「死が生をもたらす」ジョン・F・ドノヴァンの死と生 mさんの映画レビュー(感想・評価)
死が生をもたらす
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例えば、私の好きなあのアイドルは、本当にあの人自身の望む「あの人」なんだろうか。
そもそも、あの人の家族だって、「あの人」をちゃんと知っているのだろうか。
依存気質のオタク、ぶっ刺さりました。
器と中身の違いにズレに、疲弊してすり減っていくジョンを観て、私はだれかを苦しめてはしないかと、こっそり自分を戒めつつ。
ドランの作品て、必ず、「息子を分かりたい母親」が出てきますよね。
私の気持ちはあなたにだって奪えない、という母親像。
それは実際の彼が投影されたものなのか、願望なのか。
母親と分かりあえないと思いつつも、手紙を書いて、分かり合えるように努力した仮定A(ルパート)と、最後までその壁を越えることができなかった仮定B(ジョン)、という見方をしました。
私は、どっちの生き方をしているんだろう。
今までの作品と比べて、自分がルパートと境遇が似てるせいか、感情移入しやすくて、多用されるアップのシーンは、
「お前にこの母親の気持ちがわかるのか」
「お前はルパートのようにピュアなのか」
そう突き付けられてるみたいで、
同じくアップのシーンが多かった、「たかが世界の終わり」と、違った質感がありました。刺さるやつ...!
ラストシーン、仲睦まじく走り去るルパートとパートナーは、ドラン作品では珍しく前向き(?)な解釈ができて、
ジョンの死が、ルパートの生き方を選択できるものであってほしいなぁ、と思ったのと同時に、
ドランが今、明るい気持ちでいたらいいなぁ、と、思わず願ってしまいました。
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