めない!??

スーザン・サランドンが演じる母親、ジョンと家族の関係性が前作の「たかが世界の終わり」から何も進んでいない同じことを繰り返しているようで、親子三人での風呂場のシーンは「Mommy/マミー」で三人が熱唱するセリーヌ・ディオンの"On Ne Change Pas"とダブるような?雨のロンドンで流れる"Stand By Me"は女性ボーカルのカバーではあるが観ているコッチが恥ずかしくなるベタ過ぎる選曲と過剰にも取れる感動場面、同じく「Mommy/マミー」でオアシスの"Wonderwall"が流れるシーンにベタさを感じたが、曲の良さを再認識し感動も絶頂に込み上がる名シーンと個人的に。

自分が好んで聴かないジャンルや知らない曲、知っていてもベタなヒット曲などの音楽を劇的に斬新な映像描写で映す手腕が魅力でもあるグザヴィエの特に「わたしはロランス」や「Mommy/マミー」に「たかが世界の終わり」この三作品で感動したりテンション上がる高揚感を味わった分、本作には期待したが、し過ぎたせいか?期待度がボロボロと剥がれ落ちて!??

ジョンの家族関係は映された事実だけで後は観る側が想像するしかない反面、ルパートと母親の関係性は丁寧に説明される描写があり、ジョンの死の真相はルパートとの手紙のやり取りに全てがあり、手紙の内容は描かれない。

グザヴィエの監督全作品を通して本作でも父親は存在しない、同性愛としてのパートナーや家族である兄、そこに父親像があるように、母親の存在は絶対的で関係性が良くも悪くも常に葛藤や意志の疎通が取れない難しさを提示して来る幼さ?に甘え??

"シド・ヴィシャスが死んだ部屋みたい"ってナイスな台詞が一番の上がりポイント!??

万年 東一